私がおすすめする本

西野 方子
西野 方子講師
英文学
神楽坂キャンパス教養部
  • ディス・イズ・ザ・デイ
    ディス・イズ・ザ・デイ
    津村記久子
    朝日新聞出版
    2021

    日本国内のサッカー2部リーグの最終節をめぐる、各チームのサポーターの様子を描いた群像劇です。架空のチームを描く小説ではありますが、地域に根づいたサッカークラブが文化やコミュニティーを形成し人々の日常に溶け込んでいる様子が見事に表現されています。Jリーグなどのサッカーチームを応援する人であれば、自分たちのことがこんなふうに表現され得るのだと驚き、また胸を揺さぶられるかもしれません。2018年のワールドカップを前に新聞で連載されていたこの小説が、国内の2部リーグを扱ったことの意味を考えながら読むのもおもしろいでしょう。サッカー好きのみならず、別のスポーツのファンの人、何かを「推す」人、またそれとは距離を置く人にも、是非読んでもらいたい作品です。

  • ゲームが教える世界の論点
    ゲームが教える世界の論点
    藤田直哉
    集英社
    2023

    ビデオ・ゲームは物語を語る媒体でもあります。ゲームの語る物語が私たちの生きる社会について何を示しているのか、それを解釈し論じたものがこの本です。テーマ毎に複数の作品が論じられており、中にはみなさんがプレイしたことのあるゲームもあるかもしれません。作品が現実の事象をどのように反映し、またそれについてどういうメッセージを発していると考えられるのか、大学の授業で学ぶこととも関連させながら考えるきっかけを与えてくれる本になると思います。