私がおすすめする本

鞆 達也
鞆 達也教授
光合成科学
神楽坂キャンパス教養部
  • 形態は機能に従う
    植物の形には意味がある
    植物の形には意味がある
    園池公毅
    ベレ出版
    2016年

    “Form follows function”はアメリカの建築家Louis H. Sullivanの言葉です。ポルシェ911のカエルのような車デザインも機能的に意味があり、これは人工物だけで無く、我々が普段目にする生物も同様です。植物の葉・茎・根やその色や形は多様性があるけれど、それを認識するだけで終わるのでは無く、それが何に由来しているのかを仮説をたてて、機能を解き明かしていく内容が記されています。この思考方法は科学に限ったことではないことから、植物に興味が無くても有用な一冊です。内容は専門的で無く、生物を履修していない人も興味深く読み進められます。

  • 日常の科学を知る一冊
    科学者とあたま、科学と科学者の話
    科学者とあたま、科学と科学者の話
    寺田寅彦
    前者は平凡社、後者は岩波少年文庫
    前者2015年、後者は2000年

    ふとした自然現象の不思議さ、生活と密着した科学に対する観察力が綴られており、それらが何故生じているかを考えることができる一冊です。また、科学だけが記されているのではなく、日常生活の随筆内容も含まれており、これらの文章は漱石と出会い、教えを受けたことにより、文章としても教養にあふれています。寺田寅彦の作品は青空文庫にも所蔵されていますが、いずれも短いエッセイのスタイルであることから、手にとって開いたことろから気軽に読める出版物をお勧めします。

  • 研究室の日常を英語コミックで知る
    Piled Higher and Deeper
    Piled Higher and Deeper
    Jorge Cham
    Piled Higher & Deeper Pub.
    2002~

    タイトルを略すとPh. D.(博士号)となり、大切だか大切でない何かを高く深く積み上げていくことが学位を意味するジョークです。理工系研究室に生息する大学院生の日常を書き綴った英語で書かれたコミックシリーズで、これまでに6冊刊行されており、知る人ぞ知る人気の本です。研究室の日常は、文化や言語は異なれど、多くの理工系学生が共感をもつ内容が4コママンガとして描かれており、同時に英語やアメリカ文化も学習できる内容です。大学に入りたての頃は謎の世界である研究室がどのようなものなのかを、英語で面白おかしく知ることができ、研究の楽しさやつらさはもちろん、研究以外の何か(deepな人間関係の対処法)も知ることができます。国内の出版扱いはありませんが、Amazonや学内書店等で購入可能です。