メンバー

飯田 努

先進工学部マテリアル創造工学科 教授

【研究課題】室内外温度差での発電システム構築

ゼーベック効果による温度差発電を用いて、スペースコロニーに生ずる昼間時および夜間時の屋内外温度差により電力供給する熱電温度差発電システムの開発と実証システム環境構築を実施する。熱発電による温度差電力供給は、太陽電池が発電できない夜間や日陰、さらにはコロニーの地下空洞設置の際に補助的な電力供給を実現できることから、太陽電池発電、フライホイール蓄電と連携した電源システム開発を実施する。

研究分野

電力工学・電力変換・電気機器 (環境低負荷半導体エネルギー変換材料)

研究キーワード

環境半導体

研究職歴

1995-1996 ドイツ連邦共和国フォルクス・ワーゲン財団 招聘研究員
1995-1997 日本学術振興会 特別研究員
1997-2001 東京理科大学基礎工学部材料工学科 助手
1999-2000 明治大学理工学部電気・電子工学科 非常勤講師(兼任)
2001- 東京理科大学基礎工学部材料工学科 講師
2006-2011 東京理科大学基礎工学部材料工学科 准教授
2012- 東京理科大学基礎工学部材料工学科 教授

 

インタビュー

■なぜ宇宙の研究をすることになったか?

幼少期は電車の運転手になりたかった。その頃から物の仕組みに興味があり、運転の方法を電車の先頭で見ていたり、ラジカセを分解したりしていました。一つの技術への興味が、あらゆる技術への興味が広がっていきました。また、卒業後、環境先進国のドイツに行った際に環境にも興味を持ち、環境意識が高まりました。
技術への興味と環境への意識から、現在は捨てられている熱からエネルギーを回収してもう一度エネルギーとして使う研究をしています。工場や車の排熱、捨てられている熱をエネルギーに変えることができれば環境にも大きく貢献できると考えています。

地上でも宇宙でも生活をよりよくするための科学技術ですが、技術には必ずいい面に付随して、悪い面が出てくる。宇宙で使う技術となると地上では2割くらいの負の面が大きく影響することになります。宇宙の技術開発をするときは地上よりもっと厳しい条件で検討する必要がでてきます。課題を掘り下げ、より研究を深めていけるのが素晴らしく、宇宙技術の研究も続けていきたいと考えています。

■研究開発した、あるいは、している技術をつかって宇宙で実現したいことは?

宇宙ではエネルギーをたくさん使いますが、作るのは大変です。宇宙では太陽光発電が主ですが、2週間真っ暗になる月の夜では太陽光発電することができません。そこで温度差発電を活用します。太陽光があたっている時に蓄熱した熱を使った、室内と室外の温度差、宇宙服の中の体温と外気の温度差、温度差があるところはどこでもエネルギーを作ることができる。

また、宇宙では温度、空気成分、放射線など様々なセンシングが必要になりますが、宇宙服に温度差発電をつければケーブル不要でそのまま人間の健康モニター情報を発信することも可能になります。様々な場所で発電できればケーブル配線も不要になります。
わずかな熱でもエネルギーに変えて、快適な宇宙居住空間を作れるように研究開発を続けていきます。

■地上で実現したいことは?

現在のメインエネルギーは化石燃料。石油を燃やしてエネルギーにする際も約4割のエネルギーは活用し、約6割は熱として捨てられている。熱が捨てられると、大気が暖まったり、CO2が多く排出される。これらの問題を解決するのに温度差発電を活用していきたい。自分の生涯で排出するCO2は膨大です。自動車、飛行機への搭乗、携帯電話など自分を取り巻くすべてのことからCO2は排出されます。その自分が生涯で排出するCO2を自分の研究で回収したいという目標を持って研究開発しています。

エネルギーの最後は熱になるのでその熱を回収し、極限まで再利用しエネルギーに変えていきたい。

■研究していて印象に残ったこと・楽しいと感じたことは?

地球も、宇宙船地球号と捉えると、地球全体の環境をよりよくすること、科学技術の負の遺産をなくしていくことが大事になります。課題を取り組み、環境に貢献することが研究のやりがいになります。
よりよい社会にするために、宇宙船地球号で快適に生活するために、次の社会に必要なものを育てていきたいです。


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