こんにちは。学生スタッフのA.S.です。先日、どうしても見たいものがあったので日本科学未来館に行きました。それは『9次元から来た男』です。本作品は科学者がT.o.E.(トーエ)と呼ばれる謎の男を追いかける話です。T.o.E.によって、私たちはなんなのか、この宇宙は何でできているのか、を紐解くヒントが与えられながら物語は進みます。見に行った感想としては、難しいことを面白おかしく伝えることは非常に難しい試みなのだなと感じました。宇宙と数学の繋がりをよく知らない人が見たら終始狐につままれた感覚を覚えると思います。私のように知りたくて見にいった人には少々物足りないかもしれません。T.o.E.の正体は秘密にしておくとして、ひとまず彼は我々を超越した9次元を観測できる男のようです。
9次元とはなんでしょう。そもそも次元という言葉は皆さんになじみのある言葉なのでしょうか?偉大なドラえもん様によって4次元という概念は普及しているように感じます。実は数学を学ぶと次元の理解は意外と簡単です。我々は三次元に生きていて、縦と横と高さを認識することができます。数学にはベクトルという概念があります。グラフをよく書かされたであろうx軸とy軸があるxy座標は二方向のベクトル平面で二次元です。これにz軸が加わってxyz座標になると三方向のベクトル空間を意味し、この空間が私たちの移動できる三次元です。では新たにt軸を加えたら四方向のベクトル空間を作ることができ、これが四次元になります。このように上手く軸を増やすだけで次元は簡単に上げることができます。つまり数学的にはベクトル軸が9方向ある世界が9次元だと言えます。
なぜ9次元が宇宙や量子と関係があると言われているのかについては次の機会にとっておきます(機会があるかは分かりませんが)。もし興味がある方は、小笠英志さんが書かれている『宇宙が見える数学』をおすすめします。数理科学科の私がとても分かりやすいと感じました。きっと理解の助けになると思います。