私がおすすめする本

橋本 茂樹
橋本 茂樹教授
生物有機化学、化学生物学
北海道・長万部キャンパス教養部
  • こわいもの知らずの病理学講義
    こわいもの知らずの病理学講義
    仲野徹
    晶文社
    2017

    本書は大阪大学医学部の名物教授が一般人にも正しい病気の知識を身につけて欲しいとの思いを込めて書いた本です。まず病理学が病気の成り立ちを理解する学問であることを解説し、続いて細胞、血液、がんの3つに絞って話が進みます。特にがんについては発症と進化、免疫、ゲノムなどの観点から多くの頁を費やし説明しており、著者の専門分野と密接に関係していることが伺えます。全体を通して講義で語りかけるように話が進み、時折雑談も入るので、最後まで飽きずに読み切れます。本書によってがん対するリテラシーを高めておくと、将来がんを患っても冷静に向き合えそうな気がします。

  • あまり病気をしない暮らし
    あまり病気をしない暮らし
    仲野徹
    晶文社
    2018

    この本は、前掲書『こわいもの知らずの病理学講義』の続編で同じナニワの医学部教授が著者です。食事やダイエット、感染症、遺伝子など病気と関わりが深いテーマを取り上げて時々、脱線しながら話が進んでいきます。最終章では医学部教授の生活に触れ、医学部の研究・教育の裏側も語られています。前掲書の裏表紙に記されている「近所のおっちゃん・おばちゃんに読ませる」という著者の心意気は、本書でも踏襲され分かりやすい内容になっています。病気に興味がある方、病院でお医者さんの言うことをもっと理解したい方は、是非手に取ってみて下さい。

  • 人間の偏見 動物の言い分
    人間の偏見 動物の言い分
    高槻成紀
    イースト・プレス
    2018年

    動物には、「可愛い」ともてはやされる動物がいる一方で、「気持ち悪い」と疎んじられる動物もいます。動物に対するイメージは何によって決まるか。本書では動物を人間との関係から分類し、動物のイメージを決める要素を分析しています。「嫌いな」動物を好きになるのは難しいが、偏見を取り除く事は可能であり、正しく知ること(生態学的な知識をもつこと)の大切さを説いています。人間と動物の共生を考えるきっかけになる本です。

  • はだかの起源
    はだかの起源
    島 泰三
    講談社学術文庫
    2018年

    多くの陸上哺乳類は毛で覆われていますが、ヒトは殆ど毛がありません。ヒトが裸になった理由は、謎に包まれています。著者は、今から約20万~30年前にヒトは突然変異によって偶然、裸になったという大胆な仮説を提唱しています。裸化と同時に咽頭の構造変化も起こり、ヒトの生存は危うくなったが、言語能力の獲得によってヒト(不適者)は生きのびた。ヒトの進化に興味がある方は、一読してみて下さい。

  • 科学の困った裏事情
    科学の困った裏事情
    有田正規
    岩波科学ライブラリー
    2016年

    “ハゲタカジャーナル(predatory journal)”という言葉を御存知でしょうか。内容を適切に審査する事なく、研究者から高額な投稿料をとって論文をオンライン掲載する学術誌の蔑称です。昨今多額の資金が科学研究に投入され、研究者は(実用的な)成果を上げることを強く求められています。著者は、成果主義によって研究環境が悪化し科学論文の質が低下している現状を鋭く指摘、科学のあるべき姿に向けた解決策を提言しています。将来アカデミックポストを目指している若い方に是非読んで欲しい本です。