こんにちは。学生スタッフのA.S.です。大学の課題が落ち着いたので、以前のブログ「あべこべ宇宙の林檎」で宣言していた通り、結び目理論について勉強してまとめたいと思います。結び目理論は我々の住む宇宙のかたちに重要な超弦理論に関わっており、非常に興味深いです。
皆さんはメビウスの輪を聞いたことはあるでしょうか?作ったことがあるという方もいるかもしれません。帯を一回ねじって端と端を繋げて作ると、表裏がなくなる不思議なものです。ここでメビウスの輪とただの輪は、切らない限りお互いに行き来することはできないことに注目しましょう。つまり別物として考えられるわけです。メビウスの輪とただの輪のように行き来できないようなものについて、”ひも”の結び目に注目したものが結び目理論です。右図にあるA,Bの結び目は、切らずに行き来できるでしょうか?B,CとC,Aはどうでしょうか?このような簡単な結び目なら考えたりシミュレーションしたりすれば分かるかもしれません。しかし交わっている部分がもっと多い複雑な結び目になると、考えるのが大変ですね。実は複雑でも考えられるように幾何学では色々なルール付けをしているのです。ちなみにA,Bは行き来が可能で、Cは別物でした。
さて幾何学で研究されている結び目理論は、宇宙のかたちに関わる重要な超弦理論に関わっているのです。超弦理論とは、一般相対性理論を量子力学に落とし込むために考案されている理論です。ざっくり言えば「世界は”ひも”でできているのでは?」ということです。なんとなく結び目理論が関係ありそうな気がしますね。
以前のブログ「『9次元から来た男』を受けて」の最後に、9次元が宇宙と関係があると言われていると書きました。実は我々が住む宇宙は9次元かもしれないのです。というのも先ほど挙げた超弦理論が10次元以外では矛盾が出てしまうのです。つまり超弦理論が正しければ、我々が住む宇宙は9次元+時間で10次元時空であることが分かるのです。でも私たちは4次元時空(縦+横+高さ+時間)しか観測できないよ?と思う方もいるでしょう。そこが今まさに研究されているところです。理論と現実のすり合わせを繰り返して、物理学は世界に寄り添ってきたのです。