数学体験館は、本学栄誉教授である数学者・秋山仁先生のご指導のもと、2013(平成25)年10月に開館しました。当館は、子どもから大人まで幅広い皆さまに、数学を「楽しく学ぶ」機会を提供することを目的としています。そのため、さまざまな教具や教材を開発・展示し、来館者の皆さまが実際に見て、触れて、説明を受けながら自ら考えることのできる体験型の場を整えてきました。展示を通して、「なるほど」と理解が深まる喜びや、「なぜだろう」と思考を広げるきっかけを感じていただければ幸いです。また、当館で得られた知見や成果を国内外に発信するとともに、中高大連携を推進する拠点として、中学校・高等学校・大学をつなぐ数学教育の架け橋となることを目指しています。さらに、大学初年次教育の充実にも寄与し、学生の学修意欲の向上と教育力の深化に貢献していきます。
こうした取り組みの根底には、「いかに高度に抽象的な数学の研究であっても、究極においては人類の幸福のためにある」という数学者・小倉金之助の理念があります。また、本学初代学長・本多光太郎の「今が大切」という言葉や、「数学の本質はその自由性にある」とする髙木貞治の考え、さらに岡潔の「数学において最も大切なのは情緒である」という指摘は、数学と人間のこころとの深い結びつきを示すものです。これら先人の思想は、科学が知識の集積にとどまらず、人のこころを豊かにする営みであることを教えてくれます。1881(明治14)年創設の東京物理学講習所以来、本学には「科学は人間のこころを豊かにするもの」という精神が受け継がれてきました。数学体験館は、この理念を現代に体現し、次代へとつないでいく役割を担っています。
当館では、数学が社会の中でどのように活かされているかを学ぶとともに、五感を通じた体験を通して新たな発見や感動を生み出し、好奇心をさらに広げていただける場を提供していきます。ぜひ数学体験館に足をお運びいただき、数学の面白さと奥深さに触れてください。
皆さまのご来館を心よりお待ちしております。
数学体験館館長 井手本 康






