経営学部
国際デザイン経営学科
⻑万部教育のしくみ

2021年度、東京理科⼤学 経営学部に
「国際デザイン経営学科(略称IDM: International Digital and Design Management)」が新設されました。

東京理科⼤学に「デザイン」を
掲げた学科が⽣まれた理由

「デザイン」を使って
「やっかいな問題」を解決するべく

異彩を束ねる
プロデューサーを育成する

学⽣は⼊学して1年間、北海道・⻑万部町で四季折々の⾃然に触れながら地域社会の⼀員として過ごします。
学⽣寮、そして⻑万部町という⼩さな社会での⾝近な⼈との交流を出発点として、コミュニケーションの輪をグローバルな社会へと広げていく。⻑万部⽣活を通じてさまざまな考え⽅や問題解決へと導くための思考の基礎を養います。

国際デザイン経営学科で何を学ぶ?

やっかいな問題
デザインで解決する

wicked problems

不確実で先の⾒えない時代の、解決の難しい、正解のない問題
⼈の気持ちや環境などの要因が絡み合った問題
通勤・通学をもっと快適にしたい
フードロスを減らしたい
温暖化や⽔不⾜を防ぎたい など

やっかいな問題
デザインで解決する

IDMにおける「デザイン」の捉え方
「よりよい未来の創出を支援する
 人工物を創りだす知的活動」
(H.A.サイモン, 『システムの科学(第3版)』第5章
での議論を踏まえた、IDMによる定義)

やっかいな課題を解決するための、
異彩を束ねるプロデューサーを育成する

やっかいな問題は、限定された場所や地域などの⼩さい問題から、⼈種・性別・国境を越える⼤きな問題まで幅広くあります。
そのようなさまざまな問題を⼈⼯物を創りだす知的活動=デザインを通してよりよい未来に導いていく必要があります。
そのためには国際⼈のような多様な考えを理解し、いろいろな異彩を束ね経営的な判断をする能⼒も求められるのです。
国際デザイン経営学科はそうした能⼒を総合的に育み、実社会で活躍できる⼈材を育成していきます。

1〜4年次のカリキュラム構造

デザイン系、デジタル系、国際系、経営学系の
4つの科⽬群からなる学びを、
⼊学直後と卒業直前にある2つのデザイン思考プロジェクトで挟んだ
サンドイッチ構造のカリキュラムが特⻑です。
⼆度のプロジェクトで実践的なスキルを⾝につけます。

1年次教育の3つの学びのポイント

1. デザイン表現のスキル

講義や演習を通じて、⽣活者に寄り添い、その⾒えないニーズや課題を拾い上げる「観察⼒」と「共感⼒」を養います。

⻑万部キャンパス
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⻑万部教育で⾝につけたい能⼒
英語 デザイン思考の⼀つの特徴は、多様な背景を持った⼈たちとチームでソリューションを開発することにあります。⽇本語だけでコミュニケーションをとれるわけではありません。
⼈⽂・社会科学 デザイン思考を実践するためには、問題を抱える⼈々に対する「共感」が必要です。それには、人による考え⽅や価値観の違いを理解する必要があります。
数学・⾃然科学 デザイン思考にもとづくソリューションを開発するためには、論理的な思考⽅法とともに、実現可能性を保証するための、数学や⾃然科学の知識が不可⽋です。
健康・スポーツ科学 デザイン思考でとりあげる問題には、⼈間の⾝体に関わる問題がたくさんあります。またデザイン思考の特徴の⼀つに、「⼈間中⼼主義」があります。⼈間についての理解を深めるためには、⾝体に向き合う必要があります。

IDMの⼊り⼝であるデザイン思考を学ぶ
「コ・デザインプロジェクト」

1チーム20名程度に編成され、チームごとに教員がアドバイザーとして参加します。⻑万部町の皆さんと⼀緒に課題設定とよりよい未来に向かって活動することにより、いろいろな背景をもった人たちと協働することを経験します。テーマを決めて、チームで活動し、中間発表と最終発表へと進みます。地域課題の解決に取り組みことで、デザイン思考とは何かを学びます。

コ・デザインプロジェクトの流れ

テーマ例

  • 新しい観光のあり⽅:⻑万部のアイデンティティとは
  • デジタルテクノロジーと居場所
  • ⻑万部のエコシステムと⼈々の想いをつなげる活動
  • ⻑万部⾼校の探求型授業のデザイン
  • 地域と⼤学をつなげる活動
  • 時代と伝統・⾏事の新しい関係
  • 環境と暮らし、世界とリンクしている終わりなき⻑万部の環境問題
  • 新幹線停⾞駅としての⻑万部町の⽴ち位置

2. デジタル技術の基礎知識

AIやビッグデータが引き起こす「デジタル変⾰(Digital Transformation)」。これからの製品やサービス、いろいろな社会制度も、デジタル技術を前提にして考える必要があります。デジタル技術の基本原理を理解し、技術者と対話できるリーダーを育むうえで、国内有数の理⼯系総合⼤学に属するIDMは最適な環境です。

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⻑万部教育で⾝につけたい能⼒
英語 デジタル技術を使いこなすには、英語で書かれた論⽂やマニュアルを読みこなすことが必要です。
⼈⽂・社会科学 デジタル技術を有効活⽤するためには、それを利⽤する⼈や組織、そして業務に対する理解が⽋かせません。
数学・⾃然科学 デジタル技術の原理的な理解には、数学および物理学、化学などの⾃然科学についての知識が必要です。
健康・スポーツ科学 デジタル技術の重要な適⽤対象の⼀つに、ヘルスケア領域があります。また、デジタル技術を⽤いて⼈間の⾝体や精神の状態を把握することが「ウェルビーイング」の実現には重要です。その設計をするために、⾝体能⼒や健康管理のスキルを⾝につけることが重要です。

先端事例を学ぶ科⽬「テック基礎」
デジタル技術の原理的理解

1年次に「テック基礎」という先端事例を学ぶ科⽬と、基礎的な数理分野やプログラミングを学び、2年次の「デジタル技術の基礎数理」で知識を融合させます。その後、⾼学年次で応⽤を学び、問題解決につながるプロダクトやサービスの開発能⼒を養い、デジタル技術とビジネスの架け橋となる⼈材へと成⻑していきます。

3. 異⽂化への対応⼒

「異なる背景を持った者が、その境界を越えて、チームで協⼒して活動する」という学科の基本的な⽅針のもと、国際⼈としてのひととのコミュニケーション⾔語である「英語」を⾝につけます。それ以外にも異⽂化を理解するための学びを習得します。

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⻑万部教育で⾝につけたい能⼒
英語 人とのコミュニケーションの⼿段として、英語はグローバルに活躍する⼈にとって必要です。
⼈⽂・社会科学 異⽂化を理解するためには、そこで⽣活する⼈々の歴史や⽂化に対する理解が不可⽋です。
数学・⾃然科学 海外のエンジニアや科学者ともやり取りをする場⾯では、数学や⾃然科学についてのある程度の知識が必要です。
健康・スポーツ科学 「さわること」や「聞くこと」だけから構成される⽂化を理解するためには、⼈間の⾝体についての理解が必要です。また、多様な⽂化間の共通⾔語である⼈間の「⾝体表現」や「⽣理現象」について理解することが必要です。

コミュニケーションとしての
英語学習

進級⽬標及び卒業研究の履修条件にTOEICスコアを設定するほか、英語での授業も⽤意し、実践的な語学⼒を磨きます。また、2年次には海外⼤学と遠隔授業を⾏い、海外研修に参加予定です。

“Introduction to Oral Communication”

In the “Introduction to Oral Communication” freshman class, students will learn the basic principles and techniques necessary to engage in an English conversation. The primary objective of this class is to provide students with the opportunity to develop and improve their oral communication skills. At the conclusion of this course, students will have learned how to express their ideas and opinions with confidence in an English conversation.

“Introduction to International Communication”

In the “Introduction to International Communication” freshman class,students will learn how to prepare and execute a proper presentation in English. Students will improve their skills by participating in a series of English oral presentations, upon completion of the course students will have gained the skills and knowledge to prepare and deliver oral presentations in English.

1年次、北海道・⻑万部キャンパスで
学寮⽣活を送ることになる皆さんに、
何を学んで2年次以降に⽣かしてほしいのか、
IDMの学科主任からのメッセージです。

国際デザイン経営学科
学科主任
中野 嘉子

学寮生活は、人生の
グローバル化への
第一歩

国際デザイン経営学科(IDM)の学生は、長万部キャンパスで1年学寮生活をし、2年次から都心の神楽坂キャンパス・富士見校舎に移動します。長万部での学びと暮らしは、世界へ羽ばたくための大事な第一歩です。

IDMでは、分野や文化を超えて才能をつなぐ、プロデューサーを育てることを目標としています。2年次から「国際」「デザイン」「デジタル」「経営」の4系統の演習を、それぞれ1学期ずつ履修していきます。こうして4つ分野と真剣に向き合うことで、身につけてほしい「力」があります。それは問題の俯瞰力や、異文化への対応力です。

世界には「やっかいな問題」が溢れていて、これまで「あたりまえ」だったアプローチでは答えがなかなか見出せません。そんな時、分野や文化の違う人たちが力を合わせることで、突破口が開けることがあります。
それには、心ある人たちに“コンフォート・ゾーン(comfort zone)” といわれる、居心地のいい場所から出てきてもらい、それぞれの視点から問いを立て、本音で意見を交わす場が不可欠です。今求められているのは、まさにこうした場をデザインできる人で、「異彩を束ねる、異才を育てる」というのが、学科のビジョンです。

IDMの異文化体験は、長万部の学寮生活から始まります。親元を離れ、海と山に恵まれた大地で、自分の「あたりまえ」と向き合い、同級生と地域の方々と共にプロジェクトに取り組む。
国際舞台に立つ時、長万部での学びは必ず活きてきます。