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2023年度第1回坊っちゃん講座「ナノって何なの? 小さな構造が機能を決める」開催報告

4月22日(土)に2023年度第1回坊っちゃん講座をオンラインで開催し、190名の参加者がありました。

 

本講座は最先端の研究や応用研究において世界をリードしている研究者が研究の面白さを高校生、中学生および大学生に伝え、勉学意欲の向上と進路選択に資するために開講しております。

 

今回は、本学先進工学部 機能デザイン工学科 梅澤雅和 准教授に講演いただきました。梅澤先生は、本学薬学部の出身であり、在学中には陸上部部長として箱根駅伝予選会にも出場されるなど文武両道で精進し、当時の指導教員からも「走る力、走り続ける力が何かを成し遂げるのに役立つ」と言われたそうです。自分が楽しいと思えることに打ち込むことはとても大事であるとのお考えを述べられました。梅澤先生の所属する先進工学部機能デザイン工学科は今年の4月に新設された学科であり、みんなが使いやすく機能性が高い「ヒトのカラダを助ける工学」の創出をめざす学科であることが紹介されました。学生の中には質問することが苦手という人も多いが、ぜひ今日の講演内容をメモする際には「これってどういうことなの?」等、質問の形、疑問形でメモしてみてくださいとご提案があり講演がスタートしました。

 

「ナノって何なの?」をテーマにした講演では水と油の関係を例に挙げ、体内の水の量は体重の約3分の2。体内の血液量は体重の約13分の1。その血液の中にある「中性脂肪」や「コレステロール」は「あぶら」だがなぜ水に溶けないはずの「あぶら」が体の血液の中で存在することができるのか。それはナノ粒子(非常に小さな粒)となることで可能になる。同様に新型コロナワクチンとして知られるmRNAも本来であれば体に入れてもすぐに分解されてしまうが、ナノ粒子の中に入れることで分解されることなくワクチンとしての効果を発揮することができるようになること等、大変分かりやすく解説してくださいました。ナノは細胞よりも小さいものであり生体内で本来「こわれやすい・不安定な・不溶な」分子が、ナノ粒子にカプセル化することで安定に存在できるようにする機能があるものであること。ナノ粒子は体の中で作られるものだけでなく、体の「中の温度」分布がどうなっているのかがわかるナノ粒子等、高機能な材料を作ることもでき、疾患の治療に使えるかもしれないこと等の説明もありました。梅澤先生は、この研究により疾病の治療や予防など、病気の少ない世界を作ることに貢献したいと熱く語ってくださいました。

 

また、「大学って何するとこなの?」と題して、「1.通じる言葉を手に入れる」「2.世界の人たちと取り組む」ことについてお話しいただきました。知識、実力をつけて活躍するためには「体力」も大事だし、通じる「言葉」を手に入れることも大切である。それぞれ置かれた立場や分野、業界等により「“当たり前”が何か」が違うから「言葉」は思った以上に通じない。いろいろな人と話をすることで、通じる通じないを経験し、きちんと伝えるためにはどうしたら良いかを考えて欲しい。今ではインターネット等を使って世界の人たちと簡単につながれるようになった。先生ご自身2020年春に新型コロナの影響によりロックダウンとなった際、世界中の研究者で大気汚染の状況を調べることとなった経験があり、ロックダウンがPM2.5濃度やNOx濃度に及ぼした影響について世界中のデータを集めることができたというお話も披露されました。

まとめとして、ナノ粒子の研究は一つの分野だけでなく分野横断的なテーマであり、いろいろな人たちと研究を進め病気を予防することにつながれば良いと考えていると述べられました。

 

今回より、参加者からの質問を「Q&A機能」の他、音声でも受け付けることとしました。講師へ直接問いかけることで質問の意図が伝わりやすくなることを想定したものです。多数の質問に梅澤先生が1つ1つ丁寧に回答してくださいました。

 

参加者からは、「研究で分かったことがいろいろなことに応用出来て、一瞬つながりのなさそうなものにも役に立つことがわかりました。また、疑問を持ったことについての研究へのつなげ方など、学校でこれからやる課題研究の参考にもなりました。 興味深いお話でした。ありがとうございました。」「私は大学で創薬について学びたいと思っていたので今回の講座で先進工学部でも学べるということがわかり、大学選びの参考になりました。」「今まで関わったことのなかったナノ粒子についてお話を伺え、知識、視野を広げることができた点が良かったです。 また薬学部に入学した私にとって、薬学部を卒業された先輩にあたる教授のお話を伺えたことは、今後の学習意欲にも繋がります。」などの感想が寄せられました。

 

 

 

講演の様子

  • 坊っちゃん講座
  • 高校生のためのサイエンスプログラム
  • 算数/数学・授業の達人大賞
  • 理科・授業の達人大賞
  • 発行物
  • 教育DX推進センター
  • 教職教育センター
  • 東京理科大学
  • 宇宙教育プログラム
  • 数学体験館
  • なるほど科学体験館
  • 協賛 東京理科大理窓ビジネス同友会

東京理科大学 理数教育研究センター
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