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2020.09.24 Thu UP

本学大学院生らが第53回照明学会 全国大会で受賞

本学大学院生らが第53回照明学会 全国大会で全国大会優秀ポスター発表者賞及びヤングウェーブセッション優秀賞受賞

■優秀ポスター発表者賞

受賞者 理工学研究科 建築学専攻 修士課程1年 野崎 海地
指導教員 理工学部 建築学科 教授 吉澤 望
受賞題目 採光ブラインドの光環境解析手法の検討及び導光効果の把握
内容 近年、昼光利用を目的とした開口部周りにおける様々な窓装備が提案されており、中でも反射や屈折を利用し昼光を室奥まで導くシステムが注目されている。それらは、鏡面反射成分の割合が高い素材が使用されていることや複雑な形状を持つことから、室内光環境へ与える影響を正しくシミュレーションすることが比較的難しく、国内における検証事例も少ない。そこで本研究では、鏡面を有する採光ブラインドを取り上げ、実空間における光環境の測定結果と光環境シミュレーションRadianceを用いた計算結果を比較することにより解析手法の検証を行い、さらに導光効果の把握を行った。
本研究で使用した採光ブラインドは、ブラインドの上部と下部で別々にスラット角を調整でき、上部は採光部、下部は遮光部として機能する。また上部のスラットは特殊形状、かつ上面(凹面)が鏡面反射仕様のため、天井に直射日光の反射光を飛ばすことが可能である。
採光ブラインドが導入された空間における壁面・天井面平均輝度の実測値とシミュレーション値の誤差率を算出することで、その精度を検証した。計算方法としてはRadianceのデフォルトのレンダリング手法である Backward Ray Tracingと、光源から発せられるフォトンを予め計算することにより効率的に照明環境を予測できるPhoton mapping、さらに年間計算における計算の負荷を軽くするFive-Phase Methodを採用し検証した。マテリアル設定に関しては、拡散面を想定したものと、鏡面と拡散面の重ね合わせをしたものの2通りで行い、また、その反射率の情報を与えたブラインドモデルをそのまま計算に使用する手法の他、採光ブラインドモデルの反射・透過の特性を前もって計算して得られたBSDFデータを利用する手法の2通りで行った。
結果として、鏡面反射成分の割合が高いブラインドの計算方法としては、事前に複雑な開口部の光の透過を計算したBSDFを用いる手法もしくは Photon mapping を用いた手法が有効であることを確認した。また、採光ブラインドを用いることで室奥まで昼光を導光することができ、年間の照明エネルギーの削減にも寄与することが確認できた。今後はより多くの窓装備に関しても検証を進めていく必要がある。
受賞日 2020年9月15日

■ヤングウェーブセッション優秀賞

受賞者 理工学研究科 建築学専攻 修士課程2年 沼尻 恵
指導教員 理工学部 建築学科 教授 吉澤 望
受賞題目 窓面を含む空間の明るさ評価における算術平均輝度の適用範囲に関する考察
内容 「空間の明るさ」とは、ある空間を観察した際に受ける明るさの印象のことで、空間の快適性等を左右する要因の1つである。
執務空間を利用する時間帯は日中を含むことが一般的であり、窓がある空間ならば昼光が入射する。設計時には、昼光の影響を含め「空間の明るさ」を計画出来ることが望ましく、その評価方法の必要性が指摘されてきた。しかしながら、人工照明と昼光の区別無く、精度良く「空間の明るさ」を評価できるかどうかについては結論に至っていない。
昼光を含む「空間の明るさ」の研究は、人工照明と同じ評価方法で説明できるとするものと、人工照明のみと昼光を含んだ条件間で明るさ知覚の傾向が異なる傾向を示すものに大別できる。この違いの要因として、昼光が含まれる空間では「空間」の指す対象に窓(の外)を含むか否かによる影響が指摘されている。つまり、評価対象とする「空間」の定義による影響が、双方の結果の要因であると考え、本報では「空間の明るさ」の評価対象を「見ている全てから判断される明るさ(見えている全ての部分の明るさで、屋外と室内の区別をしない)」と「室内の明るさ(自分のいるところの、窓面を除いた明るさで、屋外と室内の区別をする)」と明確に分けることで、その影響について確認すると共に、昼光を含んだ「空間の明るさ」評価方法について検討を行った。
本報では人工照明のみで照らされる空間、昼光と人工照明で照らされる空間、昼光のみ照らされる空間を被験者に呈示し、明るさ評価をさせる被験者実験を実施した。
その結果、目的変数を明るさ評価結果にし、説明変数を全視野算術平均輝度にした場合と窓面を除いた部分の算術平均輝度にした場合を比較すると、後者の方が決定係数が高く、窓面以外の部分で明るさを判断する傾向にあることが分かった。 昼光を含んだ「空間の明るさ」について、評価対象を明確にし「見えているもの全てから判断される明るさ」と「室内の明るさ」と分けて検討したところ、評価に違いがみられ、昼光を含む既往研究の傾向の違いの要因の一つに、評価対象範囲の相違である可能性を示した。
受賞日 同上

2020年度(第53回)照明学会全国大会
https://www.ieij.jp/annualconf2020/news/post200915.php
一般社団法人 照明学会https://www.ieij.or.jp/index.html

吉澤教授 大学公式ホームページ:https://www.tus.ac.jp/fac_grad/p/index.php?3b70

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