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2025.02.06 Thu UP

省CO₂・省力化コンクリートを使用した根固めブロックの現場実証試験を開始
-ブロック製作時のCO₂排出と製作時間をともに半減-

東急建設株式会社
東京理科大学

東急建設株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:寺田光宏)と東京理科大学(東京都新宿区、学長:石川正俊)は、共同で研究開発した省CO2・省力化コンクリート(以下、開発コンクリート)による「根固めブロック※1」を製作し(製作協力:日本コーケン株式会社、東京都港区、代表取締役:鈴木大)、災害に備え屋外に備蓄する環境において、CO2固定能力※2を検証する現場実証試験を、2024年12月から開始しました。

省CO2&省力化コンクリートを使用した根固めブロックの現場実証試験を開始―ブロック製作時のCO2排出と製作時間は約50%減、製作後も継続的に従来よりも多くCO2を固定-

写真1 根固めブロック(3トン型)の現場実証試験状況(左:従来コンクリート製 右:開発したコンクリート製)

今回の現場実証実験は、外気温や雨、湿度の影響がある実際の河川備蓄環境下(荒川河川下流河川事務所の管理地内)で、開発コンクリートにより製作した根固めブロックのCO2固定能力を、長期にわたり把握することが目的です。備蓄期間中のCO2固定能力を評価するとともに、将来的に、開発したコンクリートの一般土木構造物への適用と普及促進を図ります。

開発の経緯

国土交通省関東地方整備局では、大学等の研究機関が持つ先端的な技術(シーズ)と、現場ニーズをマッチングし、早期の社会実装・実用化を促す「大学等研究機関とのマッチング※3」(以下、技術マッチング)を令和2(2020)年度から実施しています。令和4(2022)年度の「インフラ分野の脱炭素化に寄与する技術」に採択された東京理科大学(研究代表者 加藤佳孝)のシーズ「混和材大量使用締固めを必要とする高流動コンクリート※4の開発」と、現場ニーズである「GX※5の取り組みとして、環境負荷軽減の材料にて根固めブロックを製作・備蓄」とをマッチングし、これまで東急建設と東京理科大学が共同研究開発を行っています。本実証試験は、本技術マッチングの一環として取り組んでいるものです。

これまで、開発したコンクリートで製作した根固めブロックは、性能を確認する室内での促進実験や屋外での短期間の検証を行い、施工コストやCO2排出量・吸収量の試算を行ってきました。

根固めブロックの硬化品質は従来のコンクリートと同等以上でありながら、ブロック1個あたりの製作時CO2排出量は51%削減、製作時間は52%短縮しました。また、屋外での短期間の検証では、大気中のCO2を吸着固定する速度も従来の9倍に増加する結果が得られました。製作後もCO2が固定化されるため、災害に備えながらもCO2削減による環境貢献が可能となります。

省CO2&省力化コンクリートを使用した根固めブロックの現場実証試験を開始―ブロック製作時のCO2排出と製作時間は約50%減、製作後も継続的に従来よりも多くCO2を固定-

図1 根固めブロック1個当たりの製作時CO2排出量

省CO2&省力化コンクリートを使用した根固めブロックの現場実証試験を開始―ブロック製作時のCO2排出と製作時間は約50%減、製作後も継続的に従来よりも多くCO2を固定-

図2 従来コンクリート製ブロックと比較した、開発コンクリート製根固めブロック1個当たりの製作時間割合

東急建設は2030年を到達年度とする長期経営計画において、3つの提供価値「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」を戦略の軸にしています。開発したコンクリートは脱炭素と建設現場の生産性向上に寄与する技術であり、本研究開発を通じ、環境負荷軽減材料の開発、社会実装・実用化に取り組み、建設業の課題解決に貢献してまいります。

(参考)

※1 根固めブロック
河川や海岸を流水や波から護るため設置するコンクリートブロック。
(本試験で製作したタイプはコーケンブロック1.0型×3単位)

※2 CO2固定能力
コンクリートは、セメントに含まれる成分が水と混ざって起こる化学反応「水和反応」により、水酸化カルシウムを生成して固化する。生成された水酸化カルシウムは大気中のCO2と反応して炭酸カルシウムを生成し、反応したCO2は化学的に結合されるため、CO2固定化と定義される。CO2固定能力は、コンクリートが固定できるCO2量と固定までの速度を表しており、CO2固定速度はコンクリートが置かれている気温や湿度、コンクリートの含水率によって異なる。

※3 「大学等研究機関とのマッチング」
国土交通省関東地方整備局による、建設現場の生産性向上を図る「i-Construction」を推進するための「技術(シーズ)マッチング」助成制度。公募新技術(シーズ)と、現場において解決したい課題(ニーズ)のマッチングにより、新技術の現場活用と産学官連携による技術研究開発の促進を目的としている。

※4 「混和材大量使用締固めを必要とする高流動コンクリート」
混和材大量使用とは、セメントと混和材の合量に対する混和材の分量が質量比で70%以上を指し、締固めを必要とする高流動コンクリートとは、流動性が自重で広がる量、もしくは自重で広がる大きさ(スランプフロー)で管理されるコンクリートのうち、軽微な締固めをすることを前提にしたコンクリートを指す。
この両者を組み合わせたものが「混和材大量使用締固めを必要とする高流動コンクリート」に該当。

※5 GX
グリーントランスフォーメーションの略で、産業革命以来の化石エネルギー中心の産業構造・社会構造をクリーンエネルギー中心に転換することで、産業構造・社会構造を変革し、経済成長につなげること。

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