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本学教員が日本植物形態学会において、平瀬賞を受賞
本学教員が日本植物形態学会において、平瀬賞を受賞しました。
受賞者 | : | 東京理科大学 理工学部 応用生物科学科 教授 松永 幸大 |
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受賞題目 | : | Primed histone demethylation regulates shoot regenerative competency |
受賞内容 | : | カルスからのシュート再生を担うマスター制御因子を同定した論文です。植物のシュート再生という植物形態学において重要な現象の分子メカニズムを解明した優れた研究成果を挙げた。受賞者は、シロイヌナズナの持つ酵素
LDL3(ヒストン脱メチル化酵素)が植物の再生に重要な役割を果たしていることを発見した。LDL3のカルス内における発現解析に、二光子顕微鏡によるディープイメージングを用いた。カルスは表面に凹凸があり、厚みもあるために、今までの顕微手法では生きたまま丸ごと形態学的解析をすることが困難であった。本論文では、二光子顕微鏡によるディープイメージングがカルス内やシュート形成時の茎頂分裂組織の解析に有効な手法であることを示した。この解析により形態学的にも、LDL3がシュート再生のマスター制御因子であることを強く裏付けることに成功した。 これまでの常識では、組織の切断や植物ホルモンの投与など、再生を促す刺激が与えられた場合に、シュート再生に必要な遺伝子群の発現がONになると考えられてきた。しかし、シュート再生の刺激が与えられる前から、LDL3によりシュート再生に必要な遺伝子群は発現のための準備状態になっており、待機していることがわかった。LDL3の酵素活性がカルス形成の段階から上昇し、シュート再生に必要な遺伝子群を待機状態にする。この仕組みは、シュート再生の刺激が来たときには、待機状態の遺伝子群の発現が一気にONになり、ごく短時間でシュートの形態形成を進めることに貢献するメカニズムと言える。この待機状態にすることを筆者らは「gene priming」として、植物形態学の研究進展にも貢献する新しい分子メカニズム概念を提唱した。 このように本業績は、ディープイメージングによりカルスやシュートを解析することに成功し、シュート再生という植物形態学的現象に新しい概念を提唱した。 |
受賞日 | : | 2019年9月14日 |
平瀬賞
平瀬作五郎によるイチョウの精子発見の百周年にあたることに因み、平瀬氏の功績を讃えてその名を冠したもので、植物形態学の進歩に寄与する独創的で優れた論文に与えられます。
日本植物形態学会のページ
http://square.umin.ac.jp/pl-morph/index.html
松永研究室のページ
松永教授公式ページ:https://www.tus.ac.jp/fac_grad/p/index.php?64d9
松永研究室のページ:https://www.rs.tus.ac.jp/sachi/
![]() 右:松永幸大教授 左:平川健博士 (現・奈良先端科学技術大学院大学研究員) |
![]() 平瀬賞の表彰盾 |
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