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2022年度第9回坊っちゃん講座「いのちを支える水・空気 ~人や生物と流体との深い関わり~」開催報告

11月12日(土)に坊っちゃん講座をオンラインで開催し、100名を超える参加がありました。

 

本講座は最先端の研究や応用研究において世界をリードしている研究者が研究の面白さを高校生、中学生および大学生に伝え、勉学意欲の向上と進路選択に資するために開講しております。

 

最初に自己紹介では、高校生の時、理系コースを選んだのは、後ろの席の友人が「文系を選んだら理系に行けないけれど、理系を選んだら文系も選べる」と言ったから。大学4年生の研究室での研究活動で「面白さ」に出会い、大学院生の時、正解のない問題を考える面白さに没頭し、大学院の途中に「研究者」を職業にしたいと思い始めたこと、研究者になってからは、自分の想いを素直に形にできるところに感動し、現在、大学では学生の熱意に触れて楽しい日々を過ごしているとの話がありました。

 

続いて講義内容は、人、動物、魚、昆虫などの様々な生物が、水や空気(流体)の性質をどのように巧みに利用して生きているかについて、「落ちる速さ」「生物のサイズと移動速度」「表面張力」をテーマに多くの具体例を使って、物理学的な観点から解説がありました。

 

ボウリングの球と鳥の羽のどちらが速く落ちるか? 真空中では同じ速さで落ち、空気中ではボウリングの球が速く落ちる映像、翼端渦と呼ばれる飛行機の翼端で発生する渦を実際に鳥が飛んでいる場面で目視できる映像、アメンボが表面張力を利用してジャンプする映像を巧みに使いながら視覚に訴え、その後、理論や数式(流体力学において重要なレイノルズ数:速さや大きさ、粘性の影響をひとまとめにできるパラメータ。レイノルズ数が同程度 → 流体の動きが似ている。)に持っていく展開は分かりやすく、説明も丁寧でした。

 

最後に先生の研究紹介があり、脳動脈瘤について、3Dプリンターで血管と同じ形の物を作って、その中に水を流して測り、原因を解明していること、がんの転移を早く見つけるためのデバイスを製作していること、流れを測るシート型センサーを用いて、シールのように貼って流れを測り、速さと向きが分かるようにすることなどの説明がありました。

 

その後、参加者から「Q&A機能」を用いて質問を受け、質問を1つ1つ丁寧に、回答していただきました。

 

参加者からは、「生物が如何に水や空気を利用しているかを具体的に説明してくれて興味深い内容で勉強になりました。」「自由落下ついて、真空環境ではボールも羽根も同じ速さと聞いていた。今回、位置エネルギーの観点から説明していただき『速さは物体の質量に依存しない』という式が導き出され、腑に落ちた。『粘性』に関する知見なども白紙状態であったので、実験を用いた説明は分かりやすかった。生物は水や空気の中でこのように活動していることを物理学的視点から分析すると実に複雑なことに感じられた。」「血液を流体と捉える発想が全くなかったので、流体力学と医療との接点がとても興味深いと思いました。」などの感想が寄せられました。

 

オンライン講座の様子 

 

 

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