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2021年度第8回坊っちゃん講座「自然は薬の宝箱 ~くすりの種を探したい!」開催報告

11月6日(土)に2021年度第8回坊っちゃん講座をオンラインで開催し、130名を超える参加者がありました。

 

本講座は最先端の研究や応用研究において世界をリードしている研究者が研究の面白さを高校生、中学生および大学生に伝え、勉学意欲の向上と進路選択に資するために開講しております。

 

今回は、本学薬学部薬学科 安元加奈未講師による「自然は薬の宝箱 ~くすりの種を探したい!」の講演を行いました。

 

講演では、最初に化学を目指したきっかけについて、ある日料理の手伝いでそら豆を茹でていて、近くで布巾をハイター(次亜塩素酸)で消毒していた際、ゆで汁がハイター液に入ると褐色に色が変化したことに興味を持ったこと、また、大学院を目指したきっかけは、学部生の時に集中講義に来た先生の話を聞いて気持ちが一変し、「こんなに面白そうなことがあるのか・・・」「難しそうだけどやってみたい」と思い、反対する両親を説得して1年アルバイトし、そして大学院へ進学したこと等、中高生や大学生にとって示唆に富む話が満載でした。

 

研究の話では、専門の天然物化学(植物の作る二次代謝産物を研究する学問)において、植物から“薬の種”になる化合物を探す基礎研究を行っており、数百・数千の成分から1つを取り出す作業を続け、現在のターゲットはリーシュマニア症(WHOの定めた最も治療が困難な6大熱帯病の一つ、NTDs)であり、抗リーシュマニア治療薬を目指して、発症国のペルー、ベトナム、アルゼンチン、ミャンマーの植物から医薬品シーズを探索し、紫雲膏を治療薬として、ペルーにて行ったパイロット臨床試験で良好な結果が出たこと、長崎大学熱帯医学研究所が行っているパキスタンでの治験に寄与したことの説明がありました。

 

現在、社会実装に向けて、皮膚型リーシュマニア症に対して、紫雲膏の有効性がペルーで実証されたこと、リーシュマニア原虫に対して、ミャンマー産チークの葉やビルマコクタン等から新規活性物質を発見したことの説明がありました。

 

また、お茶の水女子大学のミャンマー調査団に加わり、現地で民間薬・伝統薬として伝わる薬用植物の調査の話も大変興味深いものでした。

 

最後に、振り返ると、周りの人に恵まれていたこと、尊敬する先生、友人に出会ってほしいこと等のお話があり、講演を締めくくりました。

 

その後、参加者から「Q&A機能」を用いて質問を受け、25件を超える質問に安元先生が1つ1つ丁寧に回答してくれました。

 

参加者からは、「薬といえば化学的に合成されたものだったので、植物からというのは少し驚きました。薬について、病気について、より詳しくなることができ、今後の生活にも役立つと思います。」「薬草の知識が広がりました。ドラッグストアで紫雲膏を見たとき、どんなものなのか、不思議だったので。」「新薬の開発を小学生の時から、ずっと憧れていたのですが、薬学部以外の学部からでも色々と学び、大学院から新薬の研究に携わることが出来るのがわかって安心しました。」等の感想が寄せられました。

 

 

オンライン講座の様子

 

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