INTERVIEW

自身の研究テーマと、どんな国際学会に参加したか教えてください 

私は現在、連携大学院方式※を利用して外部の研究所でB型肝炎ウイルス(HBV)の細胞内侵入機構を研究しています。今回は、HBV研究業界ではおそらく最大規模の国際HBV学会 (International HBV Meeting 2022、フランス・パリ)に参加しました。

※連携大学院方式:連携先の研究者を客員教員に迎える一方、本学学生が最新の設備と機能を有する研究機関において大学院での研究の指導等を受けることができるというシステム

学会の様子や印象に残った海外の研究者との交流を教えてください 

学会会場で様々な国籍の研究者や学生が活発に議論している様子が刺激的でした。また、これまで論文やオンライン学会上でしか見たことがなかった業界の大御所が目の前にいる状況にもワクワクしました。

海外の国際学会に参加する意義をどのように考えますか? 

国際学会には私のようにHBVの侵入過程に着目している人、侵入後のウイルス複製過程に着目している人、製薬企業で慢性HBV感染に対する創薬に注力している人など、様々な角度からHBVを研究している人が一堂に会していました。自分とは異なるアプローチで研究を進め、アカデミアと企業など異なる立場で研究している様々な人たちの発表に触れたことで、自分の研究の進め方を見つめ直す機会が得られました。特に自分の研究テーマがHBV研究全体でどういった立ち位置にあるのか、数あるHBV研究のテーマの中でHBV侵入過程を解析する意味・強みは何なのかということを改めて考えるきっかけになりました。

学会参加で成長した点を教えてください 

現地参加での国際学会は初めてだったため、雰囲気が分からず最初は周りを見ながらの手探り状態で過ごしていました。発表当日も序盤はポスターを見に来てくれる人を待つだけの受け身の姿勢をとっていましたが、中盤に差し掛かった時このままだと終わったあとに後悔すると思いました。そこからは隣で発表するドイツ人に話しかけて各々の研究について紹介しあったり、空いた時間にポスター会場を回って拙い英語で質問したりしました。いざ話すと伝えたい言葉が全然口から出てこず、かなり苦戦をしましたが、それでも相手は真剣に話を聞いてくれたので「行動して良かったのだ」と、終わった後に「やらなかった」後悔は感じずに済みました。

学会参加を経験して考えたことや課題、今後の抱負を教えてください 

学会参加を通じて「質問することによる失敗は基本的にない」ということを感じました。今回口頭発表・ポスター発表を聴講する中で、誰かの発言や発表に対して質問が出ない、または周囲の人が沈黙するといった光景を一度も見かけませんでした。過去に参加した国内学会において、発表者に対して全く質問が出ない場面や自分の発表に全く質問がこなかったことを何度か経験していたので、今回経験した活発な議論は非常に新鮮でした。日本には言語のレベルに関係なく「発言すること」自体にハードルを感じすぎる人が多いように思いますが、傍観しているだけでは気づくことができない「話すからこそ知ることができる感情」「得られる情報」があると実感しました。たとえ英語を流暢に話せず支離滅裂なことを言っていようと「何かを伝えようとしている」「興味を示してくれている」ことが相手に伝わりさえすれば、それが対人関係を築いていくきっかけになると思っています。

学会参加後は他人の目や評価を気にしすぎることなく、発言することに対して前ほど抵抗感はなくなりました。今後も積極的な議論を心がけていきたいと思います。今回の経験を活かし、いつか伝えたいことをうまく表現して口頭発表で会場の笑いをとってみたいですね。

※所属と学年はインタビュー当時のものです。

※所属と学年はインタビュー
当時のものです。