教養教育研究院
ACADEMICS


教養教育研究院の目的(理念・ミッション)
教養教育研究院は、本学における「教養教育の日標」の実現のために、教養と専門が有機的に連携し並列した教育を展開することで、優れた専門性を補完する能力を学生に等しく獲得させ、教養と科学と技術を一体と捉え、複雑化・多様化する社会で活躍できる人材の育成に寄与することを日指す。そのために、本学における教養教育の在 り方の検討、教員の専門分野に係る研究の推進、教育課程の検討 ・実施、教育方法の開発、新たな教育プログラムの検討 ・導入等を実施することにより、本学の教養教育・研究の持続的発展及び質の向上に資することとする。
院長挨拶

東京理科大学
教養教育研究院長
松本 和子
専門教育と補完し合う教養教育―好奇心を育み、高める
教養教育研究院は2021年に設置された組織です。学部教養に配置されていた教養組織を改め、ひとつに集約することで発足しました。背景にあるのは、2017年に制定された「教養教育の目標」です。「教養教育の目標」には、教養教育を通じて学生が等しく身につけることを目標とする5つの能力が掲げられています。目標達成のためには何をしたらよいか。議論を交わす過程で生まれたのが、専門教育を担う学部との連携をとりつつ、全学横断的に教養教育の発展に資する組織作りの構想です。この構想の実現を図るために、2018年に全学的検討組織「教養センター」を立ち上げ、入念な準備に3年をかけました。同センターの活動実績をもとに誕生したのが教養教育研究院です。
教養教育研究院は、名称が示すように教育面のみならず研究面にも注力する組織です。研究力向上を意図し、各教員は強い意志と熱意をもって研究に励み、成果を上げています。この点を押さえた上で教育面に特化して焦点を当てた場合、注目に値するのが本学オリジナルの教養教育カリキュラム「TUSくさび形教養教育カリキュラム」(略称:「TUSくさび」)です。
「TUSくさび」の導入は、教養科目の配置における抜本的見直しを意味します。従来のカリキュラム―3年生以上で専門の学習に専念できるように1,2年生で教養科目の単位を取りきりやすいスタイル―に教養教育のくさびを打ち込むイメージで、3年生以上で教養科目4単位以上の取得を必須としました。教養教育と専門教育に同じ重みを与えて並置させ、互いに補完し合う学びの環境を確立することが狙いです。高学年での教養科目との出会いは、深まった専門知の相対化を可能にする機会でもあります。そして、専門教育と教養教育が共鳴する中で行われる知の営みは、好奇心を育み、高める素地となることでしょう。こうして生まれた好奇心は、一人ひとりの学生を新たな知的空間へ導くと信じます。
教養教育研究院は若い組織です。若さをひとつの力に、こうした「TUSくさび」の導入をはじめ、4キャンパスに所属する100余名の教員が知恵と力を合わせてさまざまなチャレンジに意欲を燃やしています。専門分野以外にも関心の幅を広げることを願って開催するセミナー、教員が自らの言葉を添えておすすめの本を紹介する企画などがその例です。本学で受けた教養教育が学生にとって生涯の糧になることを願い、教養教育研究院は前進を続けます。
教養教育の目標
本学における教養教育は、専門教育と互いに補完し合いながら、体系的・段階的に行うことによって、課題が複雑化・多様化し、グローバル化した現代社会の中にあっても、優れた専門性を支える基盤となる以下の能力を、学生に共通に身に付けさせることを目標とする。
- 専門分野の枠を超えて広い視野で多元的・複眼的に自然・人間・社会を俯瞰できる能力
- 多様な文化・言語を理解し協働するための国際性を身に付けるとともに、グローバル化した社会の中で、多様な価値観を持つ人材とコミュニケーションを取れる能力
- 課題を自ら発見し、主体的に考え、解決に取り組むための論理的・批判的思考力
- 正解のない課題に対しても積極的に挑むための判断力・行動力
- 社会の激しい変化の中でも自らを律し、自らの位置付けやキャリア形成を確立するとともに、心身ともに自己を管理する能力
- 本学におけるノブレスオブリージュの精神のもと、高い志をもって世界の発展・持続に率先して貢献する能力
TUSくさび形教養教育カリキュラム
TUSくさび形教養教育カリキュラムでは、科目の分類を「5つの科目群」に区分するとともに、科目の学際化・多様化・高度化を示すため学修段階をカテゴリー別に割り振り、履修可能学年及び学年による修得単位の条件等を設けることにより、段階的な教養の学びを実現します。
また、1年次から4年次、さらに大学院においても、専門科目と並行して一般教養科目を配置するとともに、専門教育が深まった3年生以上の段階において教養の単位修得を必須としています。
カテゴリー
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カテゴリーA:1年次前期に開講
各分野の広さや面白さ、意義等の気づきのための「ガイダンス的科目」 -
カテゴリーB:1年次前期から2年次後期まで履修可能
各分野における概論や総論的内容の科目 -
カテゴリーC: 2年次前期から4年次後期(薬学部薬学科は6年次後期)まで履修可能
課題解決型、多様な分野の総合に加え、学際性を持つ科目 -
カテゴリーD:3年次以降に開講する
教養の特定の分野に強い関心・興味を持った学生を対象とした科目 -
カテゴリーN:科目により履修学年を指定
具体的な履修学年は各キャンパス(学部)で設定する
科目の分類(5つの科目群)
本学における一般教養科目は、科目の種類(分野)や学ぶ内容を、わかりやすく示すため、次の5つの科目区分に分類しています。
科目区分
- 自然を学ぶ科目群
- 人間と社会を学ぶ科目群
- キャリア形成を学ぶ科目群
- 外国語を学ぶ科目群
- 領域を超えて学ぶ科目群