INTERVIEW

留学のきっかけをおしえてください 

きっかけは教授からの「フランスに留学してみないか」という言葉でした。もともと海外留学に強く関心を持っていたわけではなく、むしろハードルを感じていましたが、専門分野である文化財や建築の保存・活用について、文化財保護の制度や事例が充実したフランスで学び、私自身の建築・都市に対する考え方をアップデートしたいと考え、留学を決意しました。

現地の授業の様子や現地の人との交流について教えてください 

派遣先のパリ・ベルヴィル建築大学では設計スタジオと留学生向けのフランス語の授業を受講しました。設計スタジオの進行は理科大での設計スタジオと似ており、週に1度先生方にエスキスしてもらう形式で行われていました。

建築大学ということもあり、設計スタジオの数が多く、音楽から空間を考えるスタジオや、社会課題から建築を考えるスタジオなど様々なスタジオがある中で、私はフランスの地方都市の面的な改修をテーマとしたスタジオを選びました。スタジオでは、実際にフランスの市町村の行政の方々から地域の課題等をヒアリングし、現地の学生や様々な国からの留学生と協力しながら改修計画を考え、最終的に行政の方々に提案を行いました。

授業後には先生方も含めスタジオ全員でビールを飲みに行っていたのが印象的でした。課題についての話だけでなく、生活のことやそれぞれの国の文化の話などフラットに話すことができ、交流を深めることができました。

※エスキス:課題の進捗を図面やダイアグラム・模型などを用いて説明し先生方からフィードバックをもらうこと

文化の違いを感じたことはありましたか? 

滞在していたパリ国際大学都市の日本館で折り紙教室を行った際に、立ち寄ってくれた街の人や寮の学生に折り方を教える中で、日本ではみんなが当たり前に折っている簡単なものでも苦労しながら折っている姿を見て、折り紙が日本の文化を代表するものの一つなのだと実感しました。出来上がった折り紙を見て喜んでもらえたのが非常に印象的でうれしかったです。日本の文化を感じることができた良い機会でした。

また、パリに出ると街の人が公園や広場など屋外空間で休憩したり活動したりしている姿が印象的で、私自身も公園にラグを敷いて作業をしたり、読書をしたり屋外で過ごす時間が増えていました。気分転換やパリの街の人たちの過ごし方を感じる良い時間でした。

留学で実感した自身の成長について教えてください。また、留学の経験を今後どう活かしていきたいですか? 

パリだけでなく様々な国の都市を訪れたことで、これまでに学んだ歴史的建造物やリノベーション事例を実際に見ることができ、本やインターネットでは得られなかった細部や空間のスケール感など知見を深めることができました。

派遣先大学ではフランスをはじめ様々な国の学生と協力して一つのプロジェクトに取り組んだことで、言葉や文化の違う人たちと考えを共有する力を培うことができたと感じています。伝えきれなかった部分を言葉以外の手段で伝えたり、相手の発言で理解できなかった部分を躊躇せずに聞き直したりすることで齟齬のないようにコミュニケーションをとっていました。

留学を通して、様々な国や地域の都市・建築を訪れたい、様々な背景を持つ人たちと交流したいという想いを持つようになり、今回得た学びと経験を活かして、将来日本だけでなく様々な国や地域で活躍していきたいと考えています。

留学を考えている人へメッセージをお願いします 

私自身、海外留学はハードルが非常に高いと感じていました。言語はもちろん文化の違いや金銭面などいろいろな問題がありますが、学校だけでなく日常生活の中で多くの学びや気づきがあります。少しでも行ってみたいという気持ちがあれば、ぜひ挑戦してほしいと思います。

※所属と学年はインタビュー当時のものです。

※所属と学年はインタビュー
当時のものです。