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高校生と高校理科教員のための微生物培養講習会 開催報告

 2023年12月26日(火)・28日(木)の両日13:00~16:00に神楽坂キャンパスにて、理数教育研究センター主催「高校生と高校理科教員のための微生物培養講習会」を開催しました。受講者は22名(高校1年生7名、高校2年生6名、教員7名、その他2名)でした。

 一日目(12月26日)は、班分け(3名で班を構成)をし、実験Ⅰ「身近な微生物を確認してみよう!」 実験Ⅱ「薬味の殺菌作用を乳酸菌で調べる」もしくは「金属の殺菌作用を調べる」 実験Ⅲ「乳酸菌で太陽光の殺菌作用を調べる」の三つのテーマを各班でそれぞれに実験しました。

 二日目(12月28日)は、各班で実験結果に対する考察・仮説等をディスカッションし、その結果を発表してもらいました。ディスカッションに際しては、生徒自身がインターネットで検索したり、生徒同士で話し合う時間を十分に設定しました。

 実験Ⅰの結果から、生徒たちは目に見えない微生物の可視化で、身近な環境に多種多様な微生物が存在していることを驚きをもって理解したと思います。

 実験Ⅱの結果から、薬味として市販のチューブ入り生にんにく、生しょうが、本わさびの、また金属としてAl、Cu、Feの殺菌作用の強弱を、乳酸菌のコロニー数をパラメータとすることで明確に可視化できました。この実験で生徒たちは薬味や金属の殺菌力に興味・関心を示し、自発的な探究を誘起するきっかけになったと思います。

 実験Ⅲの結果から、太陽光の紫外線による殺菌作用を、乳酸菌のコロニー数の増減の可視化で知ることができました。この実験で生徒たちは太陽光が主に紫外線、可視光線、赤外線からなり、特に殺菌作用がある紫外線はUV-A、UV-B、UV-Cから構成されていることを学べました。これをきっかけに、紫外線の有効性と有害性に関して興味・関心を持つようになったと思います。

 以上より、本講習会では微生物(乳酸菌)をバイオアッセイとして活用することで、生徒自ら積極的に探究し学ぶ姿勢を養い、測定結果を積極的にディスカッションすることで、科学的洞察力の育成とコミュニケーション能力の向上への実践ができました。

 最後に参加者からの感想の一部を抜粋して紹介します。

「本当に楽しい2日間でした。他の学校や学年の人から様々な刺激を受けました。この経験は間違いなく今後の勉強へのモチベーションになるし、生徒の中でも年長者だった自分自身は、もっと精進しなきゃいけないなと思いました。今後も機会があればよろしくお願いします。」

「微生物の培養を行なって、微生物が不思議でとても奥が深いものだと感じ、もっと知りたいと思った。また、微生物だけでなく太陽光の影響についても知ることができ、全体を通してとても有意義だったと思う。 普段の生活で学校外の人と話すことがないので、いろんな年齢の人達と交流できたのも良かった。 2日間ありがとうございました。」

「非常に興味深い実習だと思いました。特に考察の発表機会を設けたのがとても良かったと思います。」(教員)

「微生物を環境センサとして用いるという発想は自分には全くなかった。しかも、生物分野だけでなく、物理など応用範囲がかなり広い。1+1が2以上になっている好例である。」(教員)

 

 

 微生物培養講習会の様子➀

 

 

 微生物培養講習会の様子②

 

 

 坂下丈太先生

 

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