こんにちは。学生スタッフのA.S.です。今回は「定義と定理」の続きで公理について存分に語らせていただきます。簡単にまとめると定義はルール、定理は法則であって証明されているものでした。
さて公理は、定義のようなものなのですが正しくは定理の仲間なのです。ただし証明することができない定理です。「え、じゃあ疑問に答えられないじゃん」そうおっしゃりたい気持ちはよくわかります。では「a = bのときa + c=b + c」ってなぜか説明できますか?当然できないと思います。数理科学科の私でもできません。学校で定義のように教えられているはずです。こういった当たり前すぎて証明できないことを公理としています。公理を上手に定めることで数学上の世界を作ることができて、そこで研究され、新しい発見が生まれます。
さてさて我々が学んだ「三角形の内角の和は180°」というのは、ユークリッド幾何学という名前がついた世界で、五つの公理から成り立つお話なのです。信じられませんか?では地球をイメージしてください。北極点から赤道まで直線を引いて、赤道に沿って赤道の1/4の長さだけ直線を引き、最後に北極点へ直線を引きます。そうすると確かに三角形ができます。この内角は……270°ですね!?
さらにいうとこれは正三角形になりますが、その角は60°ではなく90°です。実はユークリッド幾何学で定められた公理では球面上の三角形が考えられていないので、このようなことが起きます。ちなみに「三角形の内角の和は180°とは限らない」世界は非ユークリッド幾何学と名付けられ、別の公理が定められています。
このように公理の定め方で様々な世界が生まれます。なお公理の厳密性については、以前に書いた「数学は完璧?」で少し触れています。これらを理解することは数学に限らず、実生活に重要な論理的思考のヒントになるでしょう。
今回の画像はチャットGPTに「世界(球)を描き、そのうちの二つにユークリッド幾何学と非ユークリッド幾何学を表示した画像 」と指示して作ってみてもらいました。最初は本文を読み込ませて画像出力を試みましたが、まだ得意ではないようです。