Department of Physics

創域理工学研究科 先端物理学専攻

野田キャンパス

純粋物理学から応用物理学まで
自らの力で真理を追究

本専攻は、純粋物理学から応用物理学にわたる幅広い分野を含んだ構成となっています。大別すると、理論物理学と実験物理学に分けられます。現在発展しつつある分野を含めて、他の学問分野との境界領域を研究するグループもあります。広い見識と視野のもとに物理学の専門性を十分に発揮できる能力を養います。急変する科学技術の環境にあっても自主的に研究開発の場で活躍できる真の実力を持つ研究者・技術者を育成するため、物理学の基礎知識と物理的なものの考え方を習得するように指導しています。

概要図
  • 先端物理学専攻の特徴1

    未踏の領域を開拓する

    素粒子、宇宙、物性、光などに関する最先端の研究テーマを扱いつつ、広い見識と視野のもとに物理学の専門性を十分に発揮できる能力を養います。高度な専門知識と技術を有し、未踏の領域にも挑戦できる真に実力のある研究者・技術者を育成します。 

  • 先端物理学専攻の特徴2

    多岐にわたる
    研究フィールド

    本専攻は、物理学の幅広い領域を網羅する13の研究室を有しています。理論と実験の両面から、宇宙、素粒子、磁性・超伝導、有機半導体、表面物性、レーザー、バイオミメティクスなど、さまざまなテーマについて研究を進めています。

  • 先端物理学専攻の特徴3

    最先端の研究施設で
    先進的なテーマに取り組む

    野田キャンパスにはレーザー実験棟や超伝導実験棟などの研究施設や実験施設が整っており、筑波研究学園都市にある国の研究機関との共同研究も活発に行なっています。連携大学院方式を導入して、多くの研究機関と手を組み、研究領域を拡大しています。

カリキュラム CURRICULUM

専門分野(部門) 授業科目 単位 履修方法 履修年次
素粒子・宇宙物理学
(理論、実験)
場の量子論 2 選択 共通
素粒子物理学 2 選択 共通
天体物理学 2 選択 共通
理論物理学特論1 2 選択 共通
宇宙物理学 2 選択 共通
物性物理学
(理論)
統計物理学1 2 選択 共通
理論物理学特論2 2 選択 共通
物性物理学特論1 2 選択 共通
物性物理学
(実験)
固体物理学 2 選択 共通
表面物理学 2 選択 共通
低温物性 2 選択 共通
物性物理学特論2 2 選択 共通
光物理学
(実験)
応用光学 2 選択 共通
非線形光学 2 選択 共通
共通 先端物理学輪講1A 1 必修 1
先端物理学輪講1B 1 必修 1
先端物理学輪講2A 1 必修 2
先端物理学輪講2B 1 必修 2
先端物理学特別研究1A 4 必修 1
先端物理学特別研究1B 4 必修 1
先端物理学特別研究2A 4 必修 2
先端物理学特別研究2B 4 必修 2

※科目の内容など詳細情報については「シラバス」からご覧いただけます。

2023年度 大学院要覧 修士課程修了要件
専門科目 一般教養科目 合計
26 4 30
  1. 必修科目20単位及び一般教養科目を含めて30単位以上を修得すること。
  2. 一般教養科目については、合計4単位を修得すること。ただし、4単位のうち、2単位以上は教養(共通)科目から修得すること。
    また、4単位を超えて修得した単位は修了所要単位には含めない。
    横断型コースオムニバス科目については、2単位まで修了所要単位として認める。
    なお、教養(共通)科目には、所属専攻以外の専攻課程及び他の研究科で修得した教養(共通)科目の単位も含める。
  3. 他専攻の随意科目を履修した場合、自専攻でも随意科目となり、修了所要単位に含めることはできない。
  4. 「学校インターンシップ(アドバンス)」「教授メディア学習論」「理科探究学習論」については教職課程登録者に限り履修することができる。
  5. 研究科の定めるところにより、次に掲げる授業科目を履修することができる。
    (1)所属専攻以外の専攻課程による授業科目
    (2)他の研究科の授業科目
    (3)他大学の大学院の授業科目
    (4)学部の授業科目

    (1)~(3)に規定する授業科目において修得した単位は修了所要単位として認定できる。ただし(3)は15単位を限度とする。

専門分野(部門) 授業科目 単位 履修方法 履修年次
核・素粒子・
宇宙物理学
核・素粒子・宇宙物理学博士特別研究1A 5 選択 1
核・素粒子・宇宙物理学博士特別研究1B 5 選択 1
核・素粒子・宇宙物理学博士特別研究2A 5 選択 2
核・素粒子・宇宙物理学博士特別研究2B 5 選択 2
核・素粒子・宇宙物理学博士特別研究3A 5 選択 3
核・素粒子・宇宙物理学博士特別研究3B 5 選択 3
物性物理学 物性物理学博士特別研究1A 5 選択 1
物性物理学博士特別研究1B 5 選択 1
物性物理学博士特別研究2A 5 選択 2
物性物理学博士特別研究2B 5 選択 2
物性物理学博士特別研究3A 5 選択 3
物性物理学博士特別研究3B 5 選択 3
光物理学 光物理学博士特別研究1A 5 選択 1
光物理学博士特別研究1B 5 選択 1
光物理学博士特別研究2A 5 選択 2
光物理学博士特別研究2B 5 選択 2
光物理学博士特別研究3A 5 選択 3
光物理学博士特別研究3B 5 選択 3

※科目の内容など詳細情報については「シラバス」からご覧いただけます。

2023年度 大学院要覧 博士後期課程修了要件
専門科目 一般教養科目 合計
30 4 34
  1. 「核・素粒子・宇宙物理学博士特別研究1A~3B」、「物性物理学博士特別研究1A~3B」及び「光物理学博士特別研究1A~3B」のうち、自己の指導教員が担当する科目について、6科目30単位を修得すること。
  2. 一般教養科目については、合計4単位を修得すること。ただし、4単位のうち、2単位以上は教養(共通)科目から修得すること。また、4単位を超えて修得した単位は修了所要単位には含めない。
    横断型コースオムニバス科目については、2単位まで修了所要単位として認める。
    なお、教養(共通)科目には、所属専攻以外の専攻課程及び他の研究科で修得した教養(共通)科目の単位も含める。
  3. 他専攻の随意科目を履修した場合、自専攻でも随意科目となり、修了所要単位に含めることはできない。
  4. 修士課程在籍時に単位修得をしている科目の履修は認めない。
  5. 研究科の定めるところにより、次に掲げる授業科目を履修することができる。
    (1)所属専攻以外の専攻課程による授業科目
    (2)他の研究科の授業科目
    (3)他大学の大学院の授業科目
    (4)学部および修士課程の授業科目

    (1)~(2)に規定する授業科目において修得した単位は修了所要単位として認定できる。

秋元 研究室

[専攻]統計物理学(理論) [指導教員]秋元 琢磨 准教授 [キーワード]統計物理学(理論)
[テーマ例]❶細胞内での異常拡散現象の解明 ❷非平衡系における粒子の拡散現象の解明 ❸ランダムサーチ過程における最適化・効率化

本研究室では、細胞のような複雑で不均一な物質の動的な性質、特に、その中での粒子の拡散現象の解明を理論的に進めています。近年、タンパク質などの1分子の軌道が直接観測できるようになり、様々な系で通常のブラウン運動とは異なる拡散現象が発見されてきています。このような現象を確率論や数値シミュレーションを通して明らかにします。

鈴木 研究室

[専攻]宇宙物理学(理論) [指導教員]鈴木 英之 教授 [キーワード]宇宙物理学(理論)
[テーマ例]❶重力崩壊型超新星爆発と原始中性子星の進化 ❷超新星ニュートリノの数値シミュレーション ❸超新星ニュートリノとニュートリノ振動

重い星は、最後にコアがつぶれて中性子星を形成すると同時に超新星爆発を起こします。その際に放出される超新星ニュートリノや原始中性子星の進化などを数値シミュレーションを用いて研究しています。また、ニュートリノの種類が変化するニュートリノ振動という現象が、超新星ニュートリノの観測に及ぼす影響についても研究しています。

石塚 研究室

[専攻]素粒子物理学(実験) [指導教員]石塚 正基 教授 [キーワード]素粒子物理学(実験)
[テーマ例]❶ニュートリノの質量と世代間混合の測定 ❷陽子崩壊探索による大統一理論の検証 ❸超新星ニュートリノ観測

素粒子物理学は、宇宙に存在する基本粒子と粒子間に作用する力の法則の解明を目的とします。特に幽霊粒子とも呼ばれるニュートリノには未だ解明されていない部分も多く、興味深い研究対象です。本研究室では、ニュートリノの質量と世代間混合、大統一理論の予言する陽子崩壊などの研究を進め、宇宙と素粒子の謎に迫ります。

須田 研究室

[専攻]非線形光学(実験) [指導教員]須田 亮 教授 [キーワード]非線形光学(実験)
[テーマ例]❶超広帯域コヒーレント光の発生とその時空間位相の制御 ❷高次高調波変換によるアト秒X線パルスの発生 ❸蛍光分子の非線形分光と多光子バイオイメージング

白色レーザーとも呼ばれる超広帯域コヒーレント光の位相をそろえると、パルス内に電場の振動がわずか1~2周期しか存在しない超短パルス光となります。本研究室では、超短パルス光の高次高調波変換によりさらに短いアト秒X線パルスを発生させる研究、超広帯域コヒーレント光を用いた蛍光分子の非線形分光や多光子過程を制御したバイオイメージングの研究を進めています。

岡崎 研究室

[専攻]強相関電子系(実験) [指導教員]岡崎 竜二 准教授 [キーワード]強相関電子系(実験)
[テーマ例]❶遷移金属酸化物の試料育成と電気伝導・磁気特性測定 ❷有機導体における非線形伝導現象 ❸光照射下での物性測定装置の開発

本研究室では、強相関電子系と呼ばれる電子間相互作用の強い物質群が示す新奇輸送・磁気現象の実験的研究を進めています。また、光照射下などの強い非平衡状態における電子物性の理解など、強相関電子系の物理と非平衡統計物理を融合した新しい研究領域の開拓にも取り組んでいます。

田村 研究室

[専攻]有機物質(実験) [指導教員]田村 雅史 教授 [キーワード]有機物質(実験)
[テーマ例]❶有機導体の結晶成長と低温電磁特性計測 ❷分子スピントロニクスのための分子設計・開発 ❸有機伝導体の高周波電磁特性の測定と解析

有機物質は、医薬やプラスチックなどとして身近な存在ですが、超伝導や強磁性など顕著な物理的性質を示すものや、液晶のような電子材料も含みます。無数にある有機分子には、未解明の潜在的機能がまだ多く、新たな分子で未知の物理現象を発見・解明する研究を進めています。

金井 研究室

[専攻]固体物理学(実験) [指導教員]金井 要 教授 [キーワード]固体物理学(実験)
[テーマ例]❶高エネルギー分光を用いた新規機能性有機分子の電子構造の解明 ❷有機分子吸着系の構造と電子構造の解明と制御 ❸有機薄膜物性評価のための新規測定装置の開発

本研究室では、有機分子の関わるさまざまな表面・界面の構造、および電子構造の研究を行っています。特に、さまざまな有機分子吸着系や有機半導体薄膜の界面電子構造、また、新しい電子機能性有機分子の電子構造の解明など、有機エレクトロニクスの基礎となる研究を推進しています。

半澤 研究室

[専攻]凝縮系物理学(物性物理学) [指導教員]半澤 克郎 教授 [キーワード]凝縮系物理学(物性物理学)
[テーマ例]❶伝導バンド構造を考慮した重い電子状態の記述 ❷強相関電子系における秩序状態の記述 ❸強相関電子系超伝導体の理論

希土類やアクチナイド元素を含む金属化合物の中の電子は、互いに強く影響を及ぼし合って運動し、その質量が非常に大きくなったかのように振る舞うので、強相関電子系あるいは重い電子系と呼ばれます。この有効的な質量が重くなる状態、さらに極低温にしたときに現れる超伝導やその他の秩序状態を理論的に記述する研究をしています。

幸村 研究室

[専攻]宇宙物理学(実験) [指導教員]幸村 孝由 教授 [キーワード]宇宙物理学(実験)
[テーマ例]❶Black HoleやPulsar等の天体の観測的研究 ❷宇宙望遠鏡(XRISM代替機)に搭載する宇宙X線観測用CCDの研究開発 ❸次世代の宇宙望遠鏡に搭載する新型のX線検出器の基礎開発

本研究室では、X線を放射する天体の観測的研究を行っています。Black HoleやPulsarなどの天体を観測し、激動する宇宙の描像を明らかにすることを目的としています。さらに、2016年2月に打ち上げた宇宙望遠鏡「Hitomi」や2021年度に打ち上げるXRISM衛星に搭載しているX線検出器(X線用CCD)や次世代の放射線検出器を開発しています。

福元 研究室

[専攻]物性基礎・計算物理(理論) [指導教員]福元 好志 教授 [キーワード]物性基礎・計算物理(理論) 
[テーマ例]❶フラストレートしたスピン系の特異な物性の探索 ❷斥力電子系における多彩な秩序の探索 ❸量子多体系の計算技法の開発

電子を格子上に配した量子多体系を理論的に研究しています。電子は電荷とスピンの2自由度を持ちますが、特に電荷自由度の凍結した系をスピン系と呼びます。これは磁性体の基礎的モデルを与えます。また、両自由度が存在する系(電子系)は高温超伝導などとの関連から深い理解が求められています。これらを舞台として物性の解明、探索を行っています。

齋藤 研究室

[専攻]原子核理論 [指導教員]齋藤 晃一 教授 [キーワード]原子核理論
[テーマ例]❶天体核物理(中性子星の内部構造) ❷原子核中のクォーク・グルーオンの役割 ❸レプトンと原子核の散乱

物質は原子・分子から成り立っていて、原子は原子核とその周囲の電子から構成されています。さらに原子核は陽子と中性子の集合体であり、それらはクォークやグルーオンという素粒子からできていることが分かっています。本研究室ではこのようなクォーク・グルーオンの原子核や星の中での役割について多方面から理論的に研究しています。

矢口 研究室

[専攻]固体物理学(実験) [指導教員]矢口 宏 教授 [キーワード]固体物理学(実験)
[テーマ例]❶ルテニウム酸化物超伝導体とその関連物質の単結晶育成と低温物性 ❷鉄系超伝導体の単結晶育成と低温物性 ❸半金属の強磁場物性

固体物理学は、固体結晶中を舞台とする多彩な物理現象を研究対象とします。これらの現象は、電子等の多数の構成粒子間の相互作用によって生じます。“More is different.”という言葉は、単純な構成要素が多数集まって相互作用することで、原子や電子などの構成要素の個々の性質からは予想も付かないような劇的な振舞いを示すことを表現しており、低温で発現する超伝導などは、そのよい例といえます。

澤渡 研究室

[専攻]素粒子・数理物理学(理論) [指導教員]澤渡 信之 教授 [キーワード]素粒子・数理物理学(理論)
[テーマ例]❶インスタントン、モノポール、スカーミオンなどのソリトン解の数値解析と物理現象への応用 ❷スカーミオンによる新規なブレインワールドの構築と階層性問題の解決 ❸アティア・ジンガーの指数定理に基づくさまざまな物理現象の理解

トポロジカルソリトンは、素粒子論における粒子の特性(対称性、質量、電荷等)や、宇宙物理学の中心的なテーマであるブラックホールやブレインワールド(膜宇宙)、さらには物性物理学の超伝導現象やホール効果など、多様な物理現象の記述と理解に用いられる概念です。本研究室では、解析や数値シミュレーションの手法を用いたソリトンの研究を行っています。

吉岡 研究室

[専攻]バイオフォトニクス(実験) [指導教員]吉岡 伸也 教授 [キーワード]バイオフォトニクス(実験)
[テーマ例]❶フォトニック結晶の光学特性 ❷自然界の構造色 ❸構造不規則系の光学現象

光の波長サイズで周期的な微細構造はフォトニック結晶と呼ばれ、光の流れを制御する材料として注目を集めています。自然界の生物も同様な構造を利用して、鮮やかな色を生み出しています。本研究室では、微細構造が引き起こす多彩な光学現象を研究するとともに、構造が形成される過程やその応用を目指した研究を行っています。

阿部 研究室

[専攻]素粒子物理学(理論) [指導教員]阿部 智広 准教授 [キーワード]素粒子物理学(理論)
[テーマ例]❶暗黒物質の模型構築とその検証方法の提案 ❷素粒子の質量の起源に関する研究 ❸新粒子の低エネルギー観測量への影響やコライダー実験での検証法

物質を、分子→原子→原子核→ …、とどんどん分割していき、これ以上分割できなくなったものを素粒子と呼びます。素粒子の物理は、標準模型と呼ばれる理論でよく記述できることが知られていますが、まだまだ不完全であることもわかっています。本研究室では、ヒッグスや暗黒物質などをキーワードに、素粒子標準模型を超える物理を明らかにすることを目指した研究に取り組んでおります。

専攻部門 担当教員 研究分野
物性物理学 客員教授 堤 潤也 機能性有機材料開発(実験)
(産業技術総合研究所)
※教授 金井 要
客員教授 若山 裕 物理工学(実験)
(物質・材料研究機構)
※教授 金井 要
客員教授 井上 公 強相関エレクトロニクス(実験)
(産業技術総合研究所)
※教授 田村 雅史
光物理学 客員教授 緑川 克美 光量子科学(実験)
(理化学研究所)
※教授 須田 亮

※は副指導教員を表す。

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