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省CO₂・省力化コンクリート「ハイプロダクリート」(High-producrete)を開発
-コンクリートのCO₂排出量を最大73%削減し、施工時間も半減-
東急建設株式会社
東京理科大学
東急建設株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:寺田光宏)と東京理科大学(東京都新宿区、学長:石川正俊)は、CO2排出量を削減するとともに、施工の省力化を実現できるコンクリート「ハイプロダクリート(High-producrete)」(商標登録出願中)を共同で開発しました。
コンクリート分野における低炭素化の実現には、主原料であるセメントの置き換えが効果的です。「ハイプロダクリート」は、ポルトランドセメントを混和材に置き換えたコンクリートです。用途によって置き換える比率は異なりますが、今回開発したものは一般的な新設の土木構造物のコンクリート工事を対象とし、混和材である高炉スラグ微粉末を多く使用して、流動性を高めています。実構造物を模擬した壁部材による実大施工実験の結果、従来のコンクリートと比較してCO2排出量は最大で73%削減され、施工時間は58%削減される効果を確認しました。構築した壁は、初期欠陥がない外観で、表面気泡や色むらも少ない良好な出来栄えです。
当社では、本年度中に「ハイプロダクリート」を現場適用する予定です。


CO2排出量および施工時間割合

写真2 構築した壁部材の出来栄え(左側:従来のコンクリート 右側:ハイプロダクリート)
開発の経緯
国土交通省関東地方整備局では、大学等の研究機関が持つ先端的な技術(シーズ)と、現場ニーズをマッチングし、早期の社会実装・実用化を促す「大学等研究機関とのマッチング※1」(以下、技術マッチング)を令和2(2020)年度から実施しています。令和4(2022)年度の「インフラ分野の脱炭素化に寄与する技術」に採択された東京理科大学(研究代表者 加藤佳孝)の研究開発テーマ「混和材大量使用締固めを必要とする高流動コンクリートの開発」(研究開発期間:令和4(2022)年度~令和6(2024)年度)について、東急建設と東京理科大学が共同で研究開発を行った成果が「ハイプロダクリート」です。
開発コンセプト
「ハイプロダクリート」は生産性の向上を実現できるコンクリートの総称です。今回開発したタイプの「ハイプロダクリート」は、『ポルトランドセメントの大部分を資源循環材料(副産物、リサイクル材料等)使用の混和材に置き換えることでCO2排出量を削減し、スランプ管理コンクリートよりも流動性を高めて施工の合理化や省力化を図ること』をコンセプトとしています。
一般的な新設の土木構造物のコンクリート工事に適用できる「ハイプロダクリート」の仕様は、表1のとおり、呼び強度24・27・30、単位水量175㎏/㎥以下、水結合材比55%以下です。
「ハイプロダクリート」は、今後もラインナップを増やしていく予定です。
項 目 | 内容 |
---|---|
タイプ | B70、B80(高炉スラグ微粉末置換率70%、80%) |
呼び強度 | 24、27、30(製造から28日後の圧縮強度の保証値) |
流動性 | スランプフロー45cm |
単位水量 | 175㎏/㎥以下 |
水結合材比 | 40~55%程度 |
東急建設は2030年を到達年度とする長期経営計画において、3つの提供価値「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」を戦略の軸にしています。「ハイプロダクリート」は脱炭素と建設現場の生産性向上に寄与する技術であり、今後、現場適用を進めて建設業の課題解決に貢献してまいります。
(参考)
※1 「大学等研究機関とのマッチング」
国土交通省関東地方整備局による、建設現場の生産性向上を図る「i-Construction」を推進するための「技術(シーズ)マッチング」助成制度。公募新技術(シーズ)と、現場において解決したい課題(ニーズ)のマッチングにより、新技術の現場活用と産学官連携による技術研究開発の促進を目的としている。
【関連サイト】
報道関係者向けプレスリリース
省CO2・省力化コンクリート「ハイプロダクリート」(High-producrete)を開発
― コンクリートのCO2排出量を最大73%削減し、施工時間も半減 -
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