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【開催報告】スペースシステム創造研究センター講演会「動物モデルを用いた放射線被ばく影響 -線質依存性、複合影響、および低線量率被ばくの検討-」

2026年6月11日(木)スペースシステム創造研究センター講演会を対面・オンラインで実施しました。

 

国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 (QST) 放射線医学研究所 放射線影響予防研究部 主任研究員 鶴岡 千鶴氏を講師としてお招きし、宇宙空間模擬環境における動物モデルを用いた放射線被ばく影響についてご講演いただきました。本講演では、将来の宇宙空間での居住に向けた宇宙空間模擬環境における放射線による影響について、放射線生物学の基礎から、重粒子線と中性子線誘発がんの分子生物学的メカニズムと低線量率放射線による被ばくが生体に与える影響(特に発がん)について、動物実験を中心に解明した研究についての一端をご紹介いただいたものになります。

 

はじめに、放射線生物学の基礎として、放射線によるDNA損傷の種類や、大変重要な指標である放射線の線種やエネルギーによる生物的影響の強さの違いを比で表す「生物学的効果比(RBE)」についてお話いただきました。人体への放射線による影響の分類として「急性影響」と「晩発影響」があり、宇宙空間の居住では低線量で長期間の被ばくによる「晩発影響」が重要であるとのことでした。さらに、宇宙空間における微小重力環境の影響を地上で模擬する尾部懸垂実験により、微小重力による筋量、骨量、免疫機能の低下などの影響に加えて、放射線被ばくとの複合ストレスがもたらす発がん影響についても、詳細な実験結果を基にしたとても分かりやすいご説明をいただきました。

 

Q&Aセッションでは、放射線によるDNA損傷がX線などによる低LET放射線と、重粒子による高LET放射線の場合で傷ついたDNAの修復速度、正確性が異なり発がん性に影響があること、今後の有人宇宙開発における飛行士への宇宙放射線対策として発がん予防薬の研究にも取り組まれていることや、細胞老化に関してDNA損傷で説明可能か、など多数の質問があり、とても活発な議論が行われ非常に有意義な講演会となりました。