Department of Biological Sciences

生命科学研究科 生命科学専攻

野田キャンパス

生命科学を通じて
伝えたい情熱がある。

生命科学専攻は、特定の学部に基礎を置かないユニ-クな形態で1997年に創設された生命科学研究科に設置された唯一の専攻です。本専攻では、生命医科学研究所の主要研究部門を基礎とし、分子生物学、免疫生物学、生命情報科学、分子病態学、時間生物学、免疫実験動物学など、現在注目を集めている研究テ-マを軸に、同研究所の設備等を活用し、高次生命科学の、とりわけ基礎医学、免疫学、神経科学、がん生物学などを中心にハイレベルな専門教育を行っています。ここでは、従来の個別化した専門分野にとらわれることなく、多角的な視点から研究活動ができる人材を育てるとともに、生命科学の“知”の拠点として研究成果を世界に発信することを目的としています。従って、理系総合大学である本学の卒業生はもちろん、異なる分野で科学の基礎を学んだ学生が世界各地から集まることも期待されています。それらの学生が最先端の設備を誇る研究環境の中で、生命科学の第一線で活躍する研究者である教員と切瑳琢磨しながら豊かな創造性と高度な専門知識を培うことにより、生命科学を切り拓く次世代の担い手として活躍することが期待されています。

概要図
  • 生命科学専攻の特徴1

    我が国における生命科学系分野の教育・研究を先導する、有為な生命医科学研究者を養成。

  • 生命科学専攻の特徴2

    実験研究の実践と共に生命科学の学問的基礎知識から最新の知見までの修得に重きを置いた体系的生命医科学教育。

  • 生命科学専攻の特徴3

    留学生の割合が多いという特徴を活かした、本学における国際化する生命医科学教育の先導的な役割。

カリキュラム CURRICULUM

科目区分 専門分野(部門) 授業科目 単位 履修方法 履修年次
専門科目 分子生物学 特別研究1A 3 必修 1
特別研究1B 3 必修 1
特別研究2A 3 必修 2
特別研究2B 3 必修 2
生命科学特別演習1A 2 必修 1
生命科学特別演習1B 2 必修 1
分子生物学特論 2 選択 1又は2
腫瘍発生学特論 2 選択 1又は2
免疫生物学 特別研究1A 3 必修 1
特別研究1B 3 必修 1
特別研究2A 3 必修 2
特別研究2B 3 必修 2
生命科学特別演習1A 2 必修 1
生命科学特別演習1B 2 必修 1
細胞免疫学特論 2 選択 1又は2
分子免疫学特論 2 選択 1又は2
臨床医学概論 2 選択 1又は2
生命情報科学 特別研究1A 3 必修 1
特別研究1B 3 必修 1
特別研究2A 3 必修 2
特別研究2B 3 必修 2
生命科学特別演習1A 2 必修 1
生命科学特別演習1B 2 必修 1
生命情報科学特論 2 選択 1又は2
分子病態学 特別研究1A 3 必修 1
特別研究1B 3 必修 1
特別研究2A 3 必修 2
特別研究2B 3 必修 2
生命科学特別演習1A 2 必修 1
生命科学特別演習1B 2 必修 1
生命情報解析特論 2 選択 1又は2
時間生物学 特別研究1A 3 必修 1
特別研究1B 3 必修 1
特別研究2A 3 必修 2
特別研究2B 3 必修 2
生命科学特別演習1A 2 必修 1
生命科学特別演習1B 2 必修 1
時間生物学特論 2 選択 1又は2
生体運命制御学特論 2 選択 1又は2
共通 生命システム論 2 選択必修 1
Biological Systems 2 選択必修 1
医学生物学英語特論 2 選択 1又は2
Immunobiology 2 選択 1又は2
生命科学特別演習2A 2 選択 2
生命科学特別演習2B 2 選択 2
一般教養科目 教養(共通) Basic Biomedical Science 2 選択必修 1又は2
固体地球科学概論 2 選択必修 1又は2
異文化セミナーA 2 選択必修 1又は2
異文化セミナーB 2 選択必修 1又は2
国際経済学特論 2 選択必修 1又は2
経営行動科学特論 2 選択必修 1又は2
社会的選択理論およびマーケット・デザイン 2 選択必修 1又は2
知的財産特論 2 選択必修 1又は2
知的財産と法制度 2 選択必修 1又は2
実践的リーダーシップを学ぶ 2 選択必修 1又は2
生命保険数学 2 選択必修 1又は2
イノベーション・チーム・ラボ 2 選択必修 1又は2
学校インターンシップ(アドバンス) 1 選択必修 1又は2
教授メディア学習論 1 選択必修 1又は2
理科探究学習論 2 選択必修 1又は2
Presentation Skills 2 選択必修 1又は2
Academic Writing 2 選択必修 1又は2
Critical Thinking 2 選択必修 1又は2
医療倫理 2 選択必修 1又は2
科学・研究と倫理 2 選択必修 1又は2
環境政策論 2 選択必修 1又は2
統計解析 2 選択必修 1又は2
防災地学特論 2 選択必修 1又は2
運動処方実践演習 2 選択必修 1又は2
生涯スポーツ実習1 1 選択必修 1又は2
生涯スポーツ実習2 1 選択必修 1又は2
がんを知りがんと闘う 2 選択必修 1又は2
エネルギー環境セミナー1 1 選択必修 1又は2
エネルギー環境セミナー2 1 選択必修 1又は2
防災科学概論 2 選択必修 1又は2
創域融合特論A 1 選択必修 1又は2
創域融合特論B 1 選択必修 1又は2
医理工学特論 2 選択必修 1又は2
エネルギーシステム工学特論 2 選択必修 1又は2
農理工学特論1A 1 選択必修 1又は2
農理工学特論1B 1 選択必修 1又は2
農理工学特論1 2 選択必修 1又は2
都市防災特論1A 2 選択必修 1又は2
都市防災特論1B 2 選択必修 1又は2
宇宙理工学概論 2 選択必修 1又は2
DX特論 2 選択必修 1又は2
人間安全衛生特論 2 選択必修 1又は2
教職教養専科A 2 選択必修 1又は2

※科目の内容など詳細情報については「シラバス」からご覧いただけます。

※本専攻は「英語で実施する授業科目(*)」の単位修得のみで修了することが可能です。

*日本語能力を有さない学生が授業を受講しても単位修得にあたり支障がない授業と定義します(「講義の一部を日本語で実施する」、「講義資料を英語とし講義は英語と日本語を混ぜて行う」等の工夫により、英語と日本語が混在する場合があります)。

2024年度 大学院要覧 修士課程修了要件
専門科目 一般教養科目
必修科目 選択必修科目 選択科目 4 30
16 2 8
  1. 専門科目 : 必修16単位、選択必修2単位、選択8単位以上
    一般教養科目 : 選択必修4単位以上
    合計 : 30単位以上を修得すること。
  2. 生命システム論とBiological Systemsについて、在学期間において両科目をともに履修することはできない。
  3. 「学校インターンシップ(アドバンス)」、「教授メディア学習論」、「理科探究学習論」については、教職課程登録者に限り履修することができる。
  4. 研究科の定めるところにより、次に掲げる授業科目を履修することができる。
    (1)他の研究科の授業科目
    (2)他大学の大学院の授業科目
    (3)学部の授業科目

    (1)及び(2)に規定する授業科目において履修した単位のうち、修士課程の単位として認定できる単位数は、8単位を限度とする。

科目区分 専門分野 授業科目 単位 履修方法 履修年次
専門科目 分子生物学
免疫生物学
生命情報科学
分子病態学
時間生物学
博士特別研究1A 5 必修 1
博士特別研究1B 5 必修 1
博士特別研究2A 5 必修 2又は3
博士特別研究2B 5 必修 2又は3
博士特別研究3A 5 必修 2又は3
博士特別研究3B 5 必修 2又は3
修了所要単位に含まない科目 ジョブ型研究インターンシップ 2 選択 1又は2又は3
  教養(共通) Basic Biomedical Science 2 選択必修 1又は2又は3
固体地球科学概論 2 選択必修 1又は2又は3
異文化セミナーA 2 選択必修 1又は2又は3
異文化セミナーB 2 選択必修 1又は2又は3
国際経済学特論 2 選択必修 1又は2又は3
経営行動科学特論 2 選択必修 1又は2又は3
社会的選択理論およびマーケット・デザイン 2 選択必修 1又は2又は3
知的財産特論 2 選択必修 1又は2又は3
知的財産と法制度 2 選択必修 1又は2又は3
実践的リーダーシップを学ぶ 2 選択必修 1又は2又は3
生命保険数学 2 選択必修 1又は2又は3
イノベーション・チーム・ラボ 2 選択必修 1又は2又は3
Presentation Skills 2 選択必修 1又は2又は3
Academic Writing 2 選択必修 1又は2又は3
Critical Thinking 2 選択必修 1又は2又は3
医療倫理 2 選択必修 1又は2又は3
科学・研究と倫理 2 選択必修 1又は2又は3
環境政策論 2 選択必修 1又は2又は3
統計解析 2 選択必修 1又は2又は3
防災地学特論 2 選択必修 1又は2又は3
運動処方実践演習 2 選択必修 1又は2又は3
生涯スポーツ実習1 1 選択必修 1又は2又は3
生涯スポーツ実習2 1 選択必修 1又は2又は3
がんを知りがんと闘う 2 選択必修 1又は2又は3
エネルギー環境セミナー1 1 選択必修 1又は2又は3
エネルギー環境セミナー2 1 選択必修 1又は2又は3
防災科学概論 2 選択必修 1又は2又は3
医理工学特論 2 選択必修 1又は2又は3
エネルギーシステム工学特論 2 選択必修 1又は2又は3
農理工学特論1A 1 選択必修 1又は2又は3
農理工学特論1B 1 選択必修 1又は2又は3
農理工学特論1 2 選択必修 1又は2又は3
都市防災特論1A 2 選択必修 1又は2又は3
都市防災特論1B 2 選択必修 1又は2又は3
宇宙理工学概論 2 選択必修 1又は2又は3
DX特論 2 選択必修 1又は2又は3
人間安全衛生特論 2 選択必修 1又は2又は3
教職教養専科A 2 選択必修 1又は2又は3
2024年度 大学院要覧 博士後期課程修了要件
必修科目 選択必修科目
30 2 32
  1. 専門科目 : 必修30単位
    一般教養科目 : 選択必修2単位以上
    ※修士課程在籍時に単位修得している一般教養科目の履修は認めない。
    合計 : 32単位以上を修得すること。
  2. 研究科の定めるところにより、次に掲げる授業科目を履修することができる。
    1)他の研究科の授業科目
    2)他大学の大学院の授
    3)学部の授業科目

    (1)に規定する授業科目において履修した単位は、博士後期課程の単位として認定できる。

伊川 研究室

[専攻]免疫生物学 [指導教員]伊川 友活 教授 [キーワード]免疫生物学
[テーマ例]❶造血幹細胞からリンパ球への分化制御機構 ❷免疫細胞分化における転写・エピゲノム・代謝制御 ❸造血器腫瘍の発症メカニズム ❹人工白血球幹(iLS)細胞を用いた免疫細胞療法の開発

免疫反応の司令塔であるT細胞やB細胞はリンパ球とも呼ばれ、造血幹細胞から作られます。造血幹細胞は成体では骨髄に存在し、生涯に渡り維持されます。T細胞は胸腺で、B細胞は骨髄でそれぞれ分化・成熟します。この仕組みを明らかにするために、私達は遺伝子レベル、細胞レベルから個体レベルにいたるまで、様々な方法を用いて研究を行っています。こうして得られた知見から再生医療や免疫細胞療法など、新しい治療法の開発を目指します。

岩倉 研究室

[専攻]免疫実験動物学 [指導教員]岩倉 洋一郎 教授 [キーワード]免疫実験動物学
[テーマ例]❶関節リウマチ発症に関与する遺伝子の探索と発症機構の解明 ❷自己免疫やアレルギー発症におけるIL-1やIL-17などのサイトカインの役割 ❸己免疫やアレルギー発症における自然免疫の役割 ❹腸管免疫の恒常性維持におけるC型レクチンやサイトカインの役割 ❺DCIRの免疫系、骨代謝系における役割 ❻発がんにおけるサイトカインの果たす役割

疾病の多くは自己の遺伝子の異常、あるいは病原性遺伝子の侵入によって引き起こされます。従って、新しい治療法を開発するためには、遺伝子の機能を知り、疾病との関係を理解することが重要です。このとき、病気は個体レベルでおこる異常であることから、病気の発症過程における遺伝子の役割を理解するためには、試験管の中での解析だけでなく、個体レベルの解析が必要です。個体レベルで遺伝子の働きを調べるには、特定の遺伝子を外から導入したマウス(トランスジェニックマウス)を作製したり、逆に特定の遺伝子の機能を失わせたマウス(ノックアウト(KO)マウス)を作製したりして、どのような異常が生じるかを解析することが有効です。私達の研究室では特定の遺伝子を個体レベルで改変することができる発生工学手法を早くから取り入れ、疾患モデルの開発や遺伝子の機能の解析を行ってきました。この結果、これまでに100種類を超える遺伝子改変マウスの作製に成功し、病気の発症に関わる多くの遺伝子を同定すると共に、病態形成おけるこれらの遺伝子の役割を明らかにすることができました。これらの遺伝子の多くは、現在世界的に患者が多く、有効な治療法の開発が望まれている自己免疫疾患やアレルギーに関連するものです。これらのマウスを利用することによって病気の発症機構を解明し、新たな治療法の開発につなげたいと考えています。

上羽 研究室

[専攻]炎症・免疫学 [指導教員]上羽 悟史 准教授 [キーワード]免疫生物学
[テーマ例]❶炎症性疾患の分子・細胞基盤の解明 ❷がん免疫モニタリングおよび新規複合がん免疫療法の開発

先進国における主な死因であるがんや慢性炎症性疾患は、科学技術の発展した現在でもなお難治性です。私達は松島研究室と連携し、最先端の遺伝子発現解析技術や情報解析技術、免疫学的解析技術を駆使した基礎・臨床研究を行い、炎症・免疫難病の発症過程の解明とその克服に取り組んでします。

北村 研究室

[専攻]分子生物学 [指導教員]北村 大介 教授 [キーワード]分子免疫学
[テーマ例]❶B細胞の抗原認識および活性化のメカニズム ❷記憶細胞や抗体産生細胞の分化制御機構 ❸B細胞がアレルギーを引き起こすメカニズムの解明 ❹in vitroにおける抗原特異的B細胞の選択と抗体の作製方法の開発 ❺B細胞を用いた癌のオーダーメイド治療法の開発

リンパ球B細胞は病原体やがんを排除する抗体を産生します。また、記憶細胞となり、私たちの体を感染から生涯守ります。一方、B細胞の制御異常は自己免疫病やアレルギーなどを引き起こします。このようなB細胞の活性化・分化・異常反応とその制御の仕組みを解明するために、私たちは、遺伝子の同定から細胞レベル・個体レベルにおける機能解析まで多彩な方法論を駆使して研究を行なっています。

久保 研究室

[専攻]分子病態学 [指導教員]久保 允人 教授 [キーワード]免疫学,アレルギー学
[テーマ例]❶制御T細胞による免疫応答の機構 ❷ヘルパーT細胞(Th1/Th2/Th17/TFH)の分化制御メカニズム ❸サイトカインシグナル伝達分子 ❹病患モデルマウスシステムの構築 ❺T細胞による抗体産生誘導の分子メカニズム ❻遺伝子ノックアウトマウス・トランジェニックマウスの作成

免疫系は数多くの細胞がからみあってその運命決定がなされ、そのお互いのかかわりあいの違いによってその機能の違いが生み出されているわけです。そこには当然のことながら、数え切れないくらい多くの遺伝子の時間的・空間的な発現の変化が関与してきます。特に免疫系の場合、自己・非自己を見分けながら様々な細胞がネットワークを形成し、分化・増殖・機能発現・死が巧妙にプログラムされています。私の研究室では免疫反応の機能発現に直接関連しているサイトカインに焦点を当てて研究を行っています。サイトカインは、免疫システムの細胞から分泌されるタンパク質で、特定の細胞に情報伝達をするとともに、免疫性疾患を司る炎症反応はサイトカインによって規定されていると言って過言ではありません。また、サイトカインは免疫応答に対して促進と抑制の両作用をもつものが存在することにより、過度の炎症反応が起こらないよう巧妙に過剰な免疫反応を調節します。この事から、サイトカインは様々な免疫系細胞の増殖、分化、細胞死を制御する事により、アレルギー炎症・自己免疫性炎症・慢性炎症を構成するとともに、その沈静化を制御する本質とも考えられています。

小園 研究室

[専攻]生命情報科学 [指導教員]小園 晴生 准教授 [キーワード]分子機能生物学
[テーマ例]❶タンパク質の“ゆらぎ”と機能発現 ❷T細胞の抗原認識機構 ❸MHCによる抗原提示 ❹自己免疫病の発症機構 ❺多様性からの生命システム構成

生命現象は多様であり、かつ複雑化していく、免疫系もしかりである。生命現象に普遍性はあるのだろうか。我々は免疫系の中の受容体とリガンドの相互作用という事象に注目している。免疫系は多細胞系であるが故に細胞間の連絡、通信が不可欠である。それを担うのは無数の受容体であり、そのリガンド達であるからだ。それらの受容体とリガンドは主にタンパク質でできている。それらの分子はX線結晶解析の図にあるような形を常に取っているわけではない。それらの分子は相互作用において様々に試行錯誤を繰り返し、結合、触媒を成し遂げているはずである。これはタンパク質構造に“ゆらぎ”が存在することにより可能になる。私はこの“ゆらぎ”の積極的な役割と機能の関係を明らかにしたい。そのために、生理学的、生化学的方法に加え物理化学的解析を行うことで分子機能の普遍性を探っている。

後飯塚 研究室

[専攻]時間生物学 [指導教員]後飯塚 僚 教授 [キーワード]発生免疫学,再生生物学
[テーマ例]❶ホメオボックス転写因子による幹細胞の未分化状態維持機構 ❷アレルギー炎症における肥満細胞と好塩基球の機能 ❸胸腺ニッチの維持再・生の分子機構 ❹免疫系の恒常性維持の分子機構 ❺遺伝子ノックアウトマウスの作成と解析

生命とは、自己破壊と自己創造が絶え間なく繰り返されている「場」であり、生と死のバランスの上に成立している生命は、その時間の中で、常に「新しい自己」として生まれ変わり続けているともいえる。そして、そのバランスの時間的維持こそが生命という高次システムの恒常性の維持(ホメオスタシス)であり、恒常性の破綻の過程が「老化」であり、その帰着として「生命の死」が到来すると定義できるだろう。しかしながら、遺伝子、細胞、器官、その総体としての個体、それぞれの階層における死には齟齬がある。個体が死滅しても、個体の外で細胞は生き延びることが可能であり、器官が死滅しても、個体は疑似器官によって生存可能である。そして、今や、細胞核の保存は個体の復元をも保証する時代になりつつある。それでもなお、生命とは時間的存在であるという意味において、死に向かう過程としての老化という現象は、全ての階層に共通するものであろう。2006年に新たにリニューアルされて、その産声をあげた本研究部門の現在進行形のプロジェクトを以下に紹介する。

昆 研究室

[専攻]分子生物学 [指導教員]昆 俊亮 講師 [キーワード]腫瘍生物学
[テーマ例]❶がん変異細胞と正常上皮細胞との細胞競合 ❷がん細胞と正常間質細胞との相互作用 ❸腫瘍リンパ管新生 ❹がん細胞の足場非依存的増殖能獲得の分子機構 ❺Wilms腫瘍(小児腎芽腫)の発生機序

我々は日々、紫外線、化学物質、ウイルス感染などの様々な外的要因による発がんストレスに暴露されており、毎日数千ものがん変異細胞が産生されていると推測されています。発がんに抗うため、生体には「細胞競合」という抗腫瘍機能が備わっており、正常細胞はがん変異細胞を認識し、排除していることが近年明らかとなってきています。このような細胞競合現象を含め、がん細胞が誕生したときの生体内反応を研究しています。

櫻井 研究室

[専攻]時間生物学 [指導教員]櫻井 雅之 講師 [キーワード]ゲノムRNA,編集病態学
[テーマ例]❶DNA及びRNA塩基の化学構造修飾編集機構が担う生命現象 ❷RNAが調節するゲノム安定性維持及び遺伝子発現制御機構 ❸これら制御機構の破綻により引き起こされる疾患の発症分子機構 -DNA損傷/修復異常/変異 -DNA:RNA間の異常構造体形成による細胞ストレス -細胞のがん化/炎症惹起/細胞死/細胞老化 ❹分子レベルからの解析に基づいたこれら疾患原因の検出と診断/治療技術の開発

「生命のセントラルドグマ」とはDNAから適宜必要な遺伝子をRNAへと転写し、機能発現体であるタンパク質を産生する遺伝子発現の流れです。各段階において多彩な発現調節機構が働くことにより、適切な遺伝子発現が保たれています。その中で、遺伝子情報そのものであるDNAとRNAの[A,G,C,T(U)]の基本となる4種の塩基構造を修飾編集する機構が細胞には備わっています。私たちは、この分子レベルにおける塩基化学構造の変化が最終的に寄与する生命現象の解明を行っています。

中野 研究室

[専攻]分子病態学 [指導教員]中野 直子 准教授 [キーワード]免疫機能調節学
[テーマ例]❶免疫系における自己と非自己、がんの識別 ❷γδT細胞による異常細胞の認識と自己免疫応答の制御 ❸樹状細胞によるがん抗原の提示と細胞傷害性T細胞の誘導 ❹TNFレセプタースーパーファミリー分子による免疫応答の制御

リンパ球は分化成熟する過程で遺伝子再構成により一つ一つが異なる多様な結合部位を持つ抗原受容体を発現するようになる。これらの中で自己に反応するものは排除され、多種多様な病原体や異物に反応するリンパ球が、私たちの体の中に備えられている。体に侵入した病原体は、樹状細胞などの自然免疫細胞により認識され、活性化した樹状細胞により処理された病原体の抗原がTリンパ球に提示される。その反応により様々な因子を介して異なる機能を持ったTリンパ球が分化し、抗原特異的な応答が起こる。私たちはこの応答が、外来抗原ではなく自己の体に発生する“がん”や自己免疫病の原因になる“自己抗原”に対して誘導されるメカニズムを解明し、がんに対する免疫応答を高め自己免疫応答を制御する方法の開発を目指している。

中村 研究室

[専攻]生命情報科学 [指導教員]中村 岳史 教授 [キーワード]神経科学
[テーマ例]❶軸索伸長・ガイダンスを制御するシグナル伝達機構の解析 ❷神経細胞における小胞輸送制御機構の解析 ❸次世代FRETイメージングシステムの開発

高度な情報処理システムである脳は、個々の神経細胞を単位とし、複雑であるが秩序だった神経回路網の上に成り立っている。脳神経系の機能発現は、多種多様な神経細胞の正確な位置への配置と神経細胞間のネットワーク形成によって実現される。私たちの研究室では、その複雑な時空間的制御の中で、神経突起(軸索)のターゲットへ向かう成長に焦点をあてて研究を行っている。軸索の成長は、「成長円錐という運動性に富む構造体がシグナル伝達系を用いて細胞骨格の再編と膜の付加を行なう」出来事であると見ることができる。そこに登場する主要なシグナル分子の活性を生きた細胞で可視化できるFRETイメージングという技術を駆使することで、そのシグナル伝達制御の時空間的な実体を詳細に見てとるとともに、情報科学的なアプローチを組み合わせることで軸索成長制御の基本原理を解き明かすことを目指している。

松島 研究室

[専攻]分子生物学 [指導教員]松島 綱治 教授 [キーワード]免疫生物学
[テーマ例]❶慢性炎症に伴う臓器線維化の分子・細胞基盤の解明とその制御 ❷がんに対する新規複合免疫療法の臨床開発 ❸細胞・臓器移植に伴う慢性拒絶機序の解明とその解除

組織に病原体や生体異物などの侵襲が起きると、組織常在細胞が異常を知らせるシグナルを出し、血液を循環する免疫担当細胞の組織浸潤を誘導します。浸潤免疫担当細胞と組織常在細胞が協調して異物の排除と組織の修復を行うことで、組織が正常化しますが、この過程に異常が起きると組織の機能が失われ病気が発症します。私達はこのような炎症・免疫反応ならびに病気の発症過程を分子、細胞、組織、個体レベルで解明するために、最先端の遺伝子発現解析技術や情報解析技術、免疫学的解析技術を駆使した基礎研究を行っています。得られた知見に基づき、病気の予防と治療につながる重要な標的分子を提供し、現在治療法のない炎症・免疫難病に対する治療法の開発を目指しています。また、近年発展著しいがん免疫治療の分野では、新しい複合免疫療法の開発にくわえ、基礎研究の成果を患者さんに届けるための臨床治験なども行っています

宮本 研究室

[専攻]分子生物学 [指導教員]宮本 悦子 教授 [キーワード]分子標的治療学,ケミカルバイオロジー
[テーマ例]❶インタラクトーム医科学に向けた細胞丸ごとインタラクトーム解析研究 ❷化合物によるタンパク質のプロテアソーム分解制御の研究 ❸標的タンパク質の動的機能解析が可能な疾患モデルマウスの創生 ❹標的タンパク質の(ノックダウン)によるがんや免疫制御の研究 ❺代謝物、食品成分、薬剤の副作用やドラッグリポジショニング研究 ❻分子間ネットワークやインタラクトームの起原と進化の研究

ゲノムプロジェクトによるヒトゲノム配列解読から10年、ポストゲノム機能解析を経て、次世代シーケンサの登場に至り、個人のゲノムが短時間・低コストで解読可能なパーソナルゲノム時代が到来しました。生体分子のあらゆるデータ(ゲノム、プロテオーム、インタラクトーム、メタボロームなど)のマルチオミクス解析に基づく疾患の標的分子同定が、臨床現場で可能となる時代は、すぐそこまで来ています。我々は、次世代シーケンサと、オリジナル技術であるインタラクトーム解析技術(IVV法)を活用して、個の医療(オミクス統合解析)に対応できる標的同定技術を研究して行きます。また、標的同定のみならず、化合物による標的の分解(ノックダウン)を制御する事で、これまでに無い革新的な疾患の検証と制御を目指します。ひとりひとりの疾患の標的を定める事で、QOL向上のためのオンデマンドな「個のための治療や薬づくり」を実現する次世代の標的同定・検証・制御技術の基盤確立を目指します。

専攻部門 担当教員 研究分野
分子生物学 客員教授 青木 一教 分子腫瘍学、腫瘍免疫学、遺伝子治療学
(国立がん研究センター)
※教授 北村 大介
客員教授 中面 哲也 腫瘍免疫学、がんの新規治療法・予防法・超早期診断法の開発
(国立がん研究センター)
※教授 北村 大介
客員教授 高橋 宜聖 感染免疫学
(国立感染症研究所)
※教授 北村 大介
分子病態学 客員教授 土原 一哉 腫瘍診断学、腫瘍治療学
(国立がん研究センター)
※教授 落合 淳志
客員准教授 山下 理宇 分子生物学、バイオインフォマティクス
(国立がん研究センター)
※教授 落合 淳志
客員教授 加藤 護 生物情報学
(国立がん研究センター)
※教授 落合 淳志
客員准教授 大橋 紹宏 がん分子標的治療薬の研究・開発
(国立がん研究センター)
※教授 落合 淳志
免疫生物学 客員教授 前田 健 人獣共通感染症学
(国立感染症研究所)
※教授 落合 淳志

※は副指導教員を表す。

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