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高効率で強塩基を発生する非イオン型光塩基発生剤を開発
~アウトガスの発生を伴わず強塩基を発生する光塩基発生剤は世界初~
東京理科大学の有光晃二教授(理工学部先端化学科)等の研究チームは、アウトガスの発生を伴わず、高効率で強塩基を発生する非イオン型の光塩基発生剤を世界で初めて開発した。有光らはこれまでに、強塩基を発生するイオン型の高感度な光塩基発生剤を開発したが、エポキシ樹脂に混合した組成物のポットライフが短いことが問題であった。今回開発した非イオン型の光塩基発生剤を用いるとポットライフが大幅に改善することが示された。これにより光塩基発生剤を用いたUV硬化材料の実用化が加速すると期待される。なお、本内容について、2019年9月25日に開催される「第68回高分子討論会(会場:福井大学)」にて発表する(講演番号1V16)。
【研究の背景】
UV硬化材料は、その硬化メカニズムから分類するとラジカルUV硬化、カチオンUV硬化、アニオンUV硬化の3種類に分類される。現在もっとも実用に供されているのはラジカルUV硬化系であり、一部カチオンUV硬化系が実用化されている。ラジカルUV硬化系は空気中の酸素阻害により硬化不良を起こしやすく、基板との密着性も悪い。また、カチオンUV硬化系は空気中の酸素阻害は受けず、基板との密着性も比較的よいが、強酸を触媒として用いるために金属を腐食させる問題があった。一方、アニオンUV硬化系はラジカル系およびカチオン系の欠点をすべて改善するだけの潜在能力があるにもかかわらず、強塩基を発生するイオン型の光塩基発生剤を用いるとエポキシ樹脂などの塩基反応性樹脂と混合した組成物のポットライフが短いことが課題となっていた。
【研究成果の概要】
これまでに高効率で強塩基を発生するイオン型の光塩基発生剤は有光らにより開発されていたが、非イオン型でアウトガスの発生を伴わず強塩基を発生する光塩基発生剤の報告例はない。この新規な光塩基発生剤を用いると、エポキシ樹脂やアルコキシシラン等を用いたアニオンUV硬化が高効率で進行することが示された。さらに、この光塩基発生剤を含む塩基反応性樹脂組成物のポットライフは、イオン型の光塩基発生剤を用いた系に比べて大幅に向上することが分かった。
【今後の展望】
これらの新規な光塩基発生剤およびそれらを含むUV硬化材料は既に特許出願をしており、今後、接着剤、封止材、インク、塗料、各種コーティング、光パターニングなど幅広い分野に利用されることが強く期待されている。これらの光塩基発生剤の販売に向けて準備を進めている。
有光研究室
有光研究室のページ:http://arilab.ci.noda.tus.ac.jp/
大学公式ページ:https://www.tus.ac.jp/fac_grad/p/index.php?3782
東京理科大学について
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