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2020.02.13 Thu UP

本学大学院生らが2019年(令和元年)度空気調和・衛生工学会大会において、優秀講演奨励賞を受賞

本学大学院生らが2019年(令和元年)度空気調和・衛生工学会大会において、優秀講演奨励賞を受賞しました。

受賞者 工学研究科 建築学専攻 修士課程2年 海老原 雄輝
指導教員 工学部 建築学科 教授 長井 達夫
受賞題目 不定期使用室における熱負荷計算の精度向上に関する研究
受賞内容 熱負荷計算を行う場合、通常は計算対象となる室用途に応じて空調スケジュールをあらかじめ固定的に与えてシミュレーションを行う。しかし、事務所の会議室やホテルの客室など、室の使用が間欠的、不規則でかつ空調発停も居住者に委ねられている場合には実態との間に乖離が生じる可能性がある。本研究ではマルチパッケージ空調機の実測データをもとに、不定期使用室での空調運転の実態調査を行い、どの程度室が不規則に使われているのかの調査を行った。また、状態遷移確率を用いてモンテカルロシミュレーションを行い、不規則な在室の有無を再現可能な室使用モデルを提案し、実態に近い熱負荷計算を目指した。
現在、設計で用いられる一般的な固定スケジュールを用いて熱負荷計算を行うと、室温が極端に上昇しないため、室内機では最大負荷を過小に、また、すべての室内機の立ち上がり負荷を同時に賄うため、室外機では最大負荷を過大に評価してしまうことが確認された。ここでは、マルチパッケージ方式で検討を行ったが、FCU等の個別発停可能な中央熱源方式でも同様の傾向になると考えられる。一方、室使用モデルを用いて熱負荷計算を行った場合では、長期間の非空調時間や室内機の立ち上がり負荷が同時に発生しないことから、室内機、室外機ともに最大負荷を適切に評価することが可能となった。
給水負荷や電力負荷の最大負荷の算出においては、同時使用率や需要率を考慮して供給源の近い機器ほど、その機器にかかる最大負荷を低減化する設計手法が採用されてきた。一方、空調設備機器の容量算定においては、空調機に対しても熱源に対しても、各室の負荷を単純に積み上げることにより、賄うべき最大負荷を算出しているのが一般的とされている。本研究で提案した室使用モデルを用いることで、熱源容量の過剰設計を防止することが可能になると考えられる。
受賞日 2020年1月5日
受賞者 工学研究科 建築学専攻 修士課程1年 町田 紗江子
指導教員 工学部 建築学科 教授 長井 達夫
工学部 建築学科 助教 池田 伸太郎
受賞題目 サーマルグリッド方式を用いた建物間熱融通による省エネルギー効果の検討
受賞内容 近年、低炭素化に寄与する都市のエネルギーシステムとしてエネルギーの面的利用が注目されている。エネルギーの面的利用の一種である建物間熱融通とは既存の熱源機器を利用しながら複数の建物間で熱融通を行い、エネルギー消費の効率化を図るシステムである。本研究では建物間熱融通システムの中でも、中尾ら(大阪市立大学)によって提案されたサーマルグリッドについて取り上げた。
サーマルグリッドでは、建物間を二重ループ配管で繋ぐことで往還や温度を定めず自由度の高い配管構成を実現する。このシステムの省エネ性を評価することを目的として、建物単独での運転と従来型の建物間熱融通運転、サーマルグリッドでの建物間熱融通運転、それぞれの消費電力を比較した。手法としては、熱媒の温度と流量をシミュレーションする方法を構築し、最適化プログラム(メタヒューリスティクス)と連成した。また、計算では熱源機特性と空調機コイル特性に関しても考慮した。計算条件としては冷房負荷のみとし、建物2棟における抽象化した建物熱負荷パターンの下に検討を行った。この結果、部分負荷特性の悪い熱源機を用いたケースでは、合計の建物熱負荷が低い程、建物間熱融通による特に高い省エネ効果が得られることを明らかにした。また、従来は一定の値に固定することが多かった熱源出口温度を、熱負荷の増減に応じて適切に制御することで省エネにつながることを改めて確認した。
受賞日 同上

公益社団法人空気調和・衛生工学会のページ:http://www.shasej.org/

長井教授のページ:https://www.tus.ac.jp/fac_grad/p/index.php?48b9
池田助教のページ:https://www.tus.ac.jp/fac_grad/p/index.php?71c3

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