インストラクターブログ

ペンローズ・タイル

こんにちは。学生スタッフのA.S.です。今回はペンローズ・タイルについて書きます。実は先日、お客様にペンローズ・タイルについて説明したときに、説明が下手であまり数学の素晴らしさを伝えられなかったのです。自分の理解が足りないことに気づき、今回のブログを書きながら、一石二鳥のごとく理解しちゃえ、というわけです。

まずタイルの敷き詰めについて考えると、正方形やひし形は同じものを”規則正しく”敷き詰められます。この”規則正しく”を数学では”周期的”と言います。一方、非周期的な敷き詰めができる構成も工夫するだけでたくさん作り出せるのです。ここで数学者は「非周期的な敷き詰めしかできない構成はあるのか?」と気になってしまいます。端的に言うと、「タイル面のある部分を抜き出したときに、それに重ならない他の部分が必ずある並べ方」です。この答えの一つがペンローズ・タイルなのです。それまでに発見されていた最小は六種類の図形を使った構成だったらしく、ペンローズ・タイルはたった二種類の図形で構成できるという大きな躍進がありました。

ペンローズ・タイルは実は2011年のノーベル化学賞を受賞された準結晶に関わっています。準結晶は、結晶とアモルファスの中間であり、規則性はあるが周期性はないものであり、その構造の存在性の根拠にペンローズ・タイルの考え方があるそうです。ちなみにペンローズさん自身もブラックホールに関する研究で2020年のノーベル物理学賞を受賞されています。

また2023年に、二種類の形で構成されるペンローズ・タイルを越える、一種類で構成されるアインシュタイン・タイルが発見されています。アインシュタイン・タイルはあまりにも見つからないので存在しないと考えられていました。アインシュタイン・タイルも結晶構造に関係あるかもしれませんね。興味がある方はそちらも調べてみると面白いと思います。

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カイトとダート