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本学大学院生が令和元年度 電子情報通信学会電子デバイス研究会 論文発表奨励賞を受賞
本学大学院生が令和元年度 電子情報通信学会電子デバイス研究会 論文発表奨励賞を受賞しました。
- 受賞者
- 基礎工学研究科 電子応用工学専攻 修士課程2年 大澤 幸希*
- 指導教員
- 先進工学部 電子システム工学科 教授 遠藤 聡
先進工学部 電子システム工学科 教授 藤代 博記 - 受賞題目
- 歪みAl0.40In0.60Sb/Al0.25In0.75Sbステップバッファを用いたGaInSb n-チャネルHEMT
- 内容
- 本研究において、世界で初めてGaInSb n-チャネル高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor: HEMT)の作製に成功した。GaInSb系に関しては正孔移動度も比較的高いことから、以前にp-チャネルHEMTが作製されており、今回n-チャネルHEMTの作製にも成功したことで、将来の相補型HEMT(Complementary HEMT: CHEMT)の作製の見通しが立ちました。
Sb系半導体を用いたHEMTに関しては、チャネル層にⅢ-Ⅴ族半導体中で電子の有効質量が最も軽いInSb、バリア層にAlInSbを用いたHEMTがこれまでに報告されています。InSbチャネルHEMTの場合、InSbに格子整合する適当なバリア半導体が存在せず、InSbには必ず圧縮歪みが加わります。そのため、InSbにおける電子の有効質量が増大します。更にはチャネルとなるInSb量子井戸をあまり深くすることが出来ないため、井戸中に高濃度の電子を閉じ込めることが困難です。そこで今回のGaInSbチャネルHEMTにおいては、歪みAl0.40In0.60Sb/Al0.25In0.75Sbステップバッファ構造を導入しました。これによりGa0.22In0.78Sbチャネルは無歪みとなり、高Al組成のAl0.40In0.60Sbバリアに引張歪みが加わるようにしました。このような新しいエピ構造を用いることで、比較的高い電子移動度を維持したままシート電子濃度を増加させることが出来ました。その結果、GaInSb n-チャネルHEMTにおいて、ゲート長Lg = 40 nmの場合に遮断周波数fT = 214 GHz、Lg= 200 nmの場合に最大発振周波数fmax = 179 GHzが得られました。更に本構造によって、ゲートリーク電流を低減させることにも成功しました。
本研究は、CHEMTを用いた超高速低消費電力回路の実現への見通しを付けた点で、電子工学、情報通信の発展に貢献する論文であると言えます。 - 受賞日
- 2021年01月25日
*所属/学年は論文発表当時のものです。
■社団法人電子情報通信学会
https://www.ieice.org/jpn_r/
■令和元年度 電子デバイス研究会 論文発表奨励賞 受賞者
https://www.ieice.org/es/ed/jpn/award.html
■藤代副学長
大学公式ページ:https://www.tus.ac.jp/academics/teacher/p/index.php?37a7&ls=gk
■遠藤教授
大学公式ページ:https://www.tus.ac.jp/academics/teacher/p/index.php?710e
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