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本学教員らの論文が『European Journal of Organic Chemistry』(2020年8月号)のCover Featureに選定
本学 理学部第一部 応用化学科・椎名勇 教授、研究推進機構 総合研究院・殿井貴之 研究員らの研究グループの論文(Total Synthesis of the Antitumor Depsipeptide FE399 and Its S-Benzyl Derivative: A Macrolactamization Approach)が、Wiley-VCH社の出版する学術誌(European Journal of Organic Chemistry)の2020年8月号のCover Featureに選定されました。
がんは、現代社会において死因の一位を占めており、生涯のうちに男性は2人に1人、女性は3人に1人が何らかのがんにかかるといわれており、新しい治療技術や薬の開発は、重要な社会課題です。
FE399は、真菌の1種であるAscochyta sp.の培養物から単離された天然の新規化合物で、ヒト大腸がん細胞をはじめとするさまざまながん細胞および腫瘍細胞に対する増殖抑制効果を持ちます。
今回の論文では、本学で開発された高速脱水縮合剤であるMNBA(2-Methyl-6-nitrobenzoic Anhydride)を三段階の鍵反応に用い、FE399の高効率な全合成が実施できることを研究チームは発見しました。
Cover PictureはFE399の全合成における各反応ステップを時間経過に合わせ概略的に示しています。求核触媒としてDMAPまたはDMAPOを用い、MNBAの存在下で、エステル結合・ペプチド結合・アミド結合形成反応が速やかに進行し、所望のFE399のマクロラクタム環が得られる様子が描かれています。本研究で合成ルートが確立されたFE399は、新規抗がん剤のリード化合物とした今後の抗がん剤の開発に大きく貢献すると期待されます。
詳細は誌面およびYouTubeをご覧ください。
掲載論文:European Journal of Organic Chemistry, 2020 (32), 8月31日号, 5119-5125. 著者:T. Tonoi(本学、研究員), M. Ikeda(本学、大学院生), T. Sato(本学、大学院生), T. Inohana(本学、大学院生), R. Kawahara(本学、大学院生), T. Murata(本学、助教), I. Shiina(本学、教授)
(著者詳細)
理学部第一部 応用化学科 教授 椎名 勇
研究推進機構 総合研究院 実践的有機合成を基盤としたケミカルバイオロジー研究部門 研究員 殿井貴之
理学部第一部 応用化学科椎名研究室 助教 村田 貴嗣
理学研究科 化学専攻 修士課程修了 池田 美雪
総合化学研究科 総合化学専攻 修士課程修了 佐藤 輝幸
総合化学研究科 総合化学専攻 修士課程修了 猪鼻 岳彦
総合化学研究科 総合化学専攻 修士課程修了 河原 諒
掲載誌
https://chemistry-europe.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/ejoc.202000459
https://chemistry-europe.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/ejoc.202001096
プレスリリース (2020.06.12)
抗がん作用を示す真菌由来の天然物FE399の人工合成に成功:MNBAマクロラクタム化による初の天然物の全合成
~p53遺伝子変異を持つ大腸がんなどの増殖抑制効果を持つ抗がん剤開発に期待~
YouTubeによる公開
・MNBAマクロラクタム化による初の天然物(FE399)の全合成
(日本語字幕版)
(日本語吹き替え版)
(英語版)
■Yahoo! JAPANニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/8d360810f06753f7cad3ccff3ba78345252eb28c
■椎名研究室のページ
研究室のページ:https://www.rs.kagu.tus.ac.jp/shiina/indexj.html
大学公式ページ:https://www.tus.ac.jp/fac_grad/p/index.php?19ed
■Cover画像
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