メンバー

郷田 桃代

工学部 建築学科 教授

【研究課題】宇宙居住に向けた閉鎖狭小空間の居住性能の評価および室内空間の計画技術の開発

本研究は、宇宙居住において、人間の心理、動作に適合した室内空間の計画技術を開発することを目標とする。そのための基礎研究として、無重力下に限定せず、複数の滞在者を想定した閉鎖狭小空間において、人間の心理や動作に着目して、居住空間としての性能を評価すること、および、実際の宇宙居住における室内空間の形態と配置および人間の動作の調査・分析を実施する。

研究分野

都市計画・建築計画 (都市解析、建築計画、建築設計、住宅計画)

研究キーワード

建築計画・都市計画

研究経歴

1992-1998 都市空間の空隙に関する形態学的研究
1998-2003 都市空間の形態に関する研究
1992-2003 大学キャンパスの計画・設計
1998-2003 高温多湿気候に適応する環境負荷低減型高密度居住区モデルの開発
2007- 健康コミュニティに関する研究
2003- 建築および都市の空間形態に関する数理的解析
2003- 世界の都市住居に関する調査分析(都市の住居集合に関する研究)
2016-2018 世界遺産と防災に関する研究

 

インタビュ-

■なぜ宇宙の研究をすることになったか?

建築家が宇宙に携わるのは不思議ではなく、未来の都市像に近いイメージの世界ではあるが、宇宙に居住する場合どのような居住スペースになるのか、インテリアを研究することはよくあることです。東京大学で助手をやっていたころの建築家の先生が宇宙居住を思い描いていたため、それを見て、宇宙での居住スペースに関心はもっていました。

興味はあったものの、宇宙の研究はセンターに入るまではしておらず、地上での居住文化を踏まえた住宅の設計や都市の住宅の集合や、農村の住宅の研究をしていました。
向井千秋センター長に会い、今回のスペース・コロニー研究センターが宇宙専門分野の研究をしていた方ばかりではなく、地上で各分野の研究をしているエキスパートがチームになり、やっていた専門を宇宙に向けて「宇宙で暮らす」研究してみるというコンセプトだった為、今までやっていた研究が宇宙にも役に立てば面白いと考え、参加しました。

宇宙居住空間室内の設計は地上とはだいぶ違います。宇宙は重力、空調、狭いスペースを有効活用しないといけない、窓がないなど、環境もまったく違う。一人の行動はもちろん、複数人で生活することも検討しないといけない。
人の動きに適した動作と心理、閉塞感や解放感などのためにどうあるべきか。プライバシーはどのように守れるか、どのような生活がいいか、その部分は普段の設計が役立つのではないかと考えています。

■研究開発した、あるいは、している技術をつかって宇宙で実現したいことは?

限られている空間を人間の動作を分析して、それにフィットしたコンパクトな空間を有効活用できるようにしたいです。
合理的だけでなく、心理的にストレスを感じない空間の取り方を計画したい。

居住は文化、生活をしてみて快適さの感じ方は住んでたところの慣習なども影響してくる。
多国籍のクルーが一緒の空間で生活するようなことも踏まえ、多文化が入り交じる可能性が高い宇宙居住空間は、合理的な計画はもちろんのこと、動作と心理を検討した居住空間の計画をしたい。

■地上で実現したいことは?

新しい形の都市の住まいを作っていくことが夢です。
都市部の土地が限られている場所で、高層マンションのように高さで住居スペースを確保するのではなく、コンパクトで都市部の文化に根付いた低層高密度の住宅設計を実現したい。

そのために、現在は低層で高密度に人が住んでいるところを調査、分析しています。
たとえば、ハノイの100年以上前にできた間口が狭くて奥行きが長い高密度居住を調査、分析し、昔はどのような工夫をしてたくさんの人を密集させて住まわせていたのか研究しています。

■研究していて印象に残ったこと・楽しいと感じたことは?

洞窟に家を作ったり、世界の居住はほんとうに様々で、家の設計のみならず、そこに住んでいる人達の生活を見ることはとても刺激になります。
日本では見たこともないような居住都市文化に触れるのはすごく楽しいです。実際に美しい街並みで暮らしている人たちの日常を調査することで気が付くことがあり、それが新たなアイディア創出の材料になる。
世界の居住空間や暮らしを見て、発見していく度に、アイディアが増えていく楽しさがあり、そのアイディアを活用して、新たな設計を提案することが研究の楽しさです。