メンバー

勝又 健一

先進工学部マテリアル創成工学科 教授

【研究課題と成果】水中の硝酸イオンの分解を目指した光触媒材料の開発

酸化チタン(TiO2)とグラフェン(GnP)の複合体表面にPdとCuを担持した光触媒を作製し、水中の硝酸イオンの濃度変化を測定した。3 hの光照射で濃度減少が見られ、TiO2、Pd-TiO2、Pd-GnP-TiO2では濃度が減少しなかったことからTiO2へのCu、Pd、GnPの担持がNO3-の分解に寄与していると考えられた。また、分解後水溶液中に生成している可能性のあるNO2-、NH3、NH4+濃度を測定したところ、わずかなNH4+濃度増加のみがみられたことから、NO3-の分解先の9割は気体生成物であると推測された。

研究分野

無機工業材料 (環境浄化、光触媒、ナノシート、抗菌材料)

研究キーワード

環境材料、セラミックス、光触媒、ナノシート、抗菌材料

研究経歴

2003-2006 多結晶酸化チタン薄膜の光誘起親水性についての研究
2006-2009 ナノシートを利用したセルフクリーニングガラスの開発
2009-2012 特異ナノ構造を有する光触媒材料の合成
2012-2017 新規合成プロセスの開拓と人工光合成への応用
2017-   特異ナノ構造を利用した抗菌材料の開発

 

インタビュー

■なぜ宇宙の研究をすることになったか?

中学生の時にホーキングの最新宇宙論とNHKアインシュタインロマンをみて、宇宙に関わる研究がしたいと思い、理系を志すきっかけとなりました。
その後、環境材料の研究を続けていたところ、スペース・コロニー研究センターに誘われて、研究に携わることができました。

■研究開発した、あるいは、している技術をつかって宇宙で実現したいことは?

宇宙で生活するためのスペースコロニーを実現したいと思っています。そのためには地球に当たり前にある水、空気、光などの環境を提供する必要があります。

水、空気は光触媒ですでに浄化する実験が進んでいましたが、光に関しても研究を進めたいと考えています。宇宙で暮らす際にも自然光は人間らしく生活するのに必要になります。放射線を防ぐガラスで、室内にも自然光を届け、きれいな空気、水があり快適に生活できる居住空間の研究をしてきます。

■地上で実現したいことは?

人間は消費しないと生きていけません。酸素を吸って二酸化炭素を出したり、食べ物を食べて排泄したり。

そうした、人間に関する循環はもちろん、地球上の有害なものは分解し、有害ではないものは集めてまた有価物に変えていくことを光触媒で担っていきたいと考えています。最終的には100%物質を循環させ、廃棄物ゼロを達成したいと考えています。

■研究していて印象に残ったこと・楽しいと感じたことは?

遠いと思っていた宇宙を身近に感じることができるようになったことが、研究をしていて喜びを感じたことです。