メンバー

幸村 孝由

創域理工学部 先端物理学科 教授

宇宙放射線モニター用センサーの開発とその放射線耐久性の評価

スペースコロニーの周囲環境を監視するためのセンサー(例えば、CMOSの可視化センサーや被ばく量をモニターする放射線計測用センサー)などの電子機器は、大気の無い月面では、太陽からの宇宙線(放射線)によって被爆し、性能が劣化する。そこで本研究では、放射線量が高い環境下で正常に動作する放射線計測センサーの開発と、その耐久性の評価を行う。

研究分野

天文学 (宇宙物理学,X線天文学,X線検出器,X線CCD,中性子星)

研究キーワード

宇宙物理学,X線天文学,X線検出器,X線CCD

研究経歴

1999- 宇宙望遠鏡搭載X線CCDの開発
1999- 高エネルギー天体(中性子星など)の観測的研究
2013- 宇宙望遠鏡搭載X線CMOSの開発

 

インタビュー

■なぜ宇宙の研究をすることになったか?

初めて宇宙を身近に感じたのは中学の頃でした。理科の先生が星空を撮影していて、その写真を見せてもらったり、一緒に写真を撮ったりしたことで、天体の美しさに感動したのが宇宙に興味を持ったきっかけだったと思います。当時、雑誌Newtonに掲載されていた宇宙の写真が、理科の先生と見た星空とはまた違う星空で、それもまた美しく感動したのを覚えています。
高校一年生の時に文系、理系の進路選択を迫られて理系を選び、宇宙分野の勉強がしたいと改めて決心し、大学も宇宙関連の技術研究ができるところを選択、今に至ります。

■研究開発した、あるいは、している技術をつかって宇宙で実現したいことは?

「宇宙の観測」です。
宇宙にある太陽みたいな天体もそうだし、ブラックホールなど、自分で開発したカメラをつかった宇宙望遠鏡を使って天体観測し、それらの天体の研究をしたいと考えています。

■地上で実現したいことは?

地上では、医療用途に研究の成果を応用したいと考えています。
たとえば癌の診断をするためのPET検査に、研究技術が転出できると考えています。
スマートフォンのカメラやハンディカムのカメラと、我々が研究しているカメラの一番の違いは、センサー(空乏層)の厚み。スマートフォンは厚みが1/1000mm位ですが、開発しているカメラはその500倍で0.5mmくらいの厚みがある。そのことにより、目で見える光しか撮影できないものが、目で見えないX線も撮影することができるようになります。
開発を続けることで、現在のX線写真にかかる線量をより減らし、低放射線線量で綺麗な写真を撮れるようにしたい。検査にかかる放射線の量を減らすことを目標に研究開発しています。

■研究していて印象に残ったこと・楽しいと感じたことは?

実際作ったカメラがH2Aロケットに乗って宇宙に飛んで行って宇宙で使われた時は、10年の研究が報われて達成感を味わいました。