2025年度第3回坊っちゃん講座「今の学びが君の未来を変える? 起業家教育の長期的影響」開催報告
6月7日(土)に2025年度第3回坊っちゃん講座をオンラインで開催し、110名を超える参加者がありました。
本講座は最先端の研究や応用研究において世界をリードしている研究者が研究の面白さを高校生、中学生および大学生に伝え、勉学意欲の向上と進路選択に資するために開講しています。
今回は、経営学部 経営学科 渡邉 万里子 講師に講演いただきました。
最初に先生の経歴、専門分野、これまでの道のり等、自己紹介がありました。渡邉先生は様々なことに興味を持つ性格から、その都度迷うことも多くあったそうです。就職先にも迷った挙句、広告制作会社へ就職しますが、その経験から「理論やデータ分析に基づいた、科学的な経営の視点が必要なのでは?」「国際経営の視点が必要なのでは?」と問題意識が生まれ、その後大学院修士課程に入学、さらに博士課程に進学し、研究者として大学でキャリアをスタートさせることになったそうです。現在では、大学の中で自由度を持って好きなテーマを研究できることを楽しんでいますとお話しされました。
続いて、「経営学」について、「企業やその他の組織の事業の目標を達成するために、ヒト・モノ・カネ・情報と呼ばれる経営資源をいかに効果的に配分/活用して企業を豊かにするかを考える、実践的かつ実務的な事象を扱う学問」であり、主な分野としては、組織管理、経営戦略、マーケティング等、広く様々な分野があるとの説明がありました。
具体例としてイオン系のまいばすけっとを挙げ、コンビニやスーパーと比較しながら、経営学の観点から戦略や組織の管理、マーケティング等の考え方について詳しく解説してくださいました。
東京理科大学経営学部では、このようなことを数学的アプローチから分析することや、ゼミナールが必須であること、興味のあるテーマを1つ選び、「(卒業)研究」という形でアウトプットするということが特徴的であることの他、経営学部の3つの学科についても詳細に説明してくださいました。
※東京理科大学 経営学部 オリジナルホームページ ⇒ https://dept.tus.ac.jp/mgt/
次に、渡邉先生の研究テーマの1つである「起業家教育の事例研究」について、アントレプレナーシップの重要性、研究目的、品川女子学院の起業家教育等のお話しがありました。
日本でも希少な中等教育の起業家教育の歴史を持ち、その成果が認められている品川女子学院の起業家教育は、「仕事でキャリアを積んで社会に貢献できる年齢、プライベートで結婚や出産に向き合う年齢を28歳と設定し、28歳を1つの到達点とした、ライフデザインを考える全学プログラム」であり、28ものプロジェクトが組まれています。この教育を受けてきた品川女子学院の卒業生と、起業家教育を受けていないその他の女子高卒業生にそれぞれアンケートを実施し、その分析結果や発見したことについて説明がなされました。
これらのことから「これから大学で学ぶみなさんへ」として、「今の学びのスタイルを振り返ってみよう」「大学の授業も、授業以外の活動も、全部、学びのチャンス」である。自分で決めたことを行動に移し、失敗しても次の行動につなげることで学びがあること、大学には授業以外にも面白そうなことが多くあるので、ぜひいろいろなことに首を突っ込んでみてくださいとメッセージを送り、講演を締めくくられました。
講演後、参加者から届いた多くの質問に渡邉先生が1つ1つ丁寧に回答してくださいました。
参加者からは、「経営学はあまり馴染みがないと思っていましたが聞いてみると興味深かったです!」「アントレプレナーシップ教育についてとても興味深いお話でした。研究発表だけでなく、先生の経歴や東京理科大学経営学部の制度についてもお話しいただけて嬉しかったです。質問にも丁寧に答えていただきありがとうございました。」「自分の興味があること・やりたいことを大切にし、自己決定することの大切さを改めて感じました。僕は様々なことに興味を持ち、やりたいことを一つに絞るのが苦手なので、大学でも学問に関すること以外の活動もあるということを知ることができてよかったです。大学に進学したいという気持ちが更に強くなりました。」などの感想が寄せられました。
講演の様子