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2026年 新春対談
NEW YEAR’S SPECIAL TALK
浜本隆之理事長×石川正俊学長
2031年の創立150周年へ向け変革の時を迎える理科大は、どこへ向かおうとしているのか。
2025年の出来事を振り返りつつ、2026年の方針、そして150周年を見据えた未来像について、理事長・学長のお二人に語っていただきました。
左から浜本理事長、石川学長
2025年を振り返って印象に残っている出来事について
石川学長
石川 正俊 学長(以下:石川)新年あけましておめでとうございます。 昨年の本学を振り返りますと、2025年4月には『TUS SciTech共創推進本部』を設置しました。2024年に策定した『TUS SciTech構想』は、研究力の飛躍的強化と学術基盤の高度化を図るための大学横断的な取り組みです。理科大が長年培ってきた独創性や分野横断性をさらに発展させ、世界から研究者が集う研究大学としての姿をより確かなものにすることを目的としています。構想の具体化に向けて設置したこの本部では、教育・研究・産学連携・学生支援・国際化を担う副学長が集い、研究力強化と教育改革を同時に推進できる体制を整備しました。学内の取り組みが部局横断で結びつき、大学全体として一方向へ進む基盤が整った一年だったと感じています。
浜本 隆之 理事長(以下:浜本)あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
昨年の法人の概況をお話ししますと、施設面では、葛飾キャンパスの新棟『共創棟』の稼働と、薬学部の移転が大きな節目となりました。構想開始から16年をかけて完成した建物であり、葛飾キャンパス整備の集大成とも言えるものです。共創棟は、異なる分野の教員や学生が自然に交わることができるよう、多目的スペースが有機的に配置されています。自習や対話のエリア、研究発表の場、心身を整えられる空間など、研究と学修を立体的に支える設計が随所に施されています。薬工連携の深化にも繋がっており、キャンパス全体に新たな活力が生まれています。さらに葛飾キャンパスでは、地域との連携も確実に広がっています。地場産業や自治体と協働し、地域とともに価値創造を進めるキャンパスとしての存在感が高まった一年でした。
加えて、2025年は2031年の創立150周年に向けた事業が本格的に動き出した年でもあります。昨年公表された150周年事業のコンセプトは、“心躍る、未来創造 — Building a Better Future with Science — ”というもので、理科大が科学の力で社会に新たな価値をもたらし続ける姿勢を示すものです。これは記念行事に留まるものではなく、教育・研究の充実、キャンパス整備、卒業生・地域社会との新しい関係構築など、未来へ向けた実質的な改革を進めるための起点として位置づけています。理科大が次の世代へ歩みを引き継ぐための極めて重要なプロジェクトが、いよいよ始動した年だったと言えます。
石川また、大学発ベンチャー企業数が全国6位(私学2位)となるなど、本学の事業化の推進に関する取り組みが社会的にも評価されました。産学連携機構の専門的支援、インキュベーション環境、スタートアップエコシステム“TUSIDE”などの取り組みが大きな成果につながったものだと考えられます。さらに、文部科学省による『研究開発マネジメント人材に関する体制整備事業』に体制強化機関として採択されました。研究支援人材の育成や外部資金獲得支援の強化など、研究力の中長期的強化に直結する取り組みが始まった節目の一年だったと考えています。
2026年、大学として重点的に取り組むテーマについて
浜本理事長
浜本 第2期学部・学科再編として、『創域情報学部』と『科学コミュニケーション学科』が誕生します。創域情報学部は本学としては33年ぶりの新学部、科学コミュニケーション学科は科学コミュニケーションの名前を冠する日本で初めての学科で、いずれも大きな挑戦です。高度なデジタル人材の育成を主眼に、先端的な情報科学技術を強化するとともに、その裾野を広げ、世界に伍する人材育成を進めていきます。今般の学部再編にあたっては、理事会としては開設に向けた施設面、財務面を始めとする基盤を整備してきましたが、教育、研究については学長室の下で進めています。
石川 本学ではこれまでも情報科学技術の活用を推進し、教育基盤の整備を続けてきましたが、2026年は学部再編も含め、それをさらに進化させる年になります。学長室としては情報分野の教育研究の方向性として、次の4つを掲げています。① 専門分野の強化:創域情報学部の新設 ② 研究成果を社会へ伝える:科学コミュニケーション学科の新設 ③ 理工系他分野での高度な情報技術の応用 ④ 全分野の情報化の底上げ。創域情報学部ではクロスアポイントメント制度を活用し、企業で活躍する高度専門人材を専任教員として迎えます。さらに同じキャンパスの創域理工学部の研究室でも学べる『ダブルラボ』制度を導入し、学生が横断的に学び、研究できる環境を整えていきます。科学コミュニケーション学科では、理学の知識に加えてデータサイエンスや情報活用能力を備え、科学を社会へ多面的に伝える専門人材を育てます。
浜本 学長が述べたような教育・研究面での進化を支えるため、法人として取り組む大きな課題のひとつとしてキャンパスの再構築があります。葛飾キャンパスは二期工事が昨年度で概ね完了しましたので、今年は引き続き、神楽坂キャンパス、野田キャンパスの再構築に取り組みます。神楽坂キャンパスでは持続的利用が可能な都市型キャンパスを目指した具体案の検討を、野田キャンパスでは薬学部移転後の跡地の改修計画を含め、より安心安全なキャンパスづくりを目指して計画を進めていきます。また、2026年は「中期計画2026」を締めくくる最終年度であり、同時に次期中期計画の策定を見据えた議論が本格化する年でもあります。大学の存在意義や理念を再確認し、150周年を見据えながら、方向性をしっかりと示していきたいと考えています。
石川 TUS SciTech構想の具体化として、研究力のさらなる向上を進めるとともに、半導体人材育成事業の強化、博士学生に対する支援制度の整備、高度な研究開発マネジメント人材の育成など、2026年も多くの施策が動き出します。教育・研究・産学連携を横断的に強化し、「世界から研究者が集まる大学」という目標に向け、基盤づくりを着実に進めていきます。
理科大の将来ビジョンと戦略、社会的課題への対応について
石川 科学技術が社会を牽引する時代となり、理工系人材への期待はますます高まっています。本学の卒業生の活躍も広がり、社会からの信頼を実感しています。その中で本学が特に力を入れているのが、大学院教育の拡充です。博士課程への進学支援や研究環境整備、社会人学生の受け入れ拡大など、学部から博士まで一貫した教育体系をより強化していきます。また、国際化への対応も重要です。英語授業の拡大、海外企業との共同研究、留学生支援の強化など、多面的に取り組んでいきます。世界から研究者が集う大学を目指し、国際研究ネットワークの拡大を一層進めていく考えです。さらに、TUS SciTech構想の具体化として、産業界や地域との連携強化を進めています。葛飾キャンパスでは薬学部の移転を機に、医薬工の連携を深めるとともに、連携ビレッジ構想など、地域とともに未来を創る取り組みを広げています。
浜本 社会から本学への期待に力強く応えていくために、法人としても体制基盤の整備・強化を進めていきます。昨年施行された改正私学法により、より高度なガバナンスが求められており、本学としても引き続き緊張感を持って取り組んでいきます。同時に、日本全体が超高齢社会に突入する中で、科学技術、とりわけデジタル技術の重要性はこれまで以上に高まっています。医療、福祉、産業など、社会基盤の多くがテクノロジーによる革新を必要としており、理科大で育つ理工系人材がその中心的役割を担うと期待しています。理事会の最大のミッションは、こうした教育・研究を支える財務基盤の強化・環境整備です。キャンパス再構築は50年、100年先を見据えた取り組みであり、慎重かつ着実に進める必要があります。150周年ビジョン『TUS VISION150』のもと、伝統と革新を両立させ、“世界の未来を拓くTUS”の実現を全学で目指していきます。
新年の抱負、学生・教職員へのメッセージ
浜本 学生の皆さんには、学問の楽しさや奥深さに触れ、積極的に挑戦する姿勢を持ち続けてほしいと思います。10年後・20年後を思い描き、その未来へ向けて今日すべきことに向き合ってください。教職員の皆さんには、150周年に向け“オール理科大”で力を合わせていただければと思います。卒業生や社会の皆さまとのつながりを深めるため、大学の情報を継続的にお届けする新たなメールマガジン「TUS Connect」を開始しました。理科大の歩みや考え方を分かりやすく伝え、共に未来を見つめ続けるための大切な取り組みとして継続的な情報発信を実施していきますので、皆様におかれましても大きく成長を続ける本学への変わらぬご支援をいただければと思います。
石川 学生の皆さんには、「今日見ている世界は、明日には大きく変わる可能性がある」という意識を持ってほしいと思います。生成AIが示したように、変化は想像以上に早く訪れます。だからこそ、知識の裏にある“知的生産の構造”を学ぶことが重要です。教職員の皆さんには、その力を育む教育を引き続きお願いしたいと思います。新しい研究を生み出すには挑戦が不可欠です。私は「正しい失敗を褒める文化」を理科大に根づかせたいと考えています。卒業生の皆さんには、理科大で得た学びを誇りに、今後も科学技術の発展に貢献していただければと思います。
浜本 2040年には理工系人材が100万人不足するとの試算があります。「理学の普及を以て国運発展の基礎とする」という建学の精神を持つ理科大は、日本と世界の発展に資する人材を輩出し続ける使命があります。そのためにも、“理科大で学びたい”と強く思ってもらえるような魅力ある大学にしていきたい。理事会としては財政・環境整備に引き続き取り組む所存です。150周年、そして200周年へ向けて、未来でも第一線で価値を生む大学であり続けるために、責任を果たしていきたいと思います。
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理事長
浜本 隆之 Takayuki Hamamot - 1992年東京理科大学工学部第一部電気工学科卒業。1997年東京大学大学院工学系研究科電気工学専攻博士課程修了。博士(工学)(東京大学)。1997年東京理科大学工学部電気工学科嘱託助手。専任講師、助教授、准教授を経て、2011年に教授就任。2014年東京理科大学大学院工学研究科長、2016年東京理科大学工学部長、2021年に学校法人東京理科大学第9代理事長に就任。
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学長
石川 正俊 Masatoshi Ishikawa - 1977年東京大学工学部計数工学科卒業。1979年東京大学大学院工学系研究科計数工学専門課程修士課程修了。1988年工学博士(東京大学)。1979年通商産業省工業技術院製品科学研究所研究員、1989年東京大学工学部計数工学科助教授。その後、東京大学大学院教授、同大学総長特任補佐、副学長、理事・副学長、情報理工学系研究科長等を経て、2022年に東京理科大学 第11代学長に就任。2011年紫綬褒章、その他国内外にて受賞多数。
