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2021年度第5回坊っちゃん講座「石けんからはじまるナノテクノロジー~私の研究の脱線と発展~」開催報告

2021年度第5回坊っちゃん講座「石けんからはじまるナノテクノロジー~私の研究の脱線と発展~」開催報告

 

7月17日(土)に2021年度第5回坊っちゃん講座をオンラインで開催し、180名を超える参加者がありました。

 

本講座は最先端の研究や応用研究において世界をリードしている研究者が研究の面白さを高校生、中学生および大学生に伝え、勉学意欲の向上と進路選択に資するために開講しております。

 

今回は、本学工学部工業化学科の卒業生で、現在、大阪産業技術研究所森之宮センター界面活性剤研究室で研究員としてご活躍されている中川充(まこと)氏に講演いただきました。中川氏は、2018年度に本学博士課程を修了し、博士の学位をとられ、同窓会の「理窓博士会」に特に選ばれ第14回学術奨励賞を受賞されたことで、「石けんからはじまるナノテクノロジー~私の研究の脱線と発展~」というタイトルで高校生や中学生向けに講演いただくことになりました。

 

今回の講演では、ナノサイズのらせん構造のつくり方を課題としてあげて、基本的なナノサイズの物質のつくり方等を紹介しながら、課題をどのようにして解決できるか?なぜこの問題を考える必要があるのか、この課題から見えてくる次の「問い」について一緒に考えていきましょうと講演が始まりました。

「ナノ」の世界に近づいてみようということで、「ナノ」の大きさや「ナノ」サイズにするとできることの話があり、金ナノ粒子の形状が変わると吸収する光の波長が変わることで、色が変わる不思議についてのお話やナノサイズのらせんの「キラル」な構造(右巻き、左巻き)を作り分けることで、化成品の合成・検査や映像技術、通信技術に役立つ可能性等についてもお話がありました。中川氏は、「ナノの世界」は私たちの近くにあるのにまだまだ遠い存在で、未開の地(フロンティア)が広がっていて、ロマンがあると話していました。

 

後半は、大学時代の研究室でのテーマ研究の実験の話や経験した失敗と、研究で金ナノ粒子の二重らせんを作れた時の感動についてもお話があり、研究をすることで、考えたり、感動したり、貴重な経験ができることが大切だと話していました。

最後に現在ご勤務の大阪産業技術研究所の紹介とご自身が取り組んでいるお仕事についてもお話がありました。

 

参加者からの質問は「Q&A機能」を用いて行い、20件を超える質問に中川氏が1つ1つ丁寧に回答してくれました。

 

参加者からは、「⾝近なものからのナノの世界を覗くことが出来て楽しかったです。また進路についても⾮常に現在悩んでいるテーマであるので、興味深く拝聴しました。」「私には未知の世界で、なぜ⼩さくしただけなのに、難しく感じてしまうのかとずっと不思議でした。その訳がちゃんと存在したのだとわかってとても⾯⽩いと感じることができました。」、本学学生からは「4⽉から研究室に所属している⾝として、博⼠号を取られた⽅がどんな研究室⽣活を送っていたか知ることができ⾮常に参考になった。また、表彰されるような⼈でも最初から研究成果は順調ではなかったことを知って、現在研究でつまずくことが多い⾃分にもやる気が出た。」と感想がありました。

 

  

オンライン講座の様子