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根岸研究室で研究開発している「極微細なPtクラスター助触媒による水分解光触媒の高活性化とそのメカニズム解明」「酸化物担体上におけるチオラート保護金クラスターの配位子脱離過程の解明」「サイズ制御されたPtナノクラスター助触媒担持によるg-C3N4水分解光触媒の高活性化」などについて学会発表しました。

第15回分子科学討論会

極微細なPtクラスター助触媒による水分解光触媒の高活性化とそのメカニズム解明

水分解光触媒の活性を向上するためには、金属ナノ粒子や金属酸化物を助触媒として担持させることが有効である。しかし、従来の担持方法では助触媒の大きさや組成を微細領域で制御することは困難である。本研究では、サイズ制御された白金(Pt)クラスターを助触媒として可視光応答水分解光触媒(g-C3N4)上に単分散に担持させる方法を確立した。得られた光触媒は、従来法でPtナノ粒子助触媒を担持させたg-C3N4に比べて3.5倍高い水素生成活性を示した。透過型電子顕微鏡、X線吸収分光、及び過渡吸収分光より、微細化による活性サイトの増大と、金属的担持によるキャリア再結合の抑制が高活性化の要因であると結論した。

酸化物担体上におけるチオラート保護金クラスターの配位子脱離過程の解明

チオラート保護金クラスターは原子精度で合成が可能で、様々な触媒反応に対し高い活性と選択性を示す。金クラスターの触媒利用には、反応物の接近を妨げる配位子を焼成により除去する必要があるが、同時に金クラスターの凝集を誘起するという課題がある。そこで、本研究では、高活性な金クラスター担持触媒の創製を目的に、担体上金クラスターの配位子脱離過程の解明に取り組んだ。その結果、担体上の金クラスターは、未担持の金クラスターとは異なり、脱離した配位子が担体上に吸着した後、除去されることが明らかとなった。金クラスター担持触媒の創製には、担体上の金クラスターについて、その脱離過程の理解が極めて重要なことを示した。

 

 2021年9月18日~21日に開催された第15回分子科学討論会についてはこちら

 

第128回触媒討論会

サイズ制御されたPtナノクラスター助触媒担持によるg-C3N4水分解光触媒の高活性化

白金(Pt)ナノ粒子は有用な水素生成助触媒として知られている。従来法ではそのサイズや電子状態を制御したまま光触媒上に担持することは困難である。本研究では、極微小なPtナノクラスターをポリオール還元及び配位子交換法によって合成し、その大きさおよび電子状態を維持したままg-C3N4上に助触媒として担持する方法を確立した。得られた光触媒の水素生成活性は従来法のものよりも3.5倍高い値を示した。この要因は、1)微細化による活性サイトの増大と、2)金属的担持によるキャリア再結合の抑制であると示唆される。

 

 2021年915日 ~ 17日に開催された第128回触媒討論会についてはこちら

 

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