理事長挨拶
- 学校法人東京理科大学
9代理事長 - 浜本 隆之
東京理科大学は2031年に150周年を迎えます。7学部33学科を有する我が国最大規模の理工系総合大学へと発展を遂げ、現在の安定した社会的評価を頂くまでになったことは、もとより明治初頭の21名の創設者を始めとする多くの先人の努力と、22万人を超える卒業生の社会での活躍の賜物であり、全ての関係者の皆さまに心から感謝申し上げます。
150年の節目を迎えるにあたり、これからの社会における私たちの存在意義を改めて考えてみたいと思います。創立された1881年当時まで、この国の大学は一つしかなく、理学を学ぶには、外国人講師からフランス語の講義を受ける必要があり、それは大変なエリート教育でありました。この特別な教育を受けた 21 名の創設者達は、それぞれの故郷や国からの手厚い支援により学ぶ機会が与えられたことに恩義を感じ、自分たちが日本語で理学を教える事で、我が国の未来を担う優れた人材を広く育てていこうという強い想いで、本学を開校しました。本学のルーツとも言うべき、建学の精神「理学の普及を以て国運発展の基礎とする」は、この創設者たちの熱い志が原点となっています。明治維新・産業革命の時代の中で掲げられた21名による高い志は、140年にわたり本学の行く末を照らす道標となりました。その「先の時代を見据え、科学技術を以て社会の発展のために新しい価値創造をおこなう」という根底は、今後も変わることはありません。

本学は、建学以来「実力主義」を掲げてきました。高い専門性や、それを身につける過程で培った論理的かつ科学的な思考力、基礎力に基づき社会の課題を正しく認識し、新しい学問領域やイノベーションを創出できる柔軟で独創的な発想力は、時代を経て今日、益々重要性が高まっています。さらに、多様な考えや能力を持つ人々に敬意を持って尊重し、協力して活動できる行動力を掛け合わせることで、様々な領域で社会変革を起こしています。
学制改革後、初代学長に就任した本多光太郎先生は、「産業は学問の道場なり」、つまり産業界の問題を解決しようと努力する過程で学問が磨かれる、という現代の産学連携に通じる言葉を残されています。本学では、産学連携に資する取組を通じて、スタートアップ企業をはじめとするイノベーションの萌芽に貢献し続けるほか、「学内外の知的交流による相乗効果の創出」と「学内に眠る知的資源の価値化」を同時に達成することで、世界の持続的な発展に貢献したいと考えています。今後、国内外の社会からの要請に応え得る『世界に開かれた、世界に貢献できる価値を創る』東京理科大学を実現して参ります。
150年という節目は、次の50年、100年に向けての通過点です。ますます多様化していく現代において、まだ顕在化していない社会の課題を発見し、より良い未来を模索しながらイノベーションにつなげ、広く社会に貢献していくこと、また、課題発見と解の創出をグローバル規模で行うことのできる人材を輩出する大学として、先陣をきって日本の大学をリードしていくことが、本学が次の時代に担うべき役割であり、果たすべき使命だと考えています。
本学では、先般、大学としての更なる発展を期し、情報系分野の強化を主眼とした「第二期学部・学科再編計画」を公表しました。また、キャンパスの再構築も順調に進んでおり、2025年には葛飾キャンパスに「共創棟」を新設し、神楽坂や野田キャンパスにおいても再構築に向けた検討が行われています。一連の施策により、本学が「世界の未来を拓くTUS」として大きく飛躍していくことを確信すると共に、世界に冠たる教育・研究拠点として今後も発展を続けていくためには、今後も強みとなる研究分野の強化・創出、そのための施設設備の拡充や、学生の修学支援、教員への研究支援の更なる充実を図っていきたいと思います。
本周年事業は、在学生に加え、22万人を超える卒業生、神楽坂、野田、葛飾、北海道・長万部のキャンパス設置自治体や近隣の皆さま、卒業生の就職先に加え共同研究のパートナーである企業の皆さま等、本学に関わってくださる全ての皆さまとの新たな絆を深める重要な機会であり、今一度その意義を認識し、取り組んで参りたいと考えています。本学が、皆さまにとって、いつまでも誇るべき大学であり続けるためにも、これからも東京理科大学への変わらぬご支援を、心よりお願い申し上げます。