センターについて
東京理科大学の宇宙開発と宇宙環境利用に関する研究・教育活動を結集し、基礎研究から宇宙へのアクセス手段までを網羅する多様な技術課題に対して総合的に取り組むことのできる研究センター「スペースシステム創造研究センター( SSI )」を創設しました。
具体的には以下に示す目標を掲げて、宇宙と地上に共通する様々な課題を解決するために、地上⇔宇宙の好循環サイクルの形成により分野横断的な技術・人材を結集できる共創の場の構築を目指します。
- 本学が得意とする光触媒技術を活用し、宇宙での生命維持技術の開発と地上における安全・快適な生活環境の実現を目指します。
- 開発中のサブオービタルスペースプレーンや国際宇宙ステーションを用いた宇宙での技術実証に取り組み、産業界との協力により新たな「宇宙」マーケットを開拓します。
- これまで宇宙滞在技術の研究開発を行ってきたスペース・コロニー研究センターの主軸を、「地上−宇宙のDual開発とそれらを橋渡しする宇宙機開発」へと移すことで、さらなる戦略的発展を目指します。
- これらの宇宙とつながった研究機会にもとづく教育の場を提供し、博士や若手研究者の人材確保・育成や、「本物」の研究体験を行える環境を構築していきます。
東京理科大学 スペースシステム創造研究センター(SSI)は、2021 年6 月より始動した、ガンダムと未来技術を掛け合わせることで未来の夢と希望を現実化するプログラム「ガンダムオープンイノベーション」のパートナーとして採択されました。SSIは、この活動を推進しています。東京理科大学が保有する様々な技術を集結し、宇宙を目指しながら同時に地上の社会問題と向き合い、未来の夢と希望に向けて現実化を目指します。 ガンダムオープンイノベーションHPはこちら |
センター長ごあいさつ
木村 真一
センター長 理工学部電気電子情報工学科 教授
体制・活動内容
各ユニット
- 教育ユニット 宇宙での実利用につながる「本物」の技術・経験を活用した教育
フライトミッションやロケット打ち上げ、宇宙物理学の理論研究や天体観測など、東京理科大学の技術・研究を教育に活用することは、研究者、学生の双方にとって大きなインセンティブとなります。数多くのミッションに参画していくだけでなく、国内外の宇宙開発機関やスペースベンチャー企業、宇宙開発企業等とも強固に連携し、得られた成果を積極的に教育へ活用していきます。
- 光触媒国際ユニット 光触媒を基軸に、資源・環境問題を解決
酸化チタンに代表される光触媒は、その強い酸化分解力から、有機汚染物質の分解や抗菌・殺菌に効果を発揮します。また、光触媒を用いた人工光合成(水分解による水素生成・二酸化炭素還元による有価物生成)に関する研究も精力的になされています。これらの研究を推し進め、我々が地球上で既に直面しており、宇宙進出の際にも克服すべき課題となる環境浄化やエネルギー製造といった課題に取り組みます。
- スペース・コロニーユニット 宇宙居住を中心とした、宇宙滞在技術の高度化と社会実装の促進
これまで宇宙と直接関係を持たなかった衣・食・住に関する様々な技術や、電力・通信といった閉鎖領域におけるインフラ構築技術を、分野を跨いで横断的に研究開発を行います。また、その宇宙滞在技術すなわち、極限的な閉鎖環境において人間が長期間滞在する技術を、企業や研究機関と応用展開について連携し、人類の共通課題である地上の災害や食料問題などの社会の課題を解決を目指します。
- スペースプレーンユニット 誰もが宇宙に往き来が出来るスペースプレーンの実現
スペースプレーンユニットでは,「宇宙が、みんなのものになる。」をスローガンに、飛行機に乗るように誰もが自由に宇宙を往き来が出来る未来のスペースプレーンの実現に必要な,システム最適化技術,故障許容システム,LOX/LNGエンジンの運用,自律航行技術,複合材製機体及び推進薬タンク,商業宇宙輸送の法制化等のシステムインテグレーションの研究開発を行います。
施設・設備
当センターでは、最新の設備を導入し、宇宙開発研究を行っております。
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一部の機器は共同利用も可能となっております。ご希望の際は問合せフォームにて連絡下さい。
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電界放出形走査電子顕微鏡
JSM-7600F(日本電子社製)
スペースシステム創造研究センター1階 共通機器室3
セミレンズ方式の高分解能SEMで、エネルギー分散型X線分析装置を搭載し、高分解能観察だけでなく元素分析においても安定した高速・高精度分析が可能である。資料にバイアス電圧を印加して電子ビームが照射できるので、数百eVの入射電子においても資料最表面を高分解能で観察できる。
マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計
AXIMA-TOF₂(島津製作所)
スペースシステム創造研究センター2階 共通機器室2
試料成分の質量を測定する装置であり、たんぱく質のような生体高分子などの正確な質量測定に用いることがある。
レーザーラマン分光光度計
NRS-5100(日本分公社製)
スペースシステム創造研究センター2階 共通機器室2
本体に内蔵された高解像度CMOSカメラで観察したい資料表面を高倍率で顕微画像を取りながらラマン分光を測定できる。レーザー光源には波長が532nmと785nmの2つを搭載し、蛍光の発生を抑える等、試料によって使い分けを可能をしている。
X線回折装置
Ultima IV(リガク社製)
スペースシステム創造研究センター2階 共通機器室2
試料を水平に保持したまま測定が可能。また、粉末試料の定性・定量分析などの強度を優先する集中光学系用のダイレクトビームと粉末試料の高精度プロファイル解析や配向度測定、薄膜飼料の測定、逆格子マップ、ロッキングカーブなどの測定に用いられる放射面多層膜ミラーを用いた単色平行ビームをスリットの交換だけ簡単に切替え可能。
触媒分析装置
BELCAT-B(マイクロトラックベル社製)
スペースシステム創造研究センター3階セルフクリーニング研究室
試料へのガス吸着後、連続的に昇温することで吸着分子の挙動を測定するTPD測定をはじめ、昇温還元スペクトル(TPR)、昇温酸化スペクトル(TPO)金属分散度、パルス吸着量の測定やBET1点法による比表面積測定が可能。
高精度ガス/蒸気吸着測定装置
BELSORP-max-12-N-VP(マイクロトラックベル社製)
スペースシステム創造研究センター2階 共通機器室2
比表面積、細孔分布、蒸気吸着そして化学吸着測定が一台で可能。固体表面上への窒素などのガス吸着量を測定することにより固体の比表面積、細孔分布、金属分散などの情報が得られる。
形状測定レーザーマイクロスコープ
VK-X200( キーエンス社製)
スペースシステム創造研究センター1階 共通機器室3
レーザースキャンで表面情報を取得して3D測定を行うレーザー顕微鏡。
触媒試験用高速・多機能FTIRガス分析装置
FTIR排出ガス分析装置(可搬型) FAST-1300(岩田電業株式会社製)
スペースシステム創造研究センター4階
本研究設備は、フーリエ交換赤外分赤法を利用した触媒試験用高速・多機能FTIRガス分析を可能とし、クロマトグラフィーではそくていが困難な窒素酸化物等のガス種を直接、サブppmから%レベルまで広い濃度範囲でそくていすることができる。
そのため、本プロジェクトで行う水と空気から窒素肥料をその場で作り出す研究において、活性の高い反応ガス種を周囲雰囲気の影響を受けることなく迅速に測定することが可能となる。また、オンフローで非破壊かつ前処理を必要としないことから、連続的なリアルタイムモニタリングが可能であり、生成ガスを未反応のままモニタリングすることができ、触媒反応を正確に把握することが可能になる。人工衛星搭載機器温度試験設備
超低温恒湿器PG-4J小型冷熱衝撃装置TSE-12-A(エスペック株式会社)
野田校舎3号館2階 理事会管理室3
本試験設備は、軌道上で遭遇する様々な温度条件での搭載機器の適合性について評価を行う事を目的としている。100㎝立法の宇宙機搭載実験装置について、-71℃から150℃の広い温度範囲の温度適合を評価する温度試験装置と宇宙実験装置を構成するデバイスや基板などの電子部品について日陰から日照など急激な温度変化による熱衝撃に対する適合性を評価する熱衝撃試験装置かた構成されている。両試験装置ネットワークで接続し、PCによって記録管理し集中制御を実現する。
ウェアラブルセンサ開発用高度制度界面観察システム
デジタルマイクロスコープVHX-6000シリーズ(株式会社キーエンス製)
野田校舎 10号館4階 実験室5
本研究設備は、カメラのフレームレートが最速1秒でフルフォーカス画像を取得でき、観察したい箇所にステージを移動しレンズを上下するだけでピンと情報を認識し、フルフォーカスで拡大観察が可能となる。
また、短波長の光を使った超解像画像とシャッタースピードを変えた画像を複数取得し、高諧調の画像を取得するHDR機能を同時に作動させることで高精細かつ高コントラストな観察が可能になり、従来では観ることができなかった観察が可能となる。