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【開催報告】第10回スペース・コロニー講演会 JAXA矢野幸子氏「夢だけではない宇宙進出の困難さ~実例から紐解くケーススタディ~」

1月26日(火)第10回スペース・コロニー講演会をオンラインにて開催しました。
JAXA矢野幸子様を講師としてお招きし、「夢だけではない宇宙進出の困難さ~実例から紐解くケーススタディ~」についてご講演いただきました。
講演では国際宇宙ステーション(ISS)と、日本実験棟「きぼう」について写真でわかりやすく構造・内装・機能などの紹介から始まり、ISS「きぼう」日本実験棟での211件にも及ぶ実験のうち、具体的な微小重力環境の「小動物飼育」「植物の芽生え」の実験について紹介いただきました。

また、実験の「準備・計画・実行」について具体例を交えて実際に経験してきたことからの苦労や工夫なども教えていただきました。ご講演の一部を紹介します。
・宇宙飛行士へのリハーサルについて
「きぼう」の中で宇宙飛行士に実験をしていただくために、宇宙飛行士に操作の訓練をするのは6か月以上前に1回しか機会がなく、いかにわかりやすい操作性、操作マニュアルを作るかが重要。
・実験機器について
実験装置については、宇宙用に開発すると高額になってしまうため、地上にある製品をカスタマイズして作成する。その際、できる限り様々な実験ができる共通実験装置として設計するように知恵を絞ると同時に、宇宙飛行士がわかりやすいように共通設計を工夫している。また、重力を前提として設計されている機器を微小重力でも利用できるようにすることに苦労する。
・打上までの準備計画管理
ISSへの輸送機は、機体の準備が修理などで間に合わなかったり、雷雲などの天気の理由など打ち上げが遅れる傾向がある。少しづつ延期になり、打ち上げ日が当日になるまではっきりと決まらないので、細胞や成虫などの新鮮なサンプルを打ち上げ当日に準備するのは大変なこと。その都度変わる打ち上げ日に合わせて10セットくらいを用意することもある。
「きぼう」での実験は現在誰にでも利用のチャンスがあり、無償、有償それぞれのフローに沿って利用することができます。大変ですが、誰でも夢を形にしたいという熱い気持ちを持っている人にはできます!という力強いメッセージをいただきました。

質疑応答では、
宇宙飛行士へのリハーサルが1回と言うことで、作業について適切に共有するのが非常に大変かと思います。作業を依頼するときに、手順に加えて、想定外の事象に対する対策なども考えておく必要があるのではないかと思うのですが、想定外の事象をどのようにして検討されるのでしょうか。効果的に抽出する方法など工夫されている点はありますでしょうか。
という質問があり、
「共通的な工具を利用する。」「目的が違っても基本設計が一緒だと操作しやすいように共通設計を工夫する。」「よく間違えやすいポイント、トラブル事象の蓄積をしていて、それに基づいて設計、操作手順を作るようにしている。」との回答をいただきました。
また、厳格に準備しないといけないのにスケジュールが変更になり臨機応変にも対応しないといけないので管理が大変ですが、何か実施していることはありますか。
という質問には、
一番大事なのはコミュニケーションであり、なんでも話せる関係性を築き上げておくことが必要となる。
様々な情報を共有することで大事なことが何か、譲れないポイントが何かなどがわかり、解決へと導くことができるとの回答をいただきました。
多くの方々にご参加いただき、大盛況に講演会を終えることができました。
次回は3月11日 JAXA山﨑千秋氏をお招きし、「JAXAのECLSS研究開発における要素技術検討状況(仮)」をご講演いただく予定です。是非ふるってご参加くださいますようお願いいたします。