Department of Chemistry

理学部第一部 化学科

ミクロとマクロの視点から
物質の構成原理を明らかにする

化学はミクロ(分子・原子)からマクロに至る多元的な視点に立ち、物質が構成される原理と構造変化の様相を扱う学問です。科学的に興味深い物質や、人間生活にとって有用なものを創り出し、住みやすい社会・自然環境の構築に寄与しています。近年は専門分野の細分化とともに、学問分野の総合化・学際化・国際化が進んでいます。化学科では、時代の要請に応えるため、幅広い基礎学力の養成と同時に境界領域の基礎も学べるカリキュラムを構築。生命科学や物質科学などの幅広い分野に対応できる学際的な能力を備えた研究者・技術者・教育者の育成に尽力しています。

概要図
  • 化学科の特徴1

    物質世界の
    本質を探究

    分子、原子の単位で物質の構造、変化の様相、ならびに物性について、多様な視点から探究します。物理化学、無機化学、有機・生物化学を主な柱として、化学の専門家として必要な知識や、化学の大局的な視野を養います。

  • 化学科の特徴2

    境界領域の基礎も
    しっかりと学ぶ

    化学に必要な基礎学力の育成とともに、境界領域の基礎も学べるカリキュラムを編成しています。専門課程前半には講義と同時間数の演習、各種テーマに関する実験・実習科目を設置。後半には、それぞれの適性を伸ばすために多数の選択科目を用意し、社会で役立つ学力を養います。

  • 化学科の特徴3

    教員との距離が近い
    充実した環境

    どんなことにも親身になって「教えてくれる、応えてくれる」教員の存在は、本学科の大きな魅力です。学生一人ひとりが夢や目標に向かって存分に成長できるように、熱意あふれる多彩な教員陣が手厚くサポートします。

基礎情報・資格 BASIC INFORMATION & CERTIFICATION

キャンパス 取得学位 在籍学生総数 目指せる資格
神楽坂キャンパス 学士(理学)

498名
(男子330名/女子168名)

男子 66%/女子 34%

※2024年5月1日現在

・中学校教諭1種免許状(理科)
・高等学校教諭1種免許状(理科)

カリキュラム CURRICULUM

■必修科目 ●選択必修科目 ◆選択科目

1年次 2年次 3年次 4年次
■化学1・2/数学1及演習/数学2及演習/物理学1・2/1年次化学実験
●生物学1・2
■一般化学実験
●化学数学/一般物理学1/物理学実験/生物学実験/地学実験1・2
◆一般物理学2/電子計算機/地学1/地学2/データサイエンス・AI応用基礎
●卒業研究防災安全特別講義
◆化学工学1・2/特別化学実験/化学計算/化学英語/機器分析学1・2/理科教育論1・2
●卒業研究/化学総論1・2
有機化学分野 ■有機化学1A・1B
◆有機化学演習1・2
■有機化学2・3/生化学1・2 ■有機化学実験
◆有機化学4~7/生化学3/分子細胞生物学/生物工学/応用生物工学
無機化学分野 ■無機化学1A・1B
◆無機化学演習1・2
■無機化学2/分析化学/無機及分析化学実験 ◆無機化学3〜7/結晶学/電気化学/地球環境化学
物理化学分野 ■物理化学1A・1B
◆物理化学演習1・2
■物理化学2A・2B ■物理化学3A・3B/物理化学実験
◆反応速度論/量子化学/界面溶液化学/ナノ計測化学/高分子化学/応用高分子化学/コロイド化学/応用コロイド化学/表面物理化学

2024年度 学修簿 卒業所要単位表

基礎科目 専門科目 一般教養科目 合計
専門基礎 基幹基礎 関連専門
基礎
必修 選択必修 選択 必修(英語) 選択
16 12 6 34 4 24 8 20 124

卒業研究・
研究室紹介
GRADUATE RESEARCH AND LABORATORIES

有機化学分野
有機化学は有機化合物のさまざまな性質やその合成法について研究する学問分野です。有機化合物は炭素原子が中心となる化合物で、いくつもの炭素原子の多様な結合により複雑な構造の化合物が作られます。有機化合物には生体分子や医薬品、高分子材料など重要な機能を持つものが数多く存在します。
無機化学分野
無機化学は周期表にある全元素を取り扱いますが、金属元素を中心に研究する学問分野です。特に“錯体”は同じ金属元素でも有機物の衣(配位子)を変えることで金属の性格を変えることができます。きれいな色を楽しみながら、分子配列を変えたり、触媒活性や機能性を持つ新しい化合物の世界を開拓します。
物理化学分野
物質はどんな構造をしていて、どんな性質を持ち、どんな反応をするのだろう? 工夫を凝らした実験と解析を通じて、このような疑問に対して解答を見いだしていくのが物理化学の醍醐味です。これまで誰も見ることのできなかった物質の世界に飛び込んでみませんか?
化学教育分野
本学の伝統である中学校や高等学校における教員の養成を念頭に、理学的な研究をベースとして、中学生や高校生を対象とする教育用実験の開発を行っています。また現在の教科書における、曖昧な記述や誤った記述を改善するための研究も行っています。自分の研究成果を携えて、学校で授業をしませんか?

学生の声 VOICE

まだ誰も解明していない化学反応新たな発見の予感に胸が高鳴る

井上研究室 4年 伊地知 敏大
千葉県・私立日本体育大学柏高等学校出身

印象的な授業 特別化学実験(研究室プレ配属)

※内容は取材当時のものです。

子供の頃に憧れた「毎日実験」 この研究室で現実になった

斎藤研究室 4年 太田 美寿々
長野県・県立松本深志高等学校出身

印象的な授業 有機化学3

※内容は取材当時のものです。

進路 CAREER

進路グラフ

2024年3月31日現在

主な就職先

  • [情報通信業]
    インテック、オービック、日本IBM、日本郵政インフォメーションテクノロジー、明治安田システム・テクノロジー

  • [教育・学習支援業、卸売・小売業]
    神奈川県公立高等学校、静岡県公立高等学校、東京都公立高等学校、埼玉県公立中学校、私立中学校・高等学校、SB C&S、そごう・西武、日立ハイテク、マクニカ

  • [公務員、化学工業、金融・保険業]
    経済産業省、防衛装備庁、埼玉県、東京都府中市、SBI新生銀行、静岡銀行、セントラル硝子、タキロンシーアイ、日産化学、日本カストディ銀行、陽進堂ホールディングス、りそなグループ

2021年3月~2023年3月卒業生

井上 研究室

[専攻]化学教育 [指導教員]井上 正之 教授 [キーワード] 化学実験教材の開発
[テーマ例]❶油脂を素材にする実験の開発 ❷シリカゲルに固定した実験試薬の開発 ❸繊維を素材にする実験の開発

本研究室では、主に高等学校の授業で使う化学実験の開発を行っています。高等学校の化学実験には、濃硫酸のような「危ない」薬品を使ったり、多量の重金属イオンを含む廃液が出たりするものが多くあり、実験が学校で敬遠される理由の一つになっています。私たちは、危険な薬品の使用を避けた安全でクリーンな実験や、注目されている面白い素材を使った実験を開発して、教育の現場に提供していきたいと考えています。「安全と環境に配慮した実験教材の開発」、これが私たちのテーマです。

榎本 研究室

[専攻]無機化学 [指導教員]榎本 真哉 准教授 [キーワード] 物性化学,錯体化学
[テーマ例]❶金属イオン、配位子、対イオン選択による磁気構造制御 ❷新奇配位高分子の開発 ❸錯体と有機物が複合した磁性体の開発

さまざまな機能性物質開発のためには、物質合成、物理的・化学的な性質の測定、得られたデータの解釈に基づく、さらなる物質開発へのフィードバックというプロセスが重要になります。特に物質の性質を決めるのに重要な役割を果たす“電子”の働きに注目して、さまざまな金属原子や有機配位子を用いて錯体などの分子集合体を構築し、集合体になることで単独のパーツでは現れない、磁性、伝導性、光物性、熱物性などが複雑に絡み合う、新たな物理的性質を持つ物質の開発を目指して研究を行っています。

遠藤 研究室

[専攻]有機化学 [指導教員]遠藤 恆平 准教授 [キーワード] 有機合成反応,分子触媒の開発,元素戦略
[テーマ例]❶複数の金属原子を有する分子触媒の開発 ❷立体選択的な炭素—炭素結合形成反応の開発 ❸新規錯体触媒と有機合成反応の開発

有機分子は、生命の制御だけではなく、有機ELや有機太陽光発電などの有用材料の発展に貢献する、柔軟性のある重要な物質の1つです。本研究室では、それら有機分子を駆使して、原子と原子の相互作用を活用する新しい機能の創製に取り組んでいます。従来は「原子の個性」を引き出す研究に注目が集まっていましたが、現在では「原子の個性」という制約に逆に縛られるようになりました。その個性にはない機能を、有機分子を用いて原子と原子の相互作用で実現することが目的です。

河合 研究室

[専攻]有機化学 [指導教員]河合 英敏 教授 [キーワード] 超分子化学,構造有機化学
[テーマ例]❶アロステリック会合を利用した情報増幅、高効率分子変換、自己増幅分子の開発 ❷イミン結合の動的共有結合性を利用したロタキサン分子など動的システムの開発 ❸高歪み芳香族性大環状分子および水素結合性格子構造の構築とその内部空間の化学

有機分子の中には、外部刺激に応じて形や運動性、色などを変える分子スイッチや分子マシン、ひとりでに規則正しい構造に組み上がる自己集合性分子、特定の分子を選んで捕まえるレセプター分子など、さまざまな物性を持った機能性分子が存在します。有機化学の力を使うと、多様な構造や物性を持つ化合物を独自に設計・合成することが可能になります。誰も作ったことのない未知の構造を作り出すことで、これまでにない新しい物性・機能性を持つ分子を開発(発見)し、新しい科学を切り拓いていきたいと考えています。

斎藤 研究室

[専攻]有機化学、有機金属化学 [指導教員]斎藤 慎一 教授 [キーワード] 超分子化学,構造有機化学
[テーマ例]❶新しい中員環構築反応の開発とその応用 ❷新規インターロック分子の合成―新しいナノサイエンス― ❸高周期元素の特性を持つ遷移金属錯体の合成と反応性の解明

7-9個の原子からなる環状の有機化合物(中員環化合物)は医薬品等によく見られる構造ですが、その合成は比較的困難です。本研究室ではこうした中員環化合物が簡単に合成できる新しい、環境に優しい(環境に対する負荷の少ない)反応を発見し、その応用について研究しています。また、インターロック化合物と呼ばれる、結合で結び付いていないユニークな構造を持った分子の合成やその物性について検討しています。さらに、金属触媒を用いる新反応についても研究を行っています。

下仲 研究室

[専攻]生物化学 [指導教員]下仲 基之 教授 [キーワード] タンパク質による細胞機能制御
[テーマ例]❶卵胞発育を制御する細胞間情報伝達機構 ❷血管新生を調節するさまざまな因子の相互作用 ❸サイログロブリンによる甲状腺機能の調節機構

すべての多細胞生物の生命活動は、さまざまな機能を持つ細胞が協調的に働き互いに制御し合うことで成り立っています。その際に必要となるのが細胞間コミュニケーションです。細胞は、近くにあるもの同士だけではなく離れた場所にある場合も、多様な手段を用いてコミュニケーションを図っています。私たちの研究の目的は、そのような細胞間コミュニケーションに関わる新しいタンパク質を発見し、それがどのような方法で情報を伝達するのかを解明するとともに、生命活動維持に対する意義を明らかにすることです。

田所 研究室

[専攻]無機化学 [指導教員]田所 誠 教授 [キーワード] 超分子錯体化学,分子機能化学
[テーマ例]❶分子性ナノ細孔に閉じ込められた巨大水クラスターの科学 ❷陽子─電子連動型錯体素子 ❸新規有機─無機分子性導体 ❹光─メカニカル・エネルギー変換 ❺人工メタンハイドレート

生物を作っているタンパク質や超分子化合物のような、自然に組み上がる性質を持つ分子を研究対象にしています。分子の持つ弱い水素結合や配位結合を使って、分子集積体のつながり方を制御し、ユニークな構造を持つ役立つ分子や結晶を作っています。例えば陽子と電子は結合すると原子になりますが、別々に動かすと分子のレベルで動かすスイッチになります。そして、これが集合体になると特殊な力を発揮して、生物に近い機能性が現れてきます。常温常圧で安定化された人工メタンハイドレートなど、水の関わる科学などを行っています。

築山 研究室

[専攻]物理化学・光化学 [指導教員]築山 光一 教授 [キーワード] レーザー分光学,励起状態化学
[テーマ例]❶レーザー分光法による電子励起状態のエネルギー緩和ダイナミックス ❷イオンイメージング法による光化学反応ダイナミックス

分子が光を吸収してエネルギーの高い状態(これを励起状態といいます)になると、分子は光を放出したり、結合が切れたりと実に多様な挙動を示します。励起状態における分子の振る舞いは、物質とその変化を取り扱う化学において最も重要な研究領域の一つです。人工光源であるレーザー光をうまく利用すると、このような目で見ることのできないさまざまな事象を詳細に知ることができます。われわれはレーザーを化学の研究に持ち込み、励起状態における分子の不思議を理解することを目的としています。

宮村 研究室

[専攻]無機化学 [指導教員]宮村 一夫 教授 [キーワード] 錯体化学,分析化学,界面化学
[テーマ例]❶走査トンネル顕微鏡による分子配列の観察 ❷長鎖アルキル鎖による分子配列構造の形成 ❸機能性金属錯体の分子結晶の育成と構造解析

金属イオンと有機物が化合した金属錯体や色素分子は構造が多様で、電気伝導性、磁性、発色などが特徴的です。これらの分子をアルキル基などを用いて巧みに並べ、新しい機能を持った材料を開発しています。分子の配列構造は複雑で、その微細構造(ナノ構造)は未解明のものも多くあります。そこで、構築したナノ構造を走査トンネル顕微鏡で直接観察したり、X線を使って解析したりしています。

由井 研究室

[専攻]物理化学、分析化学 [指導教員]由井 宏治 教授 [キーワード] 分光計測,溶液化学,コロイド・界面科学
[テーマ例]❶局所空間の水、水中における脂質分子、多糖類、タンパク質の自己集合体の形成と機能の計測 ❷極短パルスレーザーと顕微鏡を組み合わせた非線形レーザー分光顕微鏡の開発 ❸レーザー光の特性を応用した水を含むようなソフトマテリアルや生体膜のレオロジーや深さ方向の非破壊顕微計測法の開発

物質表面や内部のナノメートルスケールの空間に存在する水は、自然界に普遍的に見られます。このような水は物質の性質や機能に大きな影響を及ぼしており、とりわけ生命はこのような水の構造や性質を巧みに利用して、その活動を維持しています。しかし局所空間における極微量の水の構造や物性を計測するのは一般に難しく、まだ分かっていないことが多く残されています。われわれは局所空間の水の構造や物性を計測できる新しい手法や計測装置を開拓し、局所空間の水の本質に迫ります。

渡辺 研究室

[専攻]物理化学、表面化学 [指導教員]渡辺 量朗 准教授 [キーワード] 表面物理化学,光化学
[テーマ例]❶金属表面上のナノ構造における化学反応の解明 ❷水素や貴ガスなどの表面化学反応

化学反応を加速することのできる触媒の働きは、その上で分子や原子がどのように振る舞うかを調べることで理解できます。私たちは、宇宙空間と同等の清浄な超高真空環境を作れる実験装置中で、電子や光をプローブとして用いて、分子や原子が個体表面上で起こす化学反応を調べています。例えば、重要な物質である水素、反応しにくい物質である貴ガスなどが、金属に接触することで起こす変化や反応を、追跡しています。

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