Department of Applied Mathematics

理学部第一部 応用数学科

数学の真理を柔軟に応用し、
よりよい未来をつくる

応用数学は現在の科学の発展に大きく寄与しており、データサイエンス、人工知能、IoT等を支える基盤としても欠かすことができません。人の心理や行動、企業や社会の活動、自然の摂理など、社会のあらゆるものは数学で動いています。普遍的な数学の真理を柔軟に応用することで、よりよい未来をつくることができるのです。応用数学科は理論と応用の両面を志向する数理学系学科として、1961年に全国に先駆けて開設されました。幅広い分野に数学を応用するために必要な対象を分析・理解し、抽出した問題を解決する数理的な能力を備えた研究者・技術者・教員・公務員の育成に努めています。

概要図
  • 応用数学科の特徴1

    複数の専門分野を
    融合して学べる

    「統計科学」、「計算数学」、「情報数理」 を3つの柱とする充実した応用数学の教育・研究環境が整っており、コンピュータを用いた実践的教育を受けることもできます。また、大学院に直結したカリキュラムで、多くの学生が本学の応用数学専攻に進学しています。

  • 応用数学科の特徴2

    教育職員養成のための
    カリキュラムも充実

    中学校・高等学校教諭1種免許状(数学)、高等学校教諭1種免許状(情報)を取得することが可能です。情報技術(IT)のいかなる進歩に対しても、状況を的確に把握・分析して、自らの数理的・論理的思考力によって柔軟に対応できる教員を養成します。

  • 応用数学科の特徴3

    系統にとらわれずに
    幅広い職種を選択可能

    本学科では、系統ごとに専門性を活かした就職先を選べますが、3系統(統計科学、計算数学、情報数理)の基礎については全ての学生が必修科目として履修するので、系統にとらわれずに幅広い職種を選択できます。金融関連や教育関係に進む学生が毎年一定の割合を占めています。

基礎情報・資格 BASIC INFORMATION & CERTIFICATION

キャンパス 取得学位 在籍学生総数 目指せる資格
神楽坂キャンパス 学士(理学)

494名
(男⼦399名/⼥⼦95名)

男子 81%/女子 19%

※2024年5月1日現在

・中学校教諭1種免許状(数学)
・高等学校教諭1種免許状(数学・情報)

カリキュラム CURRICULUM

■必修科目 ●選択必修科目 ◆選択科目

1年次 2年次 3年次 4年次
■微積分1・2及び演習/線形代数1・2及び演習/応用数学入門/プログラミング基礎1・2及び演習
●物理学1・2/化学1・2/生物学1・2
●続微積分1・2/続線形代数1/微分方程式論1/位相空間論/代数学
◆プログラミング/データサイエンス・AI応用基礎
■応用数学研究1・2
●続線形代数2/微分方程式論2/複素関数論1・2/計算代数
◆数学科教育論1・2/教育工学(ICTの活用を含む)/続解析学1・2/関数解析/応用数学特別講義1~3/現代理学特別講義
■卒業研究
数理データサイエンス分野 ■数理統計学基礎1及び演習
●数理統計学基礎2及び演習/統計データ解析
●応用確率論1・2/数理統計学/数理データサイエンス/多変量解析/データ処理
◆実験計画法/統計モデリング
数理モデリング分野 ■数値解析基礎1及び演習
●数値解析基礎2及び演習
●数値解析/数理モデリング/最適化理論1・2
◆オペレーションズ・リサーチ/計算数学
知能数理分野 ■コンピュータ数学基礎1及び演習
●コンピュータ数学基礎2及び演習
●情報理論/符号理論/情報処理/ソフトウェア科学/知能情報/アルゴリズム論/機械学習
◆離散数学/グラフ理論/計算幾何/人工知能/量子情報/マルチメディア概論

2024年度 学修簿 卒業所要単位表

基礎科目 専門科目 一般教養科目 合計
専門基礎 基幹基礎 関連専門
基礎
必修 選択必修 選択 必修(英語) 選択
18 6 4 23 25 20 8 22 126

卒業研究・
研究室紹介
GRADUATE RESEARCH AND LABORATORIES

数理データサイエンス分野
実社会で取り扱われている「データ」の分析手法を探求する学問領域です。複雑な現象を統計的に予測・解明するために、さまざまな統計手法の数理的内容を深く学び、数学的に解く理論と方法論を学習します。
数理モデリング分野
自然科学、社会科学等における複雑な現象の本質を理解・予測するための数学的なモデル化やコンピュータシミュレーションに関する学問領域です。定式化や解析、計算アルゴリズムの設計・開発等、基礎理論から応用・実践まで総合的に学習します。
知能数理分野
コンピュータに知的な処理を⾏わせるための理論と実践を探求する学問領域です。基盤としての数学やコンピュータサイエンスから、対象である数式や⾃然⾔語などの処理まで、幅広く学習します。

学生の声 VOICE

「自尊心」と「美容意識」にはどんな関係性があるのか

瀬尾研究室 4年 髙橋 春花
埼玉県・市立浦和高等学校出身

印象的な授業 応用数学研究2

※内容は取材当時のものです。

IoT拡大で膨らみ続ける通信量 伝達の安定化に貢献したい

柳田研究室 4年 関 寛太
千葉県・県立船橋高等学校出身

印象的な授業 数学科指導法1

※内容は取材当時のものです。

進路 CAREER

進路グラフ

2024年3月31日現在

主な就職先

  • [情報通信業]
    伊藤忠テクノソリューションズ、SCSK、NECソリューションイノベータ、NTTコムウェア、NTTデータ、NTTドコモ、ソフトバンク、日本IBM、日本総合研究所、日本レジストリサービス、日立システムズ、富士通

  • [サービス業]
    アクセンチュア、アルトナー、シンプレクス・ホールディングス、テクノプロ、野村総合研究所、フューチャーアーキテクト、マイナビ、メイテック

  • [教育・学習支援業、金融・保険業]
    神奈川県公立高等学校、東京都公立高等学校、私立中学校・高等学校、住友生命保険、東京海上日動火災保険、日本生命保険、みずほフィナンシャルグループ、三菱UFJ銀行、りそなグループ

2021年3月~2023年3月卒業生

石渡 研究室

[専攻]数値解析、計算数学 [指導教員]石渡 恵美子 教授 [キーワード]線形計算,遅延微分方程式
[テーマ例]❶遅延微分方程式に関する研究 ❷ある種の離散可積分系に基づく数値計算 ❸連立一次方程式に対する反復解法

自然現象などの数値シミュレーションは、現象を微分方程式などの数理モデルで表し、離散 化などによる近似方程式(連立一次方程式など)を数値計算法で解いて、現象の理解や予測へ とつなげます。この根底に数値解析があります。本研究室では、物理や生物モデルに現れる 時間遅れをもつ微分方程式の数値計算や安定性解析、ある種の離散可積分系の数値計算への 応用、離散化による連立一次方程式の数値計算などを取り上げています。

犬伏 研究室

[専攻]応用非線形解析 [指導教員]犬伏 正信 准教授 [キーワード]力学系理論,流体数理,機械学習
[テーマ例]❶流体方程式の数値シミュレーションと非線形解析 ❷非線形現象のための機械学習法の開発

長期的な気象予測は現在でも難しいですが、その一因はカオスと呼ばれる非線形現象にあります。非線形現象は、気象予測に限らず多くの数理モデル(現象の時間発展を記述する微分方程式)が持つ非線形性に起因する興味深い現象です。本研究室では、コンピュータを用いたシミュレーションやデータ科学の手法を活用・開発し、非線形現象を数理的に理解し応用するための研究を行っています。

小笠原 研究室

[専攻]オペレーションズ・リサーチ [指導教員]小笠原 英穂 准教授 [キーワード]数値的最適化,アルゴリズム設計
[テーマ例]❶相補性問題に対する数値解 ❷変分不等式問題に対する数値解法 ❸ソフトウェア開発

現象や計画などを数理モデル化するとしばしば非線形問題となり、取り扱いが難しくなりま す。代表的なモデルは最適化問題ですが、経済や交通流の均衡モデルなどでは相補性問題、 変分不等式問題になります。近年、最適化問題の中でも最も基本的な線形計画問題が、非線 形の半正定値計画問題や2次錐計画問題に自然に拡張され、これまでは扱えなかった問題に も応用されるようになってきました。こうした問題の近似解をコンピュータで効率的に計算 するために、問題の構造や解法のアルゴリズムを研究しています。

黒沢 研究室

[専攻]統計科学 [指導教員]黒沢 健 准教授 [キーワード]応用統計学,応用確率論
[テーマ例]❶Logitモデルの推定法の研究 ❷GLMのモデル評価尺度

世の中の現象はしばしば数理モデルによって表現されます。でたらめに見えるデータから規 則性を知的発見することで、何が目的対象物に対して作用しているか、統計学の手法を使っ て推論することができ、現象を表現する新しい数理モデルの構築や統計的性質の解明が可能 となります。特に本研究室では統計モデルの中で分類モデルに注目しています。分類モデル とは、例えばメールのスパムメール判別、天気予報、人が商品を選択する際の意思決定要因 などを確率モデルによって表現する判別モデルとなります。

胡 研究室

[専攻]組合せ最適化 [指導教員]胡 艶楠 講師 [キーワード]組合せ最適化問題に対する実用的な近似解法の開発
[テーマ例]❶2次元と3次元の配置問題に対する構築型解法 ❷配送計画問題に対する探索型解法 ❸スケジューリング問題に対する数理モデル

実社会で現れる様々な問題は組合せ最適化問題として表現できます。それらは多くの場合、 NP困難と知られ、現実的な計算時間で最適解を得ることは非常に困難です。その一方で、適 度な精度の近似解は十分に実用的であると考えられています。このような状況で、計算方法 を工夫することで効率よく近似最適解を求める解法が有用となります。解決を求められてい る多くの問題に対し、汎用性と柔軟性に富む高性能な解法の開発を行います。

瀬尾 研究室

[専攻]統計科学 [指導教員]瀬尾 隆 教授 [キーワード]データ解析,多変量解析
[テーマ例]❶欠損値を持つデータにおける統計的手法 ❷統計量分布の漸近展開と非正規性の影響に関する研究 ❸平均ベクトルの多変量多重比較法に関する研究

統計科学は、自然科学や社会科学を問わず多くの分野で取り扱われる「データ」という情報に確率 的要素を加え分析することによって、複雑な現象を解き明かしていく分野です。また、大量のデータ (ビッグデータ)の中から本質的な情報を取り出し分析する分野でもあります。本研究室では、データ サイエンスの統計理論である多次元データを取り扱う多変量統計解析の理論や分析法の研究を 行っています。特に、データ解析の中では、データが何らかの理由で欠落している場合が多く、この ような欠損値を含むデータの下で、データ情報を有効に活用する統計的手法の開発を行っています。

関川 研究室

[専攻]数式処理、計算数学 [指導教員]関川 浩 教授 [キーワード]計算機代数,数値数式融合計算
[テーマ例]❶扱う対象に誤差がある場合の数式処理 ❷数値計算を利用した効率のよい数式処理 ❸科学や工学への代数学の応用

コンピュータに因数分解や積分などの数学的な計算をさせるためには、数学や計算機科学の いろいろな理論が必要です。そういった理論を基に、MathematicaやMapleなどの数式処 理システムと呼ばれるソフトウェアが作られています。本研究室では、主に代数学の分野で、 数式処理システムの基礎となる理論の研究、数式処理システムを用いて人手ではとてもでき ないような計算をコンピュータに実行させる実験、科学や工学へ代数学を応用する研究など に取り組んでいます。

鍋島 研究室

[専攻]数式処理 [指導教員]鍋島 克輔 准教授 [キーワード]計算機代数,特異点論
[テーマ例]❶パラメトリック方程式系の解析 ❷局所環上の計算アルゴリズム ❸計算特異点論

『コンピュータに高度な数学をさせる』ためのアルゴリズムの研究をしています。コンピュータが数学をするための理論は人工知能の分野と共に発達し、その研究分野は計算機代数学、数理論理学で支えられており、数式処理と呼ばれています。現在、高等学校の数学はもちろん、最新の数学研究に使える数学まで、現在のコンピュータは数学ができるようなっています。ゆくゆくは、コンピュータと数学の議論ができるようになりたいです。

橋口 研究室

[専攻]統計科学 [指導教員]橋口 博樹 教授 [キーワード]数理統計
[テーマ例]❶ランダム行列とその固有値の分布論 ❷複素多変量解析 ❸統計計算における数式処理

統計学は、経済学、社会学、情報学、生命科学などさまざまな分野で行われるデータ解析の 基礎となる学問です。本研究室では、統計学の数学的モデルを、個々の問題にとらわれるこ となく抽象的に扱い、研究します。例えば、複数科目の得点に関する分析方法、携帯電話な どの無線通信の数理モデル、画像認識技術には、数学的に非常に多くの共通点があります。 これらの事柄に対して個別に取り組むのではなく、一つの数学的モデルとして研究すること により、数理モデルでの解法が現実問題へ適用可能になります。

松崎 研究室

[専攻]自然言語処理 [指導教員]松崎 拓也 教授 [キーワード]意味解析,構文解析,人工知能
[テーマ例]❶日本語・英語などの構文解析・意味解析 ❷大学入試問題の自動解答 ❸テキスト理解を支援するソフトウェア

ことばの理解を中心に、人間の知的な能力をコンピュータで正確に真似することが研究テー マです。大量データをもとに知的な振る舞いを模倣する機械学習と、論理学を基礎として文 法や推論の仕組みを表現する記号的モデリングが柱となる技術です。これら基礎技術の開発 とそれを応用した知的システムの構築を行います。

村上 研究室

[専攻]統計科学 [指導教員]村上 秀俊 准教授 [キーワード]ノンパラメトリック法,数理統計学
[テーマ例]❶ノンパラメトリック検定統計量の開発 ❷検定統計量の性質と近似分布に関する研究 ❸多変量データへのノンパラメトリック法の応用 ❹カーネル密度推定に関する研究

統計学は、さまざまな分野にわたって活用されています。現代社会では環境問題が大きく取 り沙汰されており、生態統計学などが注目されていますが、どのような母集団分布から得ら れたデータか仮定することは困難です。本研究室では、ノンパラメトリック法と呼ばれる母 集団分布に依存しない統計手法の理論構築や分析法の開発などの研究を行っています。デー タ解析では、興味ある分野のデータにノンパラメトリック法を適応し、その中で出てくる問 題を解決しながら、さらに良い分析ができるような統計手法の開発を行います。

柳田 研究室

[専攻]情報数学 [指導教員]柳田 昌宏 教授 [キーワード]情報理論,作用素論
[テーマ例]❶情報エントロピーの基礎論とその応用 ❷作用素不等式とその応用

情報理論は、今日の情報技術を支える基礎理論の一つです。その中心的概念が、情報を量的 に捉える尺度である、情報エントロピーです。本研究室では、情報エントロピーの基礎論と その応用について研究しています。また、次世代の情報技術といわれる量子情報技術を支え る理論は、ヒルベルト空間上の線形作用素の理論がその数学的基礎となっています。本研究 室では、作用素不等式とその応用を中心に研究しています。

当サイトでは、利用者動向の調査及び運用改善に役立てるためにCookieを使用しています。当ウェブサイト利用者は、Cookieの使用に許可を与えたものとみなします。詳細は、「プライバシーポリシー」をご確認ください。