インストラクターブログ

企画展作業中に考えたこと

こんにちは。学生スタッフのS.T.です。

私は9月に開催される企画展のための調査を行っています。今回の企画展は、東京理科大学の前身である東京物理学校の創始者のうち、日本における気象学の礎を築いた中村精男と和田雄治を紹介するものです。

私は中村が書いた論文を紹介する資料作成を担当しています。中村は日本で初めて気象学に関する論文を発表しました。それだけではなく、中村は東京物理学校で発表された雑誌にも寄稿し、自身の研究成果や海外で発表された最新の研究成果を紹介しました。今回は、私が中村の寄稿文を読んでいる時に感じたことを紹介します。

中村の東京物理学校への寄稿文の一つに、カラー写真の原理を紹介するものがあります。そこにはカラー写真を実現するために研究を行った多くの研究者の名前が出てきます。研究が成功した研究者もいれば、うまくいかなかった研究者もいました。しかし、ネットでカラー写真の歴史を調べてみると、カラー写真の撮影に成功した人の名前だけしか記載されておらず、うまくいかなかった人の名前は一切出てきません。

後世に名を残すことができるのは成功者の栄誉ですが、その成功、特に新たな理論の構築や、画期的な技術の開発といったものは、多くの人たちの失敗の積み重ねによるものだと思います。そう考えると、私たちの現在の暮らしの下には、本当に多くの人たちの努力が積み重なっているのだと感じました。

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中村の寄稿文