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2024.12.16 Mon UP

安藤 格士准教授及び田村 浩二教授の学術論文が『Computation』誌のFront Coverに選出

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先進工学部 電子システム工学科 安藤 格士准教授及び先進工学部 生命システム工学科 田村 浩二教授の学術論文が『Computation』誌のFront Coverに選出されました。

受賞者
先進工学部 電子システム工学科 准教授 安藤 格士
先進工学部 生命システム工学科 教授 田村 浩二
掲載カバー
掲載論文
Quantum Mechanics/Molecular Mechanics Simulations for Chiral-Selective Aminoacylation: Unraveling the Nature of Life
内容

生物学的現象は化学反応であり、本質的に止まらない「流れる」性質を持っています。分子動力学(Molecular Dynamics, MD)は、原子間の相互作用を計算し、分子の動態とエネルギー状態を解析するのに用いられますが、共有結合の生成と切断を伴う化学反応を扱うことはできません。この問題を解決する方法の一つが量子力学/分子力学(Quantum Mechanics/Molecular Mechanics, QM/MM)法です。さらに、自由エネルギーを算出することのできるアンブレラサンプリング法を組み合わせたQM/MMアンブレラサンプリングMDシミュレーションは、生命現象の本質を理解する上で極めて重要なポイントである化学反応の遷移状態とその自由エネルギー変化について、大きな手がかりを与えてくれます。

筆者らは、この手法を用いて、tRNAの原始型と考えられるRNAミニヘリックスのキラル選択的アミノアシル化機構の解明を試みてきました。そして、QM/MMアンブレラサンプリングMDシミュレーションにより、初めて反応の「流れる」過程の全容についての原子論的機構が解明され、左手型のアミノ酸(L-アラニン)が右手型のアミノ酸(D-アラニン)よりも遷移状態を安定化させ、その結果、RNAのアミノアシル化反応においてL-アラニンが優先的に選ばれることが示されました。本論文では、この研究結果を例にQM/MM法の重要性を議論しました。

QM/MM法は、生体系のタンパク質が左手型のアミノ酸からのみ構成されている「ホモキラリティー」の起源解明に重要な手がかりを与えただけでなく、人工知能の発展と相まって、生体分子反応の解析を推進するツールになると期待されます。こうした内容が評価され、掲載誌の表紙として選出されました。

掲載日
2024年12月2日

関連リンク
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