2025年度第11回坊っちゃん講座「半導体の無限の可能性 -物理と化学を駆使して植物と会話する方法-」開催報告
1月24日(土)に2025年度第11回坊っちゃん講座をオンラインで開催し、110名の参加者がありました。
本講座は最先端の研究や応用研究において世界をリードしている研究者が研究の面白さを高校生、中学生および大学生に伝え、勉学意欲の向上と進路選択に資するために開講しています。
今回は、創域理工学部 電気電子情報工学科 杉山 睦 教授に講演いただきました。先生は他にも、総合研究院 再生可能エネルギー技術研究部門 部門長、総合研究院 スペースシステム創造研究センター 副センター長なども歴任しています。
初めに自己紹介として、中学生の頃は部活でハンドボールに明け暮れ、夏休みの自由研究では、小田急線全線の水道水の味調査をしたこと、高校時代は社会研究部に所属し、外国人労働者の実態研究を行い、5つの新聞に掲載されたことなどのお話しがありました。
大学では、当初、学部を卒業して就職する予定でしたので、1年間の研究室生活ならば、一番厳しい研究室にしようと決めたことが、結果的に半導体研究の道に進むきっかけとなりました。
学部4年生の秋、人生最初の学会発表では、赤崎勇先生・天野浩先生と共著。修士課程では、中村修二先生と共著。杉山先生が青色LEDを研究していた修士・博士時代から10年後の2014年、前記3名の先生方は、ノーベル物理学賞を受賞しました。
半導体とは、電気を都合よく流す材料(物質)であり、スーパーコンピュータ、コンピュータ、自動車、鉄道、信号機、スマホなどは、半導体で動いています。
しかしながら、半導体研究には膨大な費用がかかります。大学教員になり、費用負担の少ない半導体研究に舵を切りました。
最初に目を付けたのは、人と環境に優しく、安価な太陽電池の開発でした。
ブリキ(に含まれるスズ)+ 温泉(に含まれる硫黄)= 太陽電池
作る時、使う時、捨てる時に人と環境に安全安心で、低原料・低製造コストにより、広く普及しやすいと考えました。
当初は誰にも相手にされませんでしたが、2013年当時、SnS太陽電池の世界最高変換効率を達成しました。その後、インド、イギリス、アメリカ(マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学)、日本の太陽電池作製グループと共同研究を行い、東京理科大学がSnS太陽電池の中心となりました。2021年には、Cu,Sn,Sを用いたCTS太陽電池の世界最高発電変換効率を達成しました。こういう状況になると、企業との共同研究や国のプロジェクト予算も付いてきます。
アジア・アフリカ諸国にとって、エネルギー供給問題解決は今後の発展のために必須であり、杉山研究室には、エジプト、ネパール、ナイジェリア、バングラディッシュなどから研究者が集います。
上記の経験から研究の基盤が固まり、先入観や他人が言う常識にとらわれず、自分と学生がワクワクすることだけ研究しようと決めました。
その後も、杉山先生の興味は止まらず、自由自在な発想、他分野の先生にも積極的に教えを乞い、半導体研究を宇宙や農業などの分野にも繋げています。
最後に、視聴者の中高生に向けて、以下のメッセージを示し、講演を締め括りました。
・現代では、一つの専門知識では限界・・・。
例)自動車:昔は機械工学分野だったが今は電気も・・・
・好きなことがわからない・見つけられなくても
とりあえず興味だけキープしていればなにか起きるかも・・・。
・10年後の科学なんてどうなってるかわからない・・・。
どんな知識が役に立つかなんてわからない・・・。
・あまり悩んでも仕方ないので、その時の運・偶然に
身を任せてみるのも良いのかも・・・。
講演後、参加者から届いた多くの質問に杉山先生が1つ1つ丁寧に回答してくださいました。
参加者からは、「講師の先生の柔軟な発想方法に触れ、学際的な協力が今後ますます必要になるだろうと思われました。それを裏付ける研究成果が実際にあることを知ることができました。わかりやすいご説明に感謝します。」「高校1年の息子と一緒に見ました。息子は杉山先生のいる理科大を受験したいと思いを新たにしていたようです。」「物理が苦手で、受験で化学と物理の両方を選択しなければならないことに不安を感じていましたが、先生の分かりやすい説明を通して物理に興味を持つことができ、楽しいと感じられた点が良かったです。基礎に立ち返ってもう一度頑張ってみようと思えたことも、大きな収穫でした。」「半導体の可能性について、知らない世界をご紹介いただいたこと。特に農業での応用は、日常生活に直結することであり、大いなる発展を期待しています。」「自由な発想と実行力が素晴らしい。大学の力を感じました。」などの感想が寄せられました。
<講演の様子>











