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第2回科学技術コミュニケーションセミナー「科学を社会に伝える」開催しました

11月13日(土)に第2回科学技術コミュニケーションセミナーをオンラインで開催し、150名を超える参加がありました。

 

理工系の学問を学ぶ学生は、専門分野の知識を身につけることはもとより「科学技術を社会に伝えるスキルを学び、伝えることで社会の安全・安心と発展につなげる」ことが重要だと考え、10月9日(土)の第1回セミナーに続いて第2回を開催しました。

 

初めに、本学特任副学長である秋山仁教授より、これからの時代、「分かりやすく科学技術情報を伝えること」は社会においてますます重要となるため、今後、本学で科学技術コミュニケーションを学ぶ機会を設けるきっかけになるよう本セミナーを開催したと趣旨説明がありました。

 

続いて、JT生命誌研究館名誉館長の中村桂子氏に「今 重要なのは世界観-科学と日常を重ねて-」というタイトルで講演いただきました。科学者は科学の世界観と日常的な世界観とを重ね描きして物事を見て、重ねた世界観を持つことで、科学を生かしていくことができる。扇の形をした「生命誌絵巻」(https://www.brh.co.jp/about_seimeishi/biohistory/)を示し、生物の祖先は1つから広がっていて、みんな共通であり、それぞれ38億年の歴史を持っている。人間はその絵の中に描かれた生物のうちたった1つであり、人間として、人間らしく科学に向き合うべきであるとお話がありました。

また、論文は音楽でいう楽譜であり、コンサートホールで演奏することで、素晴らしさを伝えることができる。科学者は論文を書いて終わるが、同様に論文の内容を楽しめる形で、感じることができる場所として、大阪に「生命誌研究館」を作ったと紹介がありました。

最後に平安時代の堤中納言絵巻の虫愛(め)づる姫の話があり、科学者は、科学者ではない人とも共に自然を観ていくことが、本当の自然科学のやり方だと考えていると講演を締めくくりました。

 

講演の2つ目は、本学理工学部物理学科を卒業し、学位を取得した東京大学 国際高等研究所 カブリ数物連携宇宙研究機構 横山広美教授による「私と科学と社会:研究の立ち位置と具体例」の講演でした。中学2年生の頃に物理学に興味を持ち、科学を伝える人になりたいと思ったことがきっかけで、大学では物理学を学び、大学院修了後は、科学技術社会論を専門に、今、起きている課題を取り上げ、社会と科学をよい関係にしていく活動をしているとお話がありました。

また、研究事例として、専門家グループボイスの提案、AI倫理の指標作成や数物系女子がなぜ少ないのかについて研究活動の紹介がありました。

 

最後の講演は、本学教職教育センター 興治文子准教授による「科学の魅力を伝える楽しさと難しさ」の講演でした。中学、高校の理科教員を養成する授業では、「『なぜ理科を勉強しなければいけないのですか?』と中学生に聞かれたら、何と答えますか?」と学生に問いかけているという紹介から講演が始まりました。

子どもの素朴な疑問にどう答えるか、学校教育の中の事例をあげてお話がありました。相手に伝える際には、口で説明する、図で説明する、式で説明する等の方法があるが、自分にとってわかりやすい方法が相手にわかりやすいとは限らない。どういうところで相手が難しいと感じているのか?相手がどういうことを知りたいと思っているのかを会話を通して、知ろうとする「伝えたい相手のことを知る」ことが大切だとお話がありました。

 

講演後の質疑応答では20件を超える質問があり、音声やチャットを活用して回答しました。

 

参加者からは、「自然科学の理解と、自然の神秘への感動と、どちらも両立するのは難しいと感じていたところ、中村先生の講演中の『科学は自然を死物化する』という言葉に、なるほどと感じました。」、「科学者のあるべき心構えを改めて自覚することができるいい機会となりました。また、科学を社会の多くの人々に伝えることの難しさを再認識するとともに、相手の求める情報をいかにして伝えればいいのか考えを深めることができました。」本学学生からは「専門知識を持つ人とそうでない人が同じ現象を見ても受け取り方が違いという点はあるものの、同じ人間であるという共通点もあるということを改めて感じました。また、科学のことだけではなく、社会で科学や科学者がどのようにとらえられているかという点にも関心を持つ必要があると感じました。」と感想がありました。

 

 

東京理科大学 秋山仁  特任副学長           JT生命誌研究館 中村桂子名誉館長

 

 

東京大学 横山広美 教授               東京理科大学 興治文子 准教授

 

  オンライン講座の様子

 

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