インストラクターブログ

『9次元から来た男』を受けて

こんにちは。学生スタッフのA.S.です。これは「『9次元から来た男』を受けて」というブログの余談です。日本科学未来館で上映されている本作品は科学者がT.o.E.(トーエ)と呼ばれる謎の男を追いかける話であり、T.o.E.は我々を超越した9次元を観測できる男のようです。そこで数学的にT.o.E.を捕まえる方法を皆さんに伝授したいと思います。前回、数学にはベクトルという概念があり、軸が9方向ある世界が9次元であると話しました。そのベクトルを使ってみましょう。(もちろん現実問題は山積みの冗談半分の思考実験です。温かい気持ちでお付き合いください。)

xy平面では座標を(a,b)と表します。aがx軸方向の場所、bがy軸方向の場所を指し、(a,b)は住所のようなもので二次元ではa,bさえ分かれば、場所が分かります。三次元ではz軸方向の場所cを加えた住所(a,b,c)があれば場所が分かります。さて四次元の住所、五次元の住所……と考えていくと九次元では住所(a,b,c,d,e,f,g,h,i)があればT.o.E.の場所が分かったも同然です。ではもう捕まえられますね?

いいえ、問題がまだ残っています。私たちは三次元しか移動できないために9次元に行くことはできません。これを解決するヒントは二次元の人と三次元の人はどこで会えるかという思考実験です。正解は二次元の人が観測できないもう一つのベクトル軸上であり、住所(a,b,0)の位置です。三次元の人に(a,b,0)の位置に来てもらえば二次元の人と会えるはずです。ここからわかることは、我々はT.o.E.様に住所(a,b,c,0,0,0,0,0,0)に来てくださいと何かしらの手段を用いて懇願すれば捕まえられるかもしれないということです。(さらにa,b,cの具体的な場所まで指定すれば確実に捕まえられます、多分。)

以上、最後までお付き合いいただき本当にありがとうございます。気が付けば9次元も意外と身近な概念になりつつあるのではないでしょうか。T.o.E.さん、見ていたらなるほど科学体験館に是非来てください。捕まえないので、多分。

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ベクトルはゲームにも隠れている