Department of Mathematics

理学研究科 数学専攻

神楽坂キャンパス

数学を通して
社会の発展を支える

ギリシャ語の幾何学が土地測量の意味を持つことから分かるとおり、数学はもともと実用の学問として生まれました。しかしユークリッドの原論にまとめられた幾何学には、もはや測量術の面影はありません。今日の数学を見ても数学の2面性に気づくはずです。言語や画像に代わって経験を表現し、その論理的な結論を導き出すための道具としての数学と、真理探究の対象としての数学。もちろん、同じ数学である以上、その両者は無縁ではありません。後者は数学の基礎を固め、後の応用を促します。19世紀後半から20世紀中葉まで数学は、その基礎づけに力が注がれてきました。21世紀の今、実用的応用が多様化しています。

概要図
  • 数学専攻の特徴1

    理学研究科数学専攻は「代数学」「幾何学」「解析学」「確率・統計」の4部門から構成されています。そのカリキュラムは、主として数学理論の究明と確立を試みる純粋数学に象徴される分野です。

  • 数学専攻の特徴2

    近代社会の進歩を支えてきたのが数学であることは誰もが認めるところです。それは、自然科学の分野における発展にとどまりません。考えることを前提とする数学は、広く社会科学、金融・保険業などの発展をも支えてきました。

  • 数学専攻の特徴3

    数学的な思考力は、今やどの分野にも求められる能力です。本専攻に学んだ経験は、その後の方向性を限定づけるものではありません。社会は確実に、数学に対する要請の度合いを高めています。

■石田 研究室

[専攻]解析学 [指導教員]石田 敦英 准教授 [キーワード]偏微分方程式
[テーマ例]❶シュレディンガー方程式の解の挙動 ❷量子散乱の順問題と逆問題 ❸シュレディンガー作用素のスペクトル理論

量子力学において基礎となる偏微分方程式であるシュレディンガー方程式を研究対象としています。この方程式の解の時刻無限大や空間遠方の漸近的挙動を解析することで、量子力学の散乱現象を数学の言葉で理解しようと試みています。

■太田 研究室

[専攻]解析学 [指導教員]太田 雅人 教授 [キーワード]非線形偏微分方程式論
[テーマ例]❶非線形シュレディンガー方程式の数学解析 ❷孤立波解の安定性解析 ❸非線形波動方程式の解の爆発問題

非線形波動現象に関連する非線形偏微分方程式、特に、非線形シュレディンガー方程式や非線形クライン・ゴルドン方程式の孤立波解の安定性および不安定性を、関数解析、変分法、スペクトル理論などを用いて研究しています。

■加藤 研究室

[専攻]解析学 [指導教員]加藤 圭一 教授 [キーワード]偏微分方程式・数理物理学
[テーマ例]❶偏微分方程式の解をどのように構成するか ❷偏微分方程式の解の性質を調べること ❸物理現象を記述する偏微分方程式の数学的研究

高校で習う質点の力学(ニュートン力学)は、変数が1つの微分方程式で表されますが、電磁波を扱う電磁気学、水の波などを扱う流体力学、ミクロな現象を記述する量子力学はすべて変数が2つ以上ある微分方程式(偏微分方程式)で表されます。偏微分方程式を数学的に研究することが本研究室の目的です。

■金子 研究室

[専攻]確率論 [指導教員]金子 宏 教授 [キーワード]確率過程論
[テーマ例]❶確率過程論 ❷ポテンシャル論

ディリクレ空間が持つ意味も範囲が広くなり、総合的な確率過程論という形態になってきています。ディリクレ空間は対称性を利用してつくり出せ、幾何学、複素解析学、フラクタルに応用できるのが利点です。ディリクレ形式の適用範囲も広くなり、総合的に確率過程論を推進するための理論になっています。

■木田 研究室

[専攻]代数学 [指導教員]木田 雅成 教授 [キーワード]整数論
[テーマ例]❶代数体の整数論 ❷代数方程式のガロア理論

整数の性質や方程式の整数解などを研究するのが整数論です。問題自体を理解するのはやさしいけれども、それを解決するためにはしばしば非常に深く高度な理論が必要になる、とても面白い分野です。整数論にもいろいろありますが、本研究室では主に代数的整数論を研究しています。多項式の根になっているような数を代数学、幾何学、解析学などさまざまな手法を使って研究するのが代数的整数論です。最近はガロア群の同質類に基づいた代数体の分類を研究しています。

■㓛刀 研究室

[専攻]代数学 [指導教員]㓛刀 直子 教授 [キーワード]有限群のモジュラー表現論
[テーマ例]❶有限群のブロックの理論 ❷森田同値、導来同値 ❸パーフェクト・アイソメトリー

群とは基本的な代数系の一つです。群の表現論とは、与えられた群の要素を逆行列を持つ行列に表す写像の性質を研究する分野です。本研究室では、有限群のモジュラー表現論における可換不足群予想と呼ばれる予想を中心に研究しています。

■小池 研究室

[専攻]幾何学 [指導教員]小池 直之 教授 [キーワード]微分幾何学, 幾何解析
[テーマ例]❶擬リーマン部分多様体とリー群作用 ❷平均曲率流とリッチ流 ❸無限次元部分多様体論とゲージ理論

本研究室では、一般相対性理論と関係のある微分幾何学を研究しています。一般相対性理論において、時空として取り扱われるローレンツ多様体の一般概念である擬リーマン多様体という空間内の擬リーマン部分多様体という図形を主に研究しています。この図形の研究には平均曲率流やリッチ流という図形や計量の時間発展も用いられます。また、物理学におけるゲージ理論と関係のある無限次元部分多様体論の研究も行っています。

■眞田 研究室

[専攻]代数学 [指導教員]眞田 克典 教授 [キーワード]環論
[テーマ例]❶多元環のホッホシルトコホモロジー ❷多元環の表現

整数、有理数、実数などの普通の数と異なり、大学1年で学ぶ行列は、それら同士の積が一般に交換可能でない、すなわち非可換という特徴があります。n次行列全体は和と積が定義される集合ですが、非可換な環の代表例です。本研究室では、さまざまな非可換環の研究をホモロジー代数的手法で行っています。特に、2つの環がどの程度似た性質を持っているかを調べる道具としてのホッホシルトコホモロジーは重要な研究対象であり、また具体的に計算ができるという意味で大変面白いものです。

■齊藤 研究室

[専攻]関数解析学 [指導教員]齊藤 功 准教授 [キーワード]作用素論
[テーマ例]❶ヒルベルト空間上の作用素について

関数解析学では個々の関数について調べるというよりも、関数の集まりの空間(関数空間)や、関数空間を抽象化した空間、そしてそれらの空間上の作用素について研究します。微分や積分も関数空間上での作用素として捉えることができます。さまざまな作用素の中で最も扱いやすいものとして正規作用素がありますが、それを基本として、さらに一般的な作用素について研究します。

■佐藤 研究室

[専攻]代数学、位相幾何学 [指導教員]佐藤 隆夫 教授 [キーワード]組み合わせ群論,群のコホモロジー論
[テーマ例]❶ねじれ係数コホモロジー群の構造 ❷Johnson準同型写像の余核 ❸自由群のSL(m,C)表現環の構造

本研究室では、「自由群の自己同型群」や「曲面の写像類群」と呼ばれる群(群とは、掛け算や足し算などの演算を持つ集合のことです)の構造を研究しています。位相幾何学では、直感的な幾何学的現象を厳密に数式で記述するために、かなり高度な代数学を用います。本研究室は、基本群やホモロジー群とよばれる道具(この「道具」を理解するだけでも数年は要するでしょう)を用いて、写像類群の代数的な構造を調べています。

■田中 研究室

[専攻]解析学 [指導教員]田中 視英子 講師 [キーワード]変分法
[テーマ例]❶非線形楕円型偏微分方程式の解の存在と非存在 ❷楕円型作用素に関する非線形固有値問題

変分原理として知られるFermatの原理(光は最短経路を進む)やディリクレ原理、また、測地線、最短降下線などさまざまな所に変分問題が現れることが知られています。これらの問題は、関数を定義域に持つ実数値関数(汎関数)の最小値をとる解(関数)を求めることによって解くことができます。本研究室では、汎関数の極値を調べて微分方程式の解の存在を示すことを行っています。汎関数のグラフの形状を調べることが大事になってきますので、位相的な手法も関連する研究分野となっています。

■新田 研究室

[専攻]幾何学 [指導教員]新田 泰文 講師 [キーワード]微分幾何学,複素幾何学
[テーマ例]❶リーマン多様体の微分幾何学 ❷代複素多様体の微分幾何学と複素解析幾何学

曲線や曲面の一般化である、多様体と呼ばれる空間の幾何学を研究しています。特に、その「曲がり方」に注目して多様体を調べています。本研究室では主に複素関数論に由来する多様体を考え、その複素解析的な性質と「曲がり方」の様子を結びつけて研究を行います。

■山川 研究室

[専攻]幾何学 [指導教員]山川 大亮 講師 [キーワード]複素幾何学
[テーマ例]❶有理型接続のモジュライ空間 ❷野性的指標多様体 ❸モノドロミー保存変形

現代数学では、図形や方程式、関数といった数学的対象を、それ自身ある高次元の図形(モジュライ空間)の中の点と捉えることがあります。これによって、考えている対象の変形を、モジュライ空間内の点の移動として扱うことができます。本研究室では、特にコンパクトリーマン面上の有理型接続のモノドロミー保存変形を、モジュライ空間の複素シンプレクティック構造を用いて研究しています。

■横田 研究室

[専攻]解析学 [指導教員]横田 智巳 教授 [キーワード]微分方程式
[テーマ例]❶微分方程式の解の存在定理の開発 ❷走化性細胞性粘菌のライフサイクルを記述する微分方程式の研究 ❸癌浸潤現象を記述する微分方程式の研究

導関数を含む方程式は微分方程式と呼ばれ、さまざまな現象を記述できます。本研究室では、解を具体的に表示することが困難な微分方程式について、方程式の形から解の存在や性質に関する予想を立てて研究しています。例えば、時刻を変数とする関数の微分方程式は、時間の経過に伴うある量の変化を記述しています。そのような方程式に対して、時間が十分経過したときの解の様子を調べることにより、未来の状況が解明できることになります。

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