学長挨拶

特色ある教育・
研究基盤を用いて、
多様な人材を輩出していく。

東京理科大学11代学長
石川 正俊

東京理科大学は2031年で創立150年を迎えます。理工系総合大学として実力主義を掲げながらこれだけの歴史・伝統を積み上げてきたことは非常に誇らしく、この歴史に名前を連ねるすべての方々に感謝を申し上げます。

伝統とは、ただ年月を重ねただけでは「伝統」とはなりません。伝統とは革新の連続。その時代の変化に合わせる必要があります。しかし、革新しさえすればいいというものでもありません。方法を選ばずにそれを成すということは私たちにそぐいません。そこには常に、これまで積み上げてきた、「研究」「教育」「社会価値の創造」があります。これらを一体不可分と捉え、科学と技術に「新たな領域」をつくっていく。「新たな価値」を創出していく。東京理科大学の伝統をつなげていくためには、こうした挑戦が必要不可欠である、そう考えています。成果や価値が見えないことへの挑戦に、不安がないと言えば、嘘になるでしょう。しかし、社会の変革をリードする人材を生み出し続けるためには、大学としてもその時代で「革新的」と言われることに、挑戦し続ける必要があります。

「革新」を起こす行動とは、「できない理由を考えるのではなく、どうすれば実現できるか」と考え続け、挑戦し続けることです。新しいこと。初めてやること。いつもと違うこと。これまで自分がやったことがないことを始めるには勇気が必要です。無理だとあきらめるのではなく、どんなに小さなことでもいいから、始めてみること、挑戦し続けることから革新は生まれていきます。
私たちは、研究者・科学者・技術者として、何をすべきか、日々心に問い続けることを、より一層大切にしたいと考えています。大学という場所は現在までに得られている専門知識を更に突き詰めて学んでいくことはもちろん可能ですが、それだけでは今の時代・未来に価値を創り出すうえでは十分ではありません。わたしたちが日々向き合っている科学技術が、社会を変えています。政治、法律、経済が社会を動かしてきた時代から、いよいよ科学技術が中心となって、この先の新しい時代の変革を牽引していくことになるのです。解が用意されていない、時には問題さえも用意されていない世界で、 自ら問いを立て、領域や分野を越えたチームで、専門性を融合し、何もないところから新たな価値を創り出すことが求められます。そのプロセスで、自分の能力を引き出し、目指すキャリアやスキルを獲得することが大学で得るべき最適な学びだと思うのです。東京理科大学は、そうありたい、そうあるべきだと思っています。

だからこそ、次の時代を牽引する教育・研究はどうあるべきか常に問いかけながら、大学の在り方を検討していくことが重要だと感じています。本学では全学的な情報教育を推進していますが、これは、現在の情報化社会において、変革を担う人材には情報系分野の素養は必要不可欠であると考えるからです。本学では、学部から大学院まで一貫してデータサイエンスに係る知識・技術を学修できる「データサイエンス教育プログラム」を2019年度から実施し、全学部でデータサイエンス教育を展開しています。更には、2026年度に、情報系分野の学部学科を新設する構想を発表しました。

今後の展開として、特色ある研究をさらに伸長させ、新たな研究領域を開拓するべく、国内外の優れた研究機関との連携を一層強化するとともに、学生が世界の最先端のサイエンスとテクノロジーに触れられ、世界に羽ばたくことを支援できる環境も構築していきます。これらの取組を通じて、研究大学として飛躍的に発展を図りたいと考えています。

また、本学が社会の「変革」に貢献する一例として、本学がグループ会社と築くスタートアップエコシステム「TUSIDE」はすでに大きな成果を上げており、大学発スタートアップ育成の実績では国内の大学でもトップクラスを誇ります。産業界と連携して、研究成果を社会に広く還元してその価値の創造を推し進めることは、150周年を前に大きな意義があります。

この国の発展に寄与する人材を育成し続けてきたという確たる誇りを持ちながら、150周年のその後を見据えた世界最高水準の研究・教育環境を整え、国内に留まらず広く世界で活躍できる人材の育成・研究・事業展開を通じて、東京理科大学らしい社会価値の創造をしていきたいと強く思っています。150周年事業に、ぜひご期待ください。

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