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大気中の二酸化炭素を分離回収してドライアイス化する「Cryo-DAC®」のベンチスケール実証を開始~万博会場でも回収試験を行います~
国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学
東邦ガス株式会社
学校法人東京理科大学
国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学(以下、名古屋大学)と東邦ガス株式会社(以下、東邦ガス)、学校法人東京理科大学(以下、東京理科大学)は、未利用のLNG冷熱※1を活用して大気中からCO₂を分離回収する技術「Cryo-DAC®」(クライオダック)※2について、4月1日から、名古屋大学東山キャンパスにて、ベンチスケール実証※3を開始しました。
「Cryo-DAC®」は、2020年8月に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の「ムーンショット型研究開発事業※4」に採択された技術です※5。これまで国立大学法人東京大学、学校法人梅村学園中京大学、日揮株式会社(2021年11月参画)と研究に取り組んできており、吸収液の開発や極低温下で使用可能な金属材料の選定、プロセス評価など、順調な成果を得られていることから、NEDOによる中間評価(ステージゲート審査)を通過し、2025年4月からは新たにAGC株式会社が参画いたします。
引き続きNEDOの支援を受けて、2040年ごろの実用化を目指し、主要技術である3工程(CO₂の吸収、再生、昇華)の設備を連結させたベンチスケール機による連続運転を実証するとともに、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)でも回収試験※6を行います。
※1 LNG(液化天然ガス)がマイナス約160℃の液体から常温の気体に戻る過程で周りから熱を吸収するエネルギーです。
※2 「化学吸収法」と呼ばれるCO₂分離回収技術のひとつです。吸収液を用いてCO₂を分離回収する方法で、大気などの低濃度なCO₂排出源からの回収に適しており、中でも「Cryo-DAC®」は未利用のLNG冷熱を活用することで、CO₂の分離回収にかかるエネルギーとコストを大幅に低減できる特徴を有します。
※3 複数要素の技術を組み合わせ、一連のシステムとして行う試験です。
※4 超高齢化社会や地球温暖化など重要な社会課題に対し、人々を魅了する野心的な目標(ムーンショット目標)を国が設定し、挑戦的な研究開発を推進する制度です。
※5 2021年1月25日に発表済。詳細は 名古屋大学プレスリリース および 東邦ガスプレスリリース に記載しています。
※6 詳細は 大阪・関西万博 グリーン万博ページ をご参照ください。

名古屋大学に設置したベンチスケール機

2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)における試験機

「Cryo-DAC®」によるカーボンリサイクルのイメージ
- CO₂を含む大気を吸引。
- 吸収液が大気中のCO₂を吸収。
- CO₂が除去された空気を排出。
- CO₂を吸収した吸収液が再生塔へ。
- 昇華槽におけるLNG冷熱によるCO₂の固化(ドライアイスの生成)により、昇華槽内の圧力が低下。これに伴い、再生塔内の圧力が低下(設備運転中に減圧用ポンプを動かすエネルギーが不要)。
- 再生塔内の圧力低下により、常温でCO₂を含む吸収液からCO₂を放出(吸収液を加熱するエネルギーが不要)。同時に吸収液を再生(吸収液が吸収塔へ)。
- 昇華槽内と再生塔内の圧力差により、CO₂が昇華槽へ。
- 昇華槽を密閉した後、ドライアイスを常温に復温することで気化して、高圧のCO₂を生成。
- 高圧のCO₂を供給。
報道関係者向けプレスリリース
大気中の二酸化炭素を分離回収してドライアイス化する「Cryo-DAC®」のベンチスケール実証を開始
田中研究室
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