Department of Pure and Applied Chemistry

創域理工学部 先端化学科

進化し続ける化学工業の未来を担う
研究者・技術者を輩出

現代の化学工業は、原材料の精製や製品の製造過程に対して、常に新しい方式が採用されています。製造方法に関しても、次々と画期的な新機軸が生み出されつつあります。このような技術革新時代に対応するため、先端化学科では、化学工業の主軸となる専門分野の基礎と最先端の研究成果を教育し、21世紀の社会で求められる創造性豊かな研究者・技術者を育てることを目標としています。有機化学、無機化学、物理化学などの基礎化学の学習に重点を置きながら、特に材料化学、分析化学などの専門分野を教授し、新物質や新プロセス、新材料の関発を目指す人材を育成します。

概要図
  • 先端化学科の特徴1

    充実した実験設備と
    小クラス編成の演習

    基礎学力と実験技術を習得するため、実験と演習に力を注いでいます。広大なキャンパスには、大型実験装置を含む充実した実験設備を用意。また、3年次までにマンツーマン教育を重視した小クラス編成の演習を行うほか、先端の研究者・技術者による特別講義も実施します。

  • 先端化学科の特徴2

    ティーチングアシスタントの手厚い指導

    多数の大学院生がティーチングアシスタントとして学生を指導しています。密接な指導の下、実験を数多くこなすことで、高度な実験技術を習得できます。また大学院進学時には、ティーチングアシスタントとなって指導技術を磨くとともに、学費の支援を受けることも可能です。

  • 先端化学科の特徴3

    6年一貫教育コース制と
    横断型コースの導入

    約8割もの学生が大学院へ進学するため、学部の4年間と修士課程を連結した6年一貫教育コース制を導入。3年次から研究室に所属できるほか、4年次に修士課程の講義を履修することも可能です。また、学際的かつ高度な研究領域に対応する創域理工学部横断型コース制も導入しています。

基礎情報・資格 BASIC INFORMATION & CERTIFICATION

キャンパス 取得学位 在籍学生総数 目指せる資格
野田キャンパス 学士(工学)

512名
(男子348名/女子164名)

男子 68%/女子 32%

※2024年5月1日現在

・危険物取扱者(甲種)

カリキュラム CURRICULUM

■必修科目 ●選択必修科目 ◆選択科目

1年次 2年次 3年次 4年次
■化学1-A及び演習/化学1-B及び演習/化学2-A及び演習/化学2-B及び演習/線形代数学1/線形代数学2/微分積分学1/微分積分学2/物理学A1/物理学A2/物理学B1/物理学B2/化学実験/分析化学実験
◆電算機基礎
■物理化学実験/先端化学実験
◆先端化学特別講義1・2
■有機化学実験/無機化学実験
◆安全科学/化学数学/生化学/先端化学英語/先端化学通論1・2
■卒業研究
有機・高分子化学分野 ●有機化学1・2・3/高分子化学1 ◆応用有機化学/有機材料化学/有機合成化学/有機反応化学/高分子化学2
物理化学分野 ◆化学工学基礎 ●物理化学1・2・3/電気化学/量子化学 ◆応用物理化学1/応用物理化学2/応用物理化学3/応用界面化学/応用電気化学/錯体化学/化学工学
無機・分析化学分野 ●分析化学 ●無機化学1・2/機器分析1 ◆無機材料化学/無機合成化学/機器分析2/応用無機化学

2024年度 学修簿 卒業所要単位表

専門
科目
基礎科目 一般教養科目 自由
科目
合計
専門基礎 基幹基礎 関連専門
基礎
自然を学ぶ
科目群
人間と
社会を学ぶ
科目群
キャリア
形成を学ぶ
科目群
外国語を
学ぶ
科目群
領域を
超えて学ぶ
科目群
70 30 30 - 130

卒業研究・
研究室紹介
GRADUATE RESEARCH AND LABORATORIES

有機・高分子化学分野
有機化学とは、炭素、水素、酸素、窒素などの各原子を組み合わせて、調味料や医薬品をはじめ、液晶テレビ、プラスチック、衣料品など日用品のほとんどを構成する有機化合物を創る学問です。
物理化学分野
物質、あるいはその構成成分である分子や化合物などについて、その構造・物性・反応を学習・研究する学問です。さらに、解明された知見をもとに、新規の先端機能性材料・エネルギー変換材料・生体模倣材料などの開発を行っています。
無機・分析化学分野
リチウムイオン電池、マグネシウム二次電池、キャパシタ、超伝導体、強誘電体、熱電変換材、環境触媒など、身の回りにはたくさんの無機・金属材料があります。これら機能材料を生み出すために不可欠な理論・原理を系統的に学ぶ分野です。

学生の声 VOICE

銅の腐食をどうやって防ぐ? 成果を他のテーマでも応用したい

板垣・四反田研究室 4年 柏 拓光
茨城県・県立土浦第一高等学校出身

印象的な授業 化学実験

※内容は取材当時のものです。

先輩から引き継いだ研究を自分が前に進めている喜びがある

坂井研究室 4年 勝又 菜々子
静岡県・県立富士高等学校出身

印象的な授業 芸術2

※内容は取材当時のものです。

進路 CAREER

進路グラフ

2024年3月31日現在

主な就職先

  • [情報通信業]
    NECソリューションイノベータ、NECネッツエスアイ、NTTコムウェア、NTTデータ・アイ、オービック、日本システム技術、日立情報通信エンジニアリング、三菱総研DCS、ヤフー、楽天グループ

  • [機械器具、卸売・小売業、化学工業]
    アサヌマコーポレーション、シャープ、JCU、スズケン、SUBARU、成城石井、大日精化工業、帝国繊維、東京エレクトロン、ノジマ、伯東、日立建機、ホギメディカル、マクニカ

  • [公務員、電気・ガス・水道・熱供給業]
    原子力規制庁、千葉県、神奈川県横浜市、埼玉県草加市、ENEOS、東京電力ホールディングス

2021年3月~2023年3月卒業生

有光 研究室

[専攻]高分子化学、有機材料化学 [指導教員]有光 晃二 教授 [キーワード]有機合成化学,光機能性有機高分子材料
[テーマ例]❶酸・塩基増殖反応の開発と光反応性材料への応用 ❷光塩基発生剤の設計・合成と光反応性材料への応用 ❸酸・塩基反応性(高)分子の合成と応用

光化学的に酸(または塩基)を発生する光酸(または光塩基)発生剤と、酸(または塩基)の作用で分解する(高)分子を組み合わせると、さまざまな光反応性材料を創製することができます。これらの材料は身の回りの電化製品等の製造に利用されており、エレクトロニクス産業に欠くことのできないものです。本研究室では、これらの材料に必要な光開始剤や反応性(高)分子の合成とその機能評価を行っています。さらに、当グループでは、酸(または塩基)増殖反応を開発しており、これらを上記の光反応性材料と組み合わせることで、光反応性材料の超高感度化にも成功しており、国内外から注目されています。

板垣・四反田 研究室

[専攻]先端分析化学、電気分析化学 [指導教員]板垣 昌幸 教授・四反田 功 准教授 [キーワード]環境分析化学
[テーマ例]❶電気分析法の開発 ❷酵素を用いたバイオセンサ・バイオ燃料電池 ❸電気化学インピーダンス法による電極界面解析法の開発

二次電池はスマート・グリッド社会における分散電源の促進にとって核となる重要技術です。電池の性能・安全性向上には、電池を駆動させた状態で電池の特性を“分析”することが必要となります。本研究室では、電池の発電特性および電極構造や電気化学反応速度などについて、詳細な情報を得ることが可能な電気化学インピーダンスを用いた電池の分析法の確立を目指しています。電気分析化学的手法を応用して、腐食やめっきの研究も進めています。また、生物の機能を模倣した電気化学デバイスとして、酵素を用いたウェアラブルバイオセンサー・バイオ燃料電池の開発を行っています。

井手本・北村 研究室

[専攻]固体物理化学、電気化学、無機化学 [指導教員]井手本 康 教授・北村 尚斗 准教授 [キーワード]電池材料,強誘電体,二次電池
[テーマ例]❶高性能リチウムイオン電池および次世代マグネシウム二次電池材料の開発 ❷不揮発性メモリー、圧電体用の強誘電体酸化物の探索 ❸高機能性酸化物材料の創製、構造解析、熱力学測定、理論的解析

学問分野としては、固体物理化学、電気化学および無機化学に属していますが、エネルギー関連としてはリチウムイオン電池、次世代マグネシウム二次電池、燃料電池などについて、新素材の開発としては、強誘電体、電池用電極材料および固体電解質、放射光等について、基礎から応用まで幅広く研究しています。基礎面では、中性子やX線を用いた結晶化学的解析(ミクロな視点)から熱力学測定(マクロな視点)まで、あるいは計算科学を応用した解析まで、応用面では新規リチウムイオン電池、燃料電池、ICカードなどに用いられる不揮発性メモリー用および圧電体用の強誘電体、新規マグネシウムの探索まで、幅広く行っています。

郡司 研究室

[専攻]有機合成化学 [指導教員]郡司 天博 教授 [キーワード]無機高分子化学,有機合成化学
[テーマ例]❶有機-無機ハイブリッドの調製と性能評価 ❷ポリシロキサン系逆浸透膜の開発 ❸高機能性色素の合成

金属を含む有機化合物は、反応試薬や触媒あるいは添加剤などの工業材料としてはもちろん、有機金属化学とその応用研究のための大きな可能性を秘めた研究対象です。そこで、有機金属化合物それ自身、それから誘導される重合体(無機高分子)、有機と無機とのハイブリッド体、さらにそれらのセラミックスへの変換など、有機と無機との境界にまたがるテーマで研究を行っています。また、これら有機合成技術を駆使して、分離膜や高低屈折率フィルムなどの機能性材料の開発も行っています。

坂井 研究室

[専攻]有機化学 [指導教員]坂井 教郎 教授 [キーワード]有機合成化学,有機金属化学
[テーマ例]❶金属触媒を利用した高効率高選択的有機分子変換法の開発 ❷高選択的な官能基変換反応を誘起する新規金属触媒の開発 ❸生理活性物質や天然物の効率的分子骨格構築法に関する研究

典型金属あるいは遷移金属の化学的特性を新しい発想に基づき活用することで、これまでに例のない有機分子変換法や、官能基を効率的に導入する分子修飾法を創り出すことを目指して研究しています。また、複数の反応基質を一挙に連結する多成分連結反応や、分子間あるいは分子内環化反応を駆使し、医薬品に代表される生理活性物質や天然物の基本骨格を選択的かつ効率的に合成する新しいプロセスの開発も研究しています。

酒井(秀)・酒井(健) 研究室

[専攻]界面化学 [指導教員]酒井 秀樹 教授・酒井 健一 准教授 [キーワード]コロイドおよび界面化学,光機能界面
[テーマ例]❶新規界面活性剤(ジェミニ型、アミノ酸型、刺激応答性など)の合成と物性 ❷界面活性剤が形成する機能性分子集合体(ミセル・エマルション・リポソーム)の物性評価と機能向上 ❸界面を利用した機能性物質(金属ナノ粒子、ナノポーラス材料など)の創製 ❹界面光電気化学(機能性光触媒、界面物性の電気・光による制御)

身の回りのものから工業製品に至るすべての物質には、必ず界面が存在します。そして、界面を精密に制御することにより、新規物質を創製したり、新たな付加価値を付与することが可能になります。本研究室では、界面で発生するさまざまな現象を物理化学的観点から解明し、さらに応用することを目的としています。具体的には、金属や金属酸化物などの固体、さらには油などの液体のナノ粒子の調製、およびその界面化学物性・光物性について検討を行っています。われわれの研究成果は、化学工業をはじめとして、医薬品・食料品・化粧品・印刷・光触媒などさまざまな分野に応用されています。

寺島 研究室

[専攻]物理化学 [指導教員寺島 千晶 教授 [キーワード]プラズマ材料工学,光電気化学
[テーマ例]❶プラズマ反応場の理解と応用 ❷ダイヤモンド合成法の研究開発 ❸光触媒材料の開発

プラズマは固体、液体、気体に続く第四の状態で、身近なところではロウソクの炎や雷などもプラズマです。低圧、大気圧、液中での低温プラズマを研究し、それら現象を利用した材料合成を行っています。プラズマプロセスや新規材料によって、持続可能な循環型社会の実現を目指し、宇宙への進出も視野に入れた研究を展開しています。

中山 研究室

[専攻]有機物性化学 [指導教員]中山 泰生 准教授 [キーワード]材料化学,デバイス関連化学,物理化学
[テーマ例]❶有機半導体単結晶:有機材料そのものや分子間接合の本質に迫る ❷有機デバイス:現実のデバイス内部における電子の性質を独自の計測手法を用いて探る ❸複合新デバイス:バイオ・ナノ材料と有機エレクトロニクスとの融合可能性を探索する

炭素と水素を基本に、あとは数種類の元素のみから無限といってもいいバリエーションを生み出すことが可能な有機材料化学は、現代社会が直面する資源・エネルギー問題を解決する中核技術の一つと言ってよいでしょう。有機材料の持つさまざまな性質のうち、本研究室では特にエレクトロニクス機能を担う電子物性に注目し、「有機半導体」として知られる物質群の電子的性質を研究しています。有機エレクトロニクスという、われわれの日常生活を一変し得る新しい産業技術の基盤を確立することを目標としています。

藤本 研究室

[専攻]無機材料化学 [指導教員]藤本 憲次郎 准教授 [キーワード]ソフト化学,結晶化学,コンビナトリアル化学,環境触媒,エネルギー材料
[テーマ例]❶多成分系機能性材料(エネルギー・環境浄化)の高速探索 ❷ソフト化学による酸化物ナノシートの創製およびその高機能化 ❸マリアルズインフォマティクス

無機化学および固体化学をベースに、リチウム二次電池、熱電変換、ガスセンサなどの「エネルギー関連材料」や光や熱による「環境浄化触媒」などの無機材料(セラミックス)の探索と高機能化に取り組んでいます。高機能化の例として、ソフト化学を駆使して厚さ1nm程度の酸化物シートを作製し、超薄膜や高比表面積粉体への応用を行っています。また、マテリアルズインフォマティクスによる材料研究の高速化にも挑戦しています。

湯浅・近藤 研究室

[専攻]応用生物無機・物理化学 [指導教員]湯浅 真 教授・近藤 剛史 准教授 [キーワード]生体模倣化学,電気化学,高分子化学
[テーマ例]❶ポルフィリン錯体を用いた高選択的活性酵素センサーの開発 ❷ポルフィリンの腫瘍集積性を利用した新規抗がん剤の創製 ❸導電性ダイヤモンド・ダイヤモンドナノ構造体の作製と機能材料応用

私たちは、ナノテクノロジー・生体模倣化学・電気化学などの学問分野を複合的に駆使した高機能な材料やデバイスの創製に取り組んでいます。例えば、生体内で特異的な機能を示すヘムタンパク質のモデルである金属ポルフィリン類を合成し、抗がん剤・抗酸化剤・活性酸素種センサー・燃料電池触媒などへ応用する研究を展開しています。また、ダイヤモンドを機能性材料の素材として利用する研究も行っており、高性能な電気化学センサー・物質分離材料・触媒・キャパシタなど、新規応用分野の開拓を目指しています。

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