2024年度第11回坊っちゃん講座「超分子化学 ~分子でロボットが作りたい!」開催報告
1月25日(土)に2024年度第11回坊っちゃん講座をオンラインで開催し、100名を超える参加者がありました。
本講座は最先端の研究や応用研究において世界をリードしている研究者が研究の面白さを高校生、中学生および大学生に伝え、勉学意欲の向上と進路選択に資するために開講しています。
今回は、理学部第二部 化学科 佐竹 彰治 教授に講演いただきました。
はじめに「突然ですが・・・SFはお好きですか?」との問いかけから始まり、SFにも小説、まんが、映画、テレビ等いろいろありますが、「皆さんの推しは何ですか?」「スマホから目が離せない」今の時代、図書室、図書館に行って本を読んでみるのも良いかもしれませんとお話しがありました。
佐竹先生が子どものころはテレビアニメやまんが、特にテレビ主題歌が大好きで、それをきっかけにロボットや科学技術に興味をもち、アニメのヒーロー(主人公)よりも技術者の登場人物に憧れていたそうです。持論として「サブカル(チャー)は人類を救う」と考えていると熱く語ってくださいました。
また、先生が高校生の頃「どこの学部にいこうか?」と進路を考えた際、「ものづくり」が好きだったことから「電気・機械工学」か「合成化学・応用化学」で迷った末、化学系に進学。それから数年後、分子を扱う道に進みました、とご自身の経験をお話しくださいました。
本日の学びの目標は、「『分子』を組み上げる『超分子化学』の概要をつかもう」です。現代は自分で何でも検索して調べることができる時代。疑問に思ったことを後で検索できるよう、講演中にはキーワードをメモしながら聞いてくださいと案内があり、講演がスタートしました。
「桁違いのスケール感を持とう」と、「メートル(m)とナノメートル(㎚) 9桁大きさが違うものはどれか」とクイズ形式でお題が出され、地球と大粒あめ玉くらいの違いがあることの説明があり、そのため「ヒトは1分子だけを触れない」「そもそも『分子』ってなあに?」と解説が進んでいきました。
ここでは有機分子について考えますが、「互いに電子を出し合って『共有結合』で結ばれた化合物」が分子です。
小さいもの、大きいもの、巨大なものの例を示された後、「プロテインデータバンク(PDB)」という誰でもが三次元的にタンパク質をみることができるサイトの紹介もありました。
では、「分子はどうやって三次元構造をつくるのか?」。分子はブロックのおもちゃと似ていて、分子のブロックパーツで組み立てることができる、メタン、エタン、ブタン、ヘキサンの説明がありました。「実際にはどうやってくっつけるの?」と思いますが、それが大学で習う「有機合成化学という分野」であり、「共有結合」について学びますと解説されました。
続いて超分子化学、超分子相互作用について簡単に説明があった後、佐竹先生の研究紹介になりました。キーワードは「配位結合と錯体」です。錯体を2つ連結すると何が起こるか。さらにたくさんの分子を混ぜると「ポリマー」ができ、錯体が連なった「リング」ができる等、どのような構造体ができるかをクイズ形式で出題し、できた構造について詳細に説明がなされ、その構造体が正に合体ロボのように見えると、とてもわかりやすく説明されました。
続いて先生が所属する、理学部第二部の紹介がありました。理学部・工学部・理工学部の違いや、理学部第一部(昼間部)と理学部第二部(夜間部)の違いについて説明され、理学部第二部は理科大の前身「東京物理学校」を継承しており、歴史がある学部であること。社会人の方や経済的な理由で通う方など多様な学生が在籍していますが、みんな夜間部で学ぶ理由をしっかり持っていることなどについてお話しされた他、「就学学修サポート制度」の紹介もあり、学びながら働くことができることについての説明もありました。理学部第二部のオリジナルホームページには多くの情報が掲載されているのでぜひ見てくださいと紹介もされました。
【理学部第二部オリジナルホームページ】https://dept.tus.ac.jp/sc2/
最後に「科学はSDGSだけではないですよ」として、「エネルギー・環境問題は科学技術だけでは解決できないトランスサイエンス」である。いろいろなことを勉強して、「生涯ワクワクしながら学び続けられる好奇心を持とう」。そして、「直接利害関係のないサブカルは世界の人々と交流するツールになるよ」とメッセージを送り、講演を締めくくりました。
講演後、参加者から届いた多くの質問に佐竹先生が1つ1つ丁寧に回答してくださいました。
参加者からは、「佐竹先生のお話が面白くて、超分子について興味が湧きました。ポイントとなるワードに注目させクイズで楽しませて、正解できると達成感を味わうことができて、集中して楽しんで聴講することができました。」「普段は物理関係の学習ばかりしているので、他分野の研究を知ることで、新たな知見を得られ、将来研究したい分野について再考できた。」「幼少期の体験で「分子でロボットが作りたい!」、実際に色々な分子に携わっている姿、そしてそれをとても楽しそうに講義くださる先生の姿を拝見し、とても羨ましくなりました。私は分子構造などは全く分かりませんが、とても美しいものを見させていただき良い時間を過ごしました。ありがとうございます。」などの感想が寄せられました。
講演の様子